看護師の離職率は?仕事を辞める原因やほかの職種との比較など PR

看護師の離職率は?仕事を辞める原因やほかの職種との比較など

看護師は、「命を預かる職種であること」から精神的なストレスが非常に高いです。また、「勤務形態が特殊であること」から身体的なストレスも感じやすいです。

これらの理由から、「看護師の仕事はキツイ」と思われがちです。また、「看護師は離職率が高い」と思っている方も多いと思います。

しかし、実際にはどうなのでしょうか?

本記事では、看護師の離職率について詳しく解説していきます。ぜひ参考にしてください。

看護師の離職率

公共社団法人『日本看護協会』が2022年に公表した『2021年病院看護・外来看護実態調査(※)』によると、看護師の離職率は10.6%となっています。前年と比較すると、0.9%減少していて、離職率は低下しています。

看護師」と「准看護師」別に離職率を見ると、「看護師」は10.6%で「准看護師」は11.9%となっています。

(※)参考:2021年 病院看護・外来看護実態調査 報告書

新卒・既卒採用者の離職率

新卒とは、「今年度中に卒業する学生」のことを指します。既卒とは、「すでに卒業しているが、就職しなかった人」のことを指します。

公共社団法人『日本看護協会』が2022年に公表した『2021年病院看護・外来看護実態調査(※)』によると、正規雇用看護師の新卒採用者の離職率は8.2%となっています。既卒採用者の離職率は14.9%となっています。

正規雇用看護師の離職率は10.4%であるため、既卒採用者は早期離職者が多いことがわかります。

正規雇用准看護師の場合、新卒採用者の離職率は18.6%となっています。既卒採用者の離職率は28.0%となっています。正規雇用准看護師の離職率は11.9%であるため、早期離職が非常に多いことがわかります。

(※)参考:2021年 病院看護・外来看護実態調査 報告書

都道府県別の離職率

雇用種別 正規雇用看護師の離職率 新卒採用者の離職率 既卒採用者の離職率
全体 10.6% 8.2% 14.9%
北海道 10.5% 5.3% 14.7%
青森県 6.9% 6.7% 18.7%
岩手県 6.1% 9.0% 24.6%
宮城県 8.6% 7.1%
12.9%
秋田県 7.4%
5.7% 9.6%
山形県 6.1% 4.7% 9.9%
福島県 7.3% 9.8% 14.3%
茨城県 10.7% 7.8% 21.4%
栃木県 10.1% 15.0% 13.2%
群馬県 8.3% 9.0% 3.8%
埼玉県 13.0% 8.7% 20.7%
千葉県 11.9% 6.4% 11.9%
東京都 13.4% 10.6% 17.4%
神奈川県 14.0% 8.6% 20.0%
新潟県 8.0% 8.9% 10.8%
富山県 8.6% 2.9% 13.6%
石川県 10.8% 5.6% 28.9%
福井県 7.3% 5.2% 8.6%
山梨県 8.7% 5.8% 10.9%
長野県 8.2% 5.1% 9.2%
岐阜県 10.8% 9.3% 15.0%
静岡県 8.5% 6.1% 8.5%
愛知県 12.2% 6.9% 13.1%
三重県 9.8% 4.9% 18.0%
滋賀県 10.2% 9.9% 17.4%
京都府 11.7% 7.2% 13.1%
大阪府 12.3% 9.2% 16.8%
兵庫県 11.7% 10.7% 10.0%
奈良県 10.8% 8.1% 19.5%
和歌山県 9.7% 8.7% 15.2%
鳥取県 7.4% 4.7% 7.3%
島根県 6.5% 4.7% 6.7%
岡山県 10.2% 7.9% 23.4%
広島県 8.3% 7.4% 13.8%
山口県 9.6% 10.4% 15.0%
徳島県 7.1% 7.5% 3.6%
香川県 8.5% 14.5% 4.5%
愛媛県 8.8% 4.7% 14.3%
高知県 7.8% 5.3% 13.6%
福岡県 10.2% 8.6% 12.7%
佐賀県 7.2% 6.3% 13.6%
長崎県 8.3% 6.3% 9.1%
熊本県 9.2% 9.2% 11.1%
大分県 9.3% 5.7% 22.4%
宮崎県 8.1% 9.0% 13.0%
鹿児島県 9.4% 4.7% 21.1%
沖縄県 10.9% 7.5% 4.9%

設置主体別の離職率

雇用種別 正規雇用看護師 新卒採用者 既卒採用者
全体 10.6% 8.2% 14.9%
国立 9.6% 7.2% 12.7%
公立 7.5% 7.5% 7.7%
日本赤十字社 9.6% 8.2% 8.0%
済生会 10.8% 8.0% 18.3%
厚生農業協会組合連合会 9.3% 6.9% 12.8%
その他公的医療機関 13.0% 4.5% 0.0%
社会保険関係団体 10.0% 6.7% 15.5%
公益社団法人・公益財団法人 12.0% 10.5% 16.1%
私立学校法人 12.1% 8.2% 15.0%
医療法人 13.6% 9.4% 19.0%
社会福祉法人 12.0% 8.2% 13.3%
医療生協 10.4% 4.9% 10.9%
会社 8.3% 7.6% 7.1%
その他の法人 11.1% 11.6% 13.2%
個人 11.5% 0.0% 16.7%

病床数別の離職率

雇用種別 正規雇用看護師 新卒採用者 既卒採用者
全体 10.6% 8.2% 14.9%
99床以下 11.7% 10.5% 17.7%
100~199床 11.7% 11.3% 17.8%
200~299床 11.4% 8.3% 14.7%
300~399床 10.7% 9.3% 15.1%
400~499床 10.0% 8.2% 12.7%
500床以上 9.8% 7.2% 12.2%

離職率が高い病院と低い病院の特徴

本章では、公共社団法人『日本看護協会』が2022年に公表した『2021年病院看護・外来看護実態調査(※)』のデータに基づいて、離職率が高い病院と低い病院の特徴を解説します。

(※)参考:2021年 病院看護・外来看護実態調査 報告書

離職率が高い病院の特徴

離職率が高い都道府県
  • 第1位 神奈川県 14.0%
  • 第2位 東京都 13.4%
  • 第3位 埼玉県 13.0%
  • 第4位 大阪府 12.3%
  • 第5位 愛知県 12.2%

上記から、人口が多い地域は離職率が高いことがわかります。病院の利用者が多く、看護師の負担が大きいことが原因だと考えられます。また、民間の医療機関は離職率が高い傾向にあります。

公的な医療機関の看護師であれば、「給与が安定している」や「福利厚生が充実している」というメリットがあります。このメリットに比べて、民間の医療機関には「同等以上のメリットがない」と感じる看護師が多いのかもしれません。

離職率が低い病院の特徴

全体の平均離職率が10.6%なのに対して、東北地方の平均離職率は7.6%となっています。このことから、東北地方の看護師は離職率が低いといえます。

離職率が6.1%と最も低い岩手県と宮城県では、『山形方式・看護師等生涯サポートプログラム』や『いわて看護職員確保定着アクションプラン』など、看護師の離職率を下げる取り組みが県単位でおこなわれています。

また、公的な医療機関も離職率が低いです。特に、地方独立法人や公立大学法人の離職率は7.5%となっており、平均と比較しても非常に少ない数値となっています。

他業界の離職率

厚生労働省が公表した『令和3年雇用動向調査結果の概況(※)』によると、全業界の平均離職率は、13.9%となっています。男女別で見ると、男性の離職率が12.8%で女性の離職率が15.3%となっています。

業界別で見ると、「宿泊業、飲食サービス業」の25.6%が最も高く、次いで「生活関連サービス業、娯楽業」が22.3%となっています。

このことから、看護師の平均離職率である10.6%は低い数値だといえます。

(※)参考:令和3年雇用動向調査結果の概況

離職率と新型コロナウイルスの関係

新型コロナウイルスが理由(※1)となり退職した正規雇用看護師の人数は、公共社団法人『日本看護協会』が2022年に公表した『2021年病院看護・外来看護実態調査(※2)』によると、0人が80.2%と多いです。

つまり、新型コロナウイルスと離職率に大きな関係性はないといえます。

(※1)新型コロナウイルスが理由とは、「新型コロナウイルス対策による労働環境の変化や感染リスク等を理由とした退職者」と定義
(※2)参考:2021年 病院看護・外来看護実態調査 報告書

看護師が離職する主な理由

エス・エム・エス株式会社が2021年11月におこなった「看護師の働き方に関する意識調査(※)」の結果によると、退職理由は下記となっています。

(※)参考:看護師の働き方に関する意識調査
退職理由
  • 第1位 人間関係への不満 31.0%
  • 第2位 仕事内容への不満 24.8%
  • 第3位 管理職のマネジメントへの不満 20.3%

人間関係への不満

看護師は、「人の命を預かる職種」であるため、精神的なストレスが非常に多いです。加えて、夜勤などもあり肉体的なストレスも多いです。

この理由から、心に余裕を持てなくなることも多く、部下や同僚に対する態度が悪くなってしまうことがあると考えられます。

また、指導方法にバラつきがあり、「どの人のいうことを聞けばよいのか」と悩むことも多いです。一方のいうことを聞けば、一方のいうことを無視する結果になり、人間関係が悪化する要因となっています。

実際、エス・エム・エス株式会社が実施した「看護師の働き方に関する意識調査(※)」でも、現職で不満を感じる部分として64.9%の看護師が、「指導方法のバラつき」に不満を感じると回答しています。これは、第2位の数値となっています。

(※)参考:看護師の働き方に関する意識調査

仕事内容への不満

エス・エム・エス株式会社が実施した「看護師の働き方に関する意識調査(※)」では、現職で不満を感じる部分として「適切な人員配置」や「企業・施設の方針」、「各種手当の充実」が挙げられています。

「自分に適していないと思う場所での仕事」や「納得できない方針に沿った仕事に不満」を感じる看護師が多いです。

また、手当が充実していないと感じる看護師が多く、「おこなった業務に対する報酬が少ない」と考えている看護師が多いこともわかります。

(※)参考:看護師の働き方に関する意識調査

管理職のマネジメントへの不満

エス・エム・エス株式会社が実施した「看護師の働き方に関する意識調査(※)」では、現職で不満を感じる部分として「適切な人員配置」と「指導方法のバラつき」が挙げられています。それぞれ、67.7%と64.9%と非常に高い数値を記録しており、不満を感じる部分の第1位・2位となっています。

管理職による適切な人材評価がおこなわれていないため、「自分に適していないと思う場所での仕事」を割り振られる確率が高いのでしょう。

また、確固とした指導方法が確立していないため、上司によって指導が異なり、混乱する原因となっていることがわかります。

(※)参考:看護師の働き方に関する意識調査

離職しないための対処方法

上記で解説した理由で離職しないための対処方法を解説します。

「人間関係への不満」の対処方法

上司や同僚などの態度が悪いと感じた際には、自分の態度を客観的に見てみましょう。

心理学では、「相手は自分の鏡である」という考え方があります。つまり、「自分が相手に対して悪い態度を取っているから、相手も自分に対して悪い態度を取っている」という考えです。

日々の業務での精神的なストレスや夜勤などでの肉体的なストレスによって、知らず知らずのうちに悪い態度を取っているのかもしれません。

「仕事への不満」の対処方法

「仕事への不満」を解消する方法は2つあります。1つは、現在の仕事に対して納得する方法です。もう1つは、客観的なデータによって仕事の変更を申し出る方法です。

現在の仕事が「自分に適していない」と感じていても、実際には適している場合もあります。自身の経験を棚卸して、「どのような業務ができるのか」を改めて考えると、今の仕事に納得できるかもしれません。

それでも「自分に適していない」と感じる場合には、資格や成果などの客観的なデータを用いて、仕事の変更を申し出るとよいでしょう。たとえば、高難易度の資格を取得しているのに、基礎的な仕事しか任せられない場合などの有効的です。

「管理職のマネジメントへの不満」の対処方法

「管理職のマネジメントへの不満」は、適切な人材評価がされていないと感じる際に抱く可能性が高いです。

「自分はこれだけやっているのに…」と感じた際には、上司との積極的なコミュニケーションが重要となります。おすすめのコミュニケーション方法は、1on1ミーティングをおこなうことです。

自分が思っていること」と「上司が思っていること」に乖離がある場合、コミュニケーションなくして改善は期待できません。そのため、1on1ミーティングの導入をおこなうことを提言してみてはいかがでしょうか。

改善できない場合は転職も視野に入れる

現職では「辞めたい」という気持ちが収まらない場合、転職も視野に入れましょう。自分に適した職場に転職することで、不満な気持ちを解消できます。

その際には、見切り発車で転職するのではなく、しっかりと準備してから転職しましょう。準備せずに転職してしまうと、新たな職場でも同じような不満を抱く可能性が高くなってしまいます。

看護師におすすめの転職サイト6選

おすすめの転職サイト
  • 看護roo!
  • レバウェル看護
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それぞれについて解説していきます。

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看護師の平均離職率は低い

看護師の仕事はキツイ」だから「離職率も高い」というイメージと異なり、看護師の平均離職率はほかの業界と比較しても低いです。

しかし、離職率が0%というわけではありません。自分に適した職場を選ばなければ、離職を選択せざるを得ない状況に陥るかもしれません。

そのため、離職しなくて済むよう、しっかりと準備して、自分に適した職場で働けるようにしましょう。

キャリア形成支援を主な事業とするCareer Expertを経営。具体的には、就職・転職支援や自己理解支援、キャリアデザイン支援などを実行。その経験や専門知識を活かし、読者の役に立つ記事を執筆。

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