HSPは看護師に向いていない?HSP看護師が働きやすい職場もご紹介
「HSP」とは、感受性が強く外部からの刺激に敏感に反応してしまう、繊細な感性を持った人のことを指します。
どのような仕事でも大なり小なり人と接点を持ちますが、看護師は患者さんやその家族を中心として、非常に多くの人と関わる職業です。
HSPの人には「他人に共感しやすい」という特徴があるため、その特性をうまく仕事に生かせればよいのですが、HSPゆえに人間関係に疲れてしまうことも考えられます。
この記事では、HSPの特徴やHSPの方が看護師として働くメリット・デメリットなどについて、説明します。
看護師が向いておらずほかの職種に転職したいと考えているHSPの方に向けて、おすすめの転職サイトもいくつか紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
HSPの特徴とは?
HSPは「ハイリー・センシティブ・パーソン(Highly Sensitive Person)」の頭文字を取ったもので、人間の気性や気質を表す名称です。
HSPの特徴としては、主に以下のようなことが挙げられます。
- 外部の刺激に敏感で疲れやすい
- 他人に共感しやすい
- 敏感で思い込みが激しい
- 物事を複雑かつ深く考えてしまう
外部の刺激に敏感で疲れやすい
HSPの方は冒頭でも触れたように、感受性が強く外部からの刺激に敏感に反応してしまう、という特性があります。
医療現場には、体に不調を抱えている方や病気の治癒がなかなか進まない方なども数多くいますので、そういった患者さんやその家族から心ないひとことをぶつけられることもあるでしょう。
ほかの人なら流せてしまえるような言葉でも、HSPの方だと敏感に反応してしまい、いつまでも引きずってしまうような可能性もあります。
他人に共感しやすい
他人に共感しやすいのも、HSPの方の大きな特徴のひとつです。
患者さんの機嫌や体調がよければ、自身も一緒になって前向きに仕事ができるでしょう。
しかしその反面、患者さんの機嫌や体調が優れなければ、自身に何か不手際や落ち度があったのかと、責任を感じてしまいやすいです。
観察力にも優れているため、非言語コミュニケーションにより共感しやすいのも、HSPの方ならではといえるでしょう。
敏感で思い込みが激しい
HSPの方は外部からの刺激や他人の発言に敏感ですが、それらに対する思い込みが激しいことも、HSPの特徴です。
患者さんの家族がお見舞いに来て、何気なく「なかなか快方に向かわないわねぇ…」とつぶやいたとしましょう。
HSPでなければ「患者さんのことを心配しているんだな」と受け取ることができますが、HSPの方だと「自分の看護が行き届いていないということをいいたいのかな…」と思い込んでしまい、いたたまれない気持ちになってしまうかもしれません。
物事を複雑かつ深く考えてしまう
思い込みが激しいということは、物事を複雑かつ深く考えてしまうということにもつながります。
何かをおこなおうとする場合でも、その行動に対して起きうるさまざまな事象の可能性を検討したうえで行動しようとするので、初動が遅いととらえられてしまうことも多々あります。
また、物事を深く知り本質的に理解しようとすることを好むので、適当に相槌を打つだけのうわべだけの会話を好まない方もいるでしょう。
HSPの看護師のメリット
HSPの方が看護師として働く場合、主に以下に挙げるようなメリットがあると考えられます。
- 患者さんの細かい変化に気がつきやすい
- 異常の早期発見につながりやすい
- 共感力がある
- 危機管理能力が高い
- 仕事が丁寧で信頼されやすい
患者さんの細かい変化に気がつきやすい
HSPの方は刺激や変化に敏感なので、患者さんの細かい変化に気がつきやすいです。
患者さんのなかには、思っていることや感じていることをなかなか言葉にできない方もいます。
HSPの方が看護をすることで、言葉になっていない気持ちや感情を敏感に察して患者さんに問いかけをすることなどができるので、患者さんとの信頼関係を築きやすくなるでしょう。
異常の早期発見につながりやすい
患者さんの細かい変化に気づきやすいということは、患者さんが抱える体の異常を早期発見しやすい、ということにもつながります。
たとえば胃がんなら吐き気や食欲不振、脳梗塞なら体の痺れやろれつの回らなさなどが前兆・初期症状として挙げられますが、早い段階で気づいて対処することができれば、進行を食い止めやすくなります。
HSPの方が患者さんに対して感じる「普段とどこか違う」というような感覚が、異常の早期発見に役立つケースも考えられるでしょう。
共感力がある
HSPの方の特徴のひとつである共感力の高さは、看護師として働く際に大きく活躍します。
患者さんの気持ちになって寄り添うような看護ができるので、患者さんとしても気持ちよく過ごすことができるでしょう。
また、共感力の高さが役立つのは患者さんが相手のときだけではありません。
仕事をおこなうにあたって困る点や悩む点にも共感しやすいので、後輩看護師のよき相談相手にもなれるでしょう。
危機管理能力が高い
HSPの方は、起きる可能性のある事象を踏まえた上で行動しますが、それは危機管理能力の高さにもつながります。
ほかの人が考慮できていなかった可能性でも、HSPの方がいたおかげで素早く対処することができ、大事に至らなかったというようなケースもあるでしょう。
なお、危機管理上問題のあるようなことがあった場合、それをほかの看護師に伝える必要が出てきます。
意見を忌憚なく伝えられる人間関係が構築できている職場であれば、HSPの方もより働きやすいでしょう。
仕事が丁寧で信頼されやすい
HSPの方は些細な変化にも気づいて配慮できるので、仕事が丁寧で信頼されやすいです。
人の命を預かる医療現場において、仕事が丁寧であることは非常に重要で、患者さんからも信頼を置いてもらいやすくなります。
患者さんが信頼を置いてくれているということは看護師本人にも伝わりますし、とくにHSPの方であれば敏感に感じ取ることができるので、よいループのなかで仕事ができるでしょう。
HSPの看護師のデメリット
逆に、HSPの方が看護師として働くデメリットとしては、主に以下のようなことが挙げられます。
- 自分のせいにして落ち込んでしまう
- 仕事を断れないのでパンクしてしまいがち
- 他人に共感し過ぎて疲れてしまう
- 自己否定しがちで辛くなる
自分のせいにして落ち込んでしまう
HSPの方は、周囲に機嫌の悪い人や落ち込んでいる人がいると、その原因が自分にあるのではないかと思い込んで、落ち込んでしまうことがあります。
医療現場には体調が万全でない方も数多くいるので、そういった負の感情も見られやすく、HSPの方にとっては辛い職場かもしれません。
HSPの方は一度メンタルのバランスを崩してしまうと、元に戻るのに時間がかかることも多いので、常に本調子ではないまま仕事と向き合うことになる可能性もあるでしょう。
仕事を断れないのでパンクしてしまいがち
HSPの方は、仕事を断れないことが多いです。
「自分が仕事を断ると相手は自分のことをどう思うだろう」という思考が働いてしまうからでしょう。
そのため、たとえ自分の抱えている仕事が多くても仕事を引き受けてしまうという方が、少なくありません。
HSPの方は相手の気持ちを慮るあまり、人に仕事を頼むことやヘルプを要請するのが苦手だということも相まって、パンクしてしまうことが多いのです。
他人に共感し過ぎて疲れてしまう
他人への共感力が高いということはメリットではありますが、共感でき過ぎてしまうと、気を遣い過ぎて疲れてしまいます。
前向きな気持ちに対して共感できればよいのですが、医療現場では後ろ向きな気持ちの方も少なからずいますので、必ずしもよい方向に働くとは限りません。
他人に共感し過ぎて疲れるというのは、どのような仕事をしていても起こりうることですが、とくに医療現場では多くの人と関わるため、HSPの方は心が休まる期間があまりないでしょう。
自己否定しがちで辛くなる
HSPの方は、ほかの人からの些細なひとことにも敏感に反応しがちです。
看護師として仕事をしていると、患者さんからの文句やダメ出しや、指導的な立場にいる看護師からの注意を受けることも多々あります。
患者さんとしては軽い気持ちでいったつもり、指導者としてはよりよい方向に導きたいという気持ちでいったつもりの言葉だったとしても、HSPの方はそれを必要以上に重くとらえてしまいやすいです。
その結果、「自分はダメなんだ…」と自己否定に入り辛くなってしまうという経験をしたことがあるHSPの方も、少なくないのではないでしょうか。
HSPは看護師に向いていない理由
HSPの方にとって、看護師として働くのは難しいことも多いようです。
その理由としては、主に以下のようなことが考えられます。
- 周囲に気を遣いすぎるから
- 仕事を断りづらいから
- 女性社会でストレスが多いから
- 看護業務以外の仕事が多いから
- 精神的緊張が長く続くから
周囲に気を遣いすぎるから
HSPの方は周囲の変化や反応に敏感で、周囲に気を遣いすぎる傾向にあります。
仕事中に関わる相手が少人数であれば気を遣う相手も少しで済みますが、看護師は患者さんやその家族、医師に同僚と非常に多くの人と接しながら仕事をしなければなりません。
それだけ多くの人に気を遣いながら仕事をするのは、なかなかしんどいことです。
仕事を断りづらいから
「自分でできる以上の仕事を抱え込まないこと」や「必要に応じて周囲の人に助けを求めること」は、仕事をうまくこなすための重要なポイントです。
とくに医療現場は人の命を預かって仕事をするところなので、キャパ以上の仕事を抱え込むことは、患者さんの体調や生死に直結しかねません。
仕事を断りづらく周囲に助けも求めにくいHSPの方は、看護師として仕事をするのは厳しいことも多いでしょう。
女性社会でストレスが多いから
最近でこそ男性の看護師の方も少しずつ増えてきてはいますが、依然として看護師は女性比率の高い職業ではあります。
人付き合いをすることに何らかのストレスが付きまとうのは仕方のないことではありますが、とくに女性社会のなかで仕事をする場合、よりさまざまなストレスを感じる方は多いでしょう。
HSPの方は仕事でストレスを感じる原因を「自分が悪いからだ」と思い込んでしまうので、看護師のようにストレスを感じることの多い職業にはあまり向いていませんし、ストレスが原因で自分の体調を崩してしまう可能性もあります。
看護業務以外の仕事が多いから
看護師は患者さんの看護だけおこなっていればよいかといわれるとそういうわけでもなく、看護記録作成などの事務仕事もおこなわなければなりません。
事務仕事は対人ではないので、HSPの方がしんどい思いをすることもあまりありませんが、仕事の種類が変わる分、普段とは異なる人に気を遣わなければいけない可能性も出てきます。
さまざまな種類の仕事をするということは、それだけさまざまな人と関わる必要が出てくるということなので、共感力の高いHSPの方にとっては心が休まらないかもしれません。
精神的緊張が長く続くから
医療現場では人の命を預かりながら仕事をおこなっているので、精神的な緊張を抱えたまま仕事をすることになります。
ただでさえ共感力が高いことで、気を遣いすぎて疲れてしまうことの多いHSPの方にとって、精神的緊張が長く続く看護師という仕事は、負担が大きいことは間違いないでしょう。
心身共にベストなコンディションで働けなければ、仕事でのパフォーマンスが低下してしまうことも懸念されます。
HSPの看護師が働きやすい職場
HSPの方が看護師として働けるかどうかには、職場環境も大きく関わってきます。
HSPの看護師の方が働きやすい職場環境としては、以下のようなところが挙げられるでしょう。
- ほどよい距離感の人間関係が維持できる職場
- 業務内容や患者さんの変化が小さい職場
- 勤務条件が整っている職場
それぞれについて、詳しく説明します。
ほどよい距離感の人間関係が維持できる職場
共感力の高いHSPの方は、人間関係の密な職場だと気持ちの休まるタイミングがないかもしれません。
看護師として働く以上、ほかの人と連携しながら仕事をおこなうのは必須です。
ただ、ほどよい距離感を維持しながら働ける職場のほうが、HSPの方にとっては働きやすいでしょう。
業務内容や患者さんの変化が小さい職場
HSPの方は周囲の変化に敏感に反応してしまうので、業務内容や担当する患者さんの変化などは、なるべく小さいほうが好ましいです。
患者さんが頻繁に入退院したり、担当する仕事がよく変わったりするような職場では、HSPの方は普通の方以上に気疲れしてしまうでしょう。
そういった意味では、規模のあまり大きくない病院のほうが働きやすいかもしれません。
勤務条件が整っている職場
病院での勤務条件は職場によって違いますし、勤務時間も2交代制か3交代制によって異なります。
2交代制の職場の場合、夜勤だと16時間も連続で働くことになるので、HSPの方にとっては心身ともに厳しいシフトといえます。
また、残業がどの程度常態化しているかも病院によって異なるので、勤務する職場によって働きやすさは大きく変わってくるでしょう。
HSPの方で看護師を続けたいものの、今の職場では難しそうだと感じているのであれば、転職サイトに登録して自分により合った職場を探してみるのがおすすめです。
看護師におすすめの転職サイト
看護師の方が転職を検討する場合も、一般的な転職活動と同じように転職サイトで理想的な求人を探す、というのが基本的なパターンになるでしょう。
看護師の方が転職活動する際に利用するのがおすすめの転職サイトとしては、以下のようなところが挙げられます。
看護roo!
看護roo!は、株式会社クイックが運営する看護師・看護学生のための総合サイトです。
転職を検討する場合、今よりもよい条件のところに絞って求人を探したいですが、看護roo!では月収で求人を絞り込むことができるので、効率的に求人を探すことができます。
HSPの方の場合、2交代制ではなく3交代制のシフトを敷いている病院のほうが働きやすいと思いますが、2交代制か3交代制かという軸でも求人を絞ることができるので、自分にぴったりの職場を見つけやすいでしょう。
レバウェル看護
レバウェル看護は全国11ヵ所に拠点があり、日本全国の看護師求人を取り扱っています。公開求人数は14万件以上と、圧倒的な求人数を誇り、業界トップクラスです。
より多くの求人から転職先を選びたい方におすすめの転職サイトです。看護のお仕事は累計利用者数40万人を超える最大手級転職サイトです。
また、年間4,000回以上の施設訪問による取材結果の一部が公開されており、各施設の求人票から確認できるのでおすすめです。
ナース人材バンク
ナース人材バンクは、株式会社エス・エム・エスが運営する、日本最大級の看護師転職サイトです。
ナース人材バンクではこれまで多くの看護師の転職活動をサポートしてきた経験があり、病院の内部事情に精通しているのが大きな強みです。
転職者の人となりなどを把握したうえで担当者がその人に合った職場の求人を紹介してくれるので、HSPの方にとっては心強いでしょう。
また、履歴書の添削や面接対策などもおこなってくれます。
転職活動をおこなうにあたっての不安要素をなくしたうえで選考に臨めるので、自信を持って転職活動を進められるでしょう。
まとめ
HSPの方は外部の刺激や変化に敏感で、他人に共感しやすいという特性があります。
看護師として働く場合、そういった特性のおかげで患者さんの変化にいち早く気づける、仕事が丁寧で信頼されやすいといったメリットがあります。
その一方で、何でも自分のせいにして落ち込みやすい、他人に共感し過ぎて疲れてしまうといった点は、働くうえでのデメリットとなりえるでしょう。
HSPの方が気持ちよく働けるかどうかには職場環境も大きく関わってくるので、今の職場で仕事を続けるのが辛いと感じる場合は、転職を検討してみるのもおすすめです。
転職活動の際には転職サイトを利用すると思いますので、今回ご紹介した転職サイトなども活用しながら、より自分に合った職場を探しましょう。
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