透析患者がわがままな理由とは?透析看護師がつらい時の解決策を解説
「透析看護師ってどんな仕事?」という悩みを解決するため、透析看護師や透析患者の実態について解説していきます。
透析という仕事と向き合うには、実態を正しく理解して、対処法を身に着けておくことが重要です。
本記事では、透析看護師の詳細だけでなく、透析を受ける患者の実態や透析看護師におすすめの転職先も紹介しています。
透析看護師についての情報を集めたい方は、ぜひ参考にしてください。
透析患者の実態
透析患者は、透析に伴うさまざまな要素によって、非常に多くのストレスを抱えています。そのため、透析患者は、わがままになったり、怒りっぽいと感じられる場合が多いです。
透析患者が抱える問題を理解して、適切に対応できるようにしましょう。
透析患者がわがままになる理由
透析患者がわがままになってしまいやすい理由は、病院に通っても治らない病気だからです。
透析患者の多くは、腎臓に問題を抱えています。腎臓は、回復機能を備えていません。そのため、生活に支障を与えるレベルに腎臓機能を悪くしてしまうと、生涯を通じてケアしなければいけません。
腎臓は生活習慣によって悪化してしまうため、日々の生活に細心の注意を払うことが求められます。
透析とは、腎臓の機能を回復させる治療ではありません。腎臓がおこなうべき仕事である「血液の濾過」などを人工的におこなう治療です。
機能を回復させる治療ではないため、透析を受けても「症状が回復した」と実感できません。実際、腎臓がおこなうべきことを代わっておこなっているだけであり、何も好転していないのです。
透析患者は、受け入れがたい現実を受け入れなければいけません。まず、「治らない」という現実を受け入れる必要があります。
また、「一生病院に通わなければいけない」という現実を受け入れることも必要です。さらに、日々の生活に細心の注意を払わなければ、悪化してしまうという不安を抱えて生きることになります。
透析患者の多くは、「治せない医者」に大きな不満を感じます。実際に治すことは極めて難しいのです。
そのため、医者に落ち度はありません。しかし、透析患者側の視点では「病院に通っているのに治らない」という事実だけが残ります。
これらの理由から、透析患者はわがままになりがちなのです。治らない病気と一生付き合っていくというストレスによって、態度が悪くなってしまいます。
また、日々の生活に細心の注意を払わなければ悪化してしまいます。そのため、飲食・飲酒などでストレスを発散させることも難しいのです。
透析看護師の実態
先述したとおり、透析患者はさまざまな問題を抱えています。そのため、透析看護師もさまざまな問題に対処してなければいけません。
この理由から、下記の悩みを持っている場合が多いです。
- ストレスが多い
- 専門的な知識・技術が多い
- 患者の態度が悪いと感じる
ストレスが多い
透析看護師は、現状から好転することが少ない環境で働かなければいけません。
一般的に病院とは、患者は病気を治すために行くところです。完治が難しい癌のような病気であっても、患者は病気を治すために病院に通います。
看護師も同様で、完治を目指す患者の看護をおこないます。緩和ケア病院などのように、治療が目的でない病院もあります。しかし、多くの病院は、患者を治すために存在しています。
看護師は、「患者が元気になる姿を見る」ということが、やりがいの1つとなっています。つらい状態にある患者が、元気になる姿を見て「役に立てた」と感じられるからです。
患者も治療や看護によって元気になったことがわかるため、「ありがとう」などの感謝の気持ちをくれます。
しかし、透析患者の多くは、状態が良くなることはありません。
腎臓には、回復機能が備わっていないです。そのため、一度でも腎臓の状態が悪くなれば、良くなることは少ないです。
透析も腎臓を回復させるための治療ではありません。腎臓の代わりに、腎臓がおこなうべき仕事を人工的におこなっているだけです。
つまり、透析看護師は「看護師としてのやりがい」が欠けているのです。
真摯に業務と向き合っているのに、患者の状態が好転しません。「頑張りが報われない」と感じる場面も多いでしょう。また、透析患者の多くは不快感を抱いていることが多く、患者からの感謝の気持ちを感じられることも少ないです。
これらの理由から、透析看護師には非常に多くのストレスがあります。
やりがいが感じられない環境での仕事は、精神的なストレスになります。また、状態が良くならない患者を見ることも精神的なストレスになるでしょう。
透析患者の多くは、不快感を抱いていることが多いため、空気の悪い環境で仕事をしなければいけないというストレスもあります。
専門的な知識・技術が多い
透析看護師の仕事は、専門的な知識・技術が求められ、ほかの分野の看護師よりも難しいです。
また、ほかの分野で活かせる技術が少ない傾向にあります。
そのため、看護師としてのキャリアに不安を感じる方も多いです。透析看護師は、看護師のなかでも特殊な業務をおこないます。
透析看護師が嫌になっても、「他分野の看護師として働けるのか」という悩みを持つことになります。つまり、キャリアの選択肢が非常に少ないのです。
そもそも、「知識や技術を習得できるのか」という点について不安に感じる看護師も多いです。透析装置の準備などは、正確におこなえるようになるまで指導してくれます。
しかし、なかなか習得できずに怒られるという経験をすることもあります。その際に、ほかの分野への転職が難しい点でも悩みを持っている方が多いです。
これらの理由から、専門的な知識・技術が多いことに悩みを持っている透析看護師が多いです。
透析看護師が嫌になった際に、「ほかの道へ逃げる」という選択が取りづらいです。
「透析看護師なら活かせる知識・技術」がほとんどで、幅広く応用できる知識・技術の習得ができません。
患者の態度が悪いと感じる
透析看護師は、看護師として適切な対応をしていても、患者から悪い態度で接せられることが多いです。
患者の態度が悪くなる理由は、主に2つあります。
1つは、エンドレスケアをしなくてはいけなく、非常に多くのストレスを抱えているからです。
もう1つは、透析に伴う病気によって大きな不快感を抱いているからです。
これらは、透析看護師として適切な対応をしていても生じてしまいます。エンドレスケアが必要な理由は、透析が治すための治療ではないからです。
腎臓には、回復機能が備わっていません。そして、透析は腎臓を治す治療ではなく、腎臓がおこなうべき仕事を人工的におこなう治療です。
そのため、透析をおこなっても病気がなくなるわけではありません。
透析患者が大きな不快感を抱く理由は、合併症にイライラ感やストレスを増加させる症状があるからです。全身に痒みがあり、夜も眠れなく場合もあります。
睡眠不足によって、感情のコントロールが利かなくなることがあるのです。
また、日常生活に細心の注意を払わなければいけないため、心に余裕がなくなる場合も多いです。
これらの理由から、透析患者は態度が悪くなりがちです。
しかし、透析患者も「嫌な態度を取ってやろう」と考えているわけではありません。ストレスや症状によって、大きな不快感を抱いているのです。結果として、嫌な態度を取るようなこともありえるのです。
透析看護師の悩みを解決する方法
透析看護師としての悩みを解決するには、下記の方法が挙げられます。
- ストレスへの対処法を習得する
- スキルを身につける
- 患者の状況を理解する
- 転職する
ストレスへの対処法を習得する
ストレスの対処方法は、個人的な好みや状況によって異なりますが、多くの人に効果的な方法もあります。
1つは、適度に運動する方法です。
運動は、肉体的な健康にだけ効果があるものではありません。精神的な健康にもよい影響を与えます。運動は、ストレスホルモンのレベルを下げることができます。
これによって、不安やイライラを軽減できるのです。
また、ゆっくりと落ち着ける時間を設けることも効果的です。
自身を落ち着ける方法は、人によって異なります。そのため、「自分はどの方法なら落ち着けるか」を探しましょう。
一般的には、瞑想やストレッチなどをおこなうことで、精神的な安定感を得られます。
最も重要なのは、自分自身の気持ちに気づくことです。
疲れていることやイライラしていることを我慢している状態では、非常に多くのストレスを感じます。同じ状況でも、「私はイライラしているな」と客観的に理解することで、ストレスレベルを下げられます。
自身では難しい場合には、カウンセリングを受ける方法もおすすめです。
スキルを身につける
自身のキャリアに不安を感じる場合には、スキルを身につける必要があります。
今後も透析看護師として働く場合には、「透析療法指導看護師」の取得を目指すとよいでしょう。「透析療法指導看護師」とは、透析のスペシャリストに位置付けられている資格です。
透析に関する専門的な知識・技術を習得することで、チームに欠かせない存在を目指せます。
「透析療法指導看護師」になるには、試験に合格する必要があります。試験自体は簡単で、受けた人の多くが合格できます。
しかし、受験資格を獲得することが難しいです。試験を受けるためには、下記の条件をクリアする必要があります。
- 正看護師であること
- 正看護師として5年以上の実務経験があること
- 日本腎不全看護学会の正会員として3年以上継続して入会していること
- 腎不全看護領域の実務経験が3年以上あること
- 腎不全看護領域での実践報告を3例提出すること
- 学術研究会やセミナーに参加して、受験資格ポイントを30ポイント以上獲得すること
他分野の看護師や他業界に転職したい場合には、転職したい職種に応じたスキルを獲得しておきましょう。
透析看護師の業務は特殊なため、「透析看護師の経験」だけでは、他分野や他業界への転職は難しいです。ほかに応用できるスキルが少ないことを自覚し、空いた時間などで勉強する必要があります。
患者の状況を理解する
透析患者が「いかにつらい状況なのか」を理解することで、患者から嫌な対応をされても気にならなくなります。
「知識として知っていること」と「理解していること」には、大きな差があります。
たとえば、「毎日運動すれば痩せる」と知っていたとします。しかし、「運動することのつらさ」や「継続することの難しさ」などは理解できていない場合が多いです。
実際、ダイエットを始めたけど三日坊主で終わるということも珍しくありません。
自分が経験しなければ理解できないことも多いです。そのため、透析看護師が真に透析患者の状況を理解することは難しいです。
しかし、理解しようと努力することで、少しずつでも理解を深められます。諦めずに理解する気持ちを持ち続けることが重要となります。
経験した人から話を聞くことで、理解を深められます。「嫌な態度を取られるから」と敬遠せず、透析患者とコミュニケーションを取りましょう。
コミュニケーションのなかで、「いかにつらいのか」が理解できるかもしれません。つらさが理解できれば、少し嫌な態度を取られても気にならなくなります。
転職する
透析看護師として、「継続して働きたくない」と感じた場合には、転職も選択肢に入れましょう。
透析看護師は特殊な職種であるため、向き不向きが明確です。また、仕事内容は決まったことを継続しておこなうことが多いです。
そのため、不向きだと感じたなら、将来的にも不向きだと感じている可能性が高いです。
我慢して継続したとしても、ほかで活かせるスキルなどは習得できません。透析看護師は、専門的かつ特殊な職種です。
そのため、透析看護師として活かせるスキルしか身につかないです。つまり、我慢することにあまり意味がないのです。
透析看護師の転職を成功させる方法
透析看護師は、専門的かつ特殊な職種であるため、他職種への転職が難しいです。
転職を成功させるには、下記の流れを押さえる必要があります。
- 自己分析をおこなう
- 適した職場を選択する
- スキルを習得する
自己分析をおこなう
自己分析とは、自身の特徴や長所・短所を分析して、強み・弱みを発見する作業です。
職業指導の父と呼ばれるパーソンズは、「丸い釘は丸い穴に」といっています。釘とは、人材のことを指していて、穴とは職場のことを指しています。
つまり、「人材と職場がマッチしている形が最適だ」という意味の言葉です。
マッチしていなければ、釘(=人材)としての機能や穴(=職場)としての機能を最大限に発揮できません。「自身がどの形の釘(=人材)なのか」が明確でなければ、適した穴(=職場)を選択できません。
できることやできないことを分析して、自身がどのような釘(=人材)なのかを理解する必要があります。
また、「どのような釘(=人材)に変化できるか」も理解しておくと、職業選択が捗ります。
適した職場を選択する
自身の能力が明確であっても、発揮できる職場でなければ意味がありません。
業界や職種によって、求められる能力は決まっています。たとえば、ITエンジニアであれば、パソコンスキルや時間管理能力が求められます。
そのため、自身の能力が活かせる業界・職種を見極める必要があるのです。
もし、「どんな業界を選べばよいのかわからない」という状態であれば、自己分析が不十分な可能性が高いです。同じ業界・職種であっても、職場によって求められる能力が異なる場合もあります。
たとえば、研修が充実している職場などです。
この職場の場合、業務に必要な能力は、入社後に習得可能です。しかし、代わりに理解力や熱意などが求められます。
一方で、研修が充実していない職場では、即戦力が求められている可能性が高いです。
スキルを習得する
自分の能力や職場の環境を理解した際、足りない部分があれば勉強して習得しておきましょう。
転職をおこなう場合、未経験者よりも経験者の方が好まれます。
未経験者を採用するなら、より若く将来的に育つ可能性が高い新卒を採用するからです。転職者には、即戦力になるという役割が求められていることが多いです。
「未経験者可」という募集であっても、経験者の方が優先的に採用されます。
未経験でも、スキルによって採用される可能性を高めらます。未経験の場合には、専門的な資格を取得するなどの方法で、「未経験」という部分をカバーできる可能性が高いです。
特に、資格がなければできない業務などがある場合には、資格を取得することは最重要となります。
透析看護師におすすめの転職サイト
透析看護師が転職を検討する際には、看護師の転職に特化した転職サイト・転職エージェントの利用がおすすめです。
下記のおすすめ転職サイトを紹介します。
- 看護roo!
- マイナビ看護師
- ナース人材バンク
看護roo!
看護roo!は、転職活動のプロによる全面的なサポートを受けられる転職サイトです。30年以上もサービスを提供しており、転職に関するノウハウが多いため安心して利用できるでしょう。
求人の紹介から面接で聞かれる質問の共有、履歴書サポートや面接対策などを無料で受けられるため、理想の仕事が見つかりやすく内定を獲得しやすいです。
求人はLINEやメールでできるだけ多く紹介してもらえるため、自分で求人を探す手間・苦労を省けるでしょう。
累計利用者数50万人以上で、求人数が豊富であり、サポートも充実しているためバランスが良いサービスでもあります。
マイナビ看護師
マイナビ看護師は、看護師の転職支援に特化した転職エージェントです。
豊富な求人を保有しているため、自分に適した求人を探しやすいです。求人を閲覧できるだけではなく、転職のプロによって適した求人を紹介してもらえます。
その際には、自身の希望を伝えることで、よりよい求人を探し出してもらえます。
全国に専任アドバイザーを配置し、さまざまな情報を収集・共有してくれます。採用担当者の話だけ聞き、情報を共有しているわけではなく、現場で働く看護師からも話を聞き、集めた情報を共有してくれるのです。
そのため、よりリアルな情報を得られます。
ナース人材バンク
ナース人材バンクは、看護師専門の転職支援サービスです。
業界最大級に求人を保有していて、自分に適した求人を見つけられる可能性が高いです。
北海道から沖縄、離島まで日本全国の求人を網羅しています。
また、転職のプロによって適した求人を紹介してもらえます。その際には、希望の条件を伝えることで、よりよい求人を探し出してもらえます。
各都道府県にキャリアパートナーを配置し、詳細な求人情報を提供してくれます。また、求人票には載らない病院の内情を共有してくれます。
そのため、「その病院で働いた際の自分」を明確に想像できるのです。また、「思っていた環境と違う」と感じる可能性を減らすことができます。
まとめ
透析看護師は、ほかの分野の看護師よりも専門性が高いです。透析分野でしか活かせないスキルも多く、将来に不安を感じる部分もあるでしょう。
また、透析に伴うさまざまな問題によって、感情が不安定になっている透析患者と関わっていく必要があります。そのため、「つらい」と感じることもあるかと思います。
もし、「透析看護師を辞めたい」と感じた際には、転職サイトの利用を検討してみてください。
転職のプロから、さまざまな支援を受けられます。
キャリア形成支援を主な事業とするCareer Expertを経営。具体的には、就職・転職支援や自己理解支援、キャリアデザイン支援などを実行。その経験や専門知識を活かし、読者の役に立つ記事を執筆。