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熱意ある学生を日本代表に!「トビタテ! 留学JAPAN」の担当者に最近の留学事情を聞いてみた

熱意ある学生を日本代表に!「トビタテ! 留学JAPAN」の担当者に最近の留学事情を聞いてみた

日本と異なる文化に触れる機会を得られるほか、英語をはじめとした外国語をフルに活用する機会にもなる海外留学。近年はコストパフォーマンスの面から、アジアなど新しい地域への留学が注目されています。また、コロナウイルスの流行によって「オンライン留学」を利用する方も出てきています。

留学地域やその形式など、さまざまな部分に変化が見られる近年の留学事情。今回は、官民協働で学生の海外留学を支援する「トビタテ!留学JAPAN」キャンペーンの広報担当である西川朋子さんに、キャンペーン内容から留学における費用まで、さまざまなお話を伺いました。

留学は世界で活躍するための準備になる

―本日はよろしくお願いいたします。まずは、「トビタテ!留学JAPAN」がどのようなキャンペーンなのかについてお聞かせください。

西川朋子さん(以下、西川):よろしくお願いいたします。「トビタテ!留学JAPAN」は、2013年10月より始まった、官民協働、オールジャパンでの留学促進キャンペーンです。

主な取り組みとして、多様な留学の「日本代表」を送り出すために、企業からの寄付を原資とする留学支援制度「日本代表プログラム」を2014年からスタートさせています。

当プロジェクトでは2020年までに1万人の留学を支援することを目標に活動していました。しかし、コロナの影響を考えて2021年までプロジェクトを延長することが決定しており、2022年以降の在り方も検討中で、現在はその調整を進めています。2020年11月27日に、コロナ禍で先が見通せない中ではありますが、来年夏に備えて高校生と大学生向けの奨学金の募集を開始しました。


―ありがとうございます。長年にわたり留学を支援してきた西川さんから見た、留学のメリットとは何でしょうか?


西川:日本はこれから超少子高齢化社会へと突入していきます。それにともない内需が大幅にダウンしていくことを考えると、ビジネスマーケットを日本だけでなく世界へと広げていくためのスキルが必要になりますよね。その際に、留学の経験は世界を舞台に活躍する準備になると考えています。

また、AIの発達によって、やがて単純作業はAIにとってかわられてしまうのではないでしょうか。そうなると、内需縮小とあいまって、これからの若者は世界に向けていろいろなものを生み出す仕事をしていく必要があります。

その際には、自身の持つダイバーシティが情報やアイデアの源となります。そのために、国境を超えて学んだり、世界に友人を作ったりという経験が重要になると思っています。


―留学という出来事を通して自身の世界を広げ、成長できるということですね。

西川:自身の常識を超えた経験ができるという点でも、留学は成長につながると思います。たとえば留学生たちは「自分の意見を都度確認される」、「ホストファミリーがふたりともホストマザーだった」など、日本の常識と異なる価値観や文化に触れていく体験をしており、それは、留学の醍醐味のひとつです。そうした、自分の殻をやぶる、視野が広がるような出来事を、私たちは「越境体験」、「アウェー体験」と呼んでいます。


―留学での体験や成長は、人生のどんなところで活かされるのでしょうか。

西川:たとえば、就職した会社で海外事業部が立ち上がった際に、抵抗感なくチャレンジしていけるようになるなど、人生のチャンスを広げていけるのではないでしょうか。

起業するとしても、日本だけでなく海外のマーケットを含めて考えられるようになるなど、留学は選択肢を広げる際にとても役立つのではないかと思います。

アジア留学は費用を抑えて大きく成長できる

―続けて、近年増加傾向にあるアジアへの留学の特徴について教えてください。

西川:10年前くらいから、アジアへの留学は人気が高まってきていました。アジアは物価が安く、諸費用を抑えられる点が人気の理由です。

たとえば、語学留学について言えば、物価の高い欧米へ留学して午前中だけのグループレッスンを受けるよりも、フィリピンのセブ島で一日中マンツーマンの授業を受けるほうが安いです。

もちろん欧米やオセアニアの英語圏での語学学校のほうが生徒の国籍が多様な傾向があるなど、それぞれにメリット・デメリットはありますが、時間のないビジネスパーソンや学生さんにとっては、アジアへの留学は非常にコストパフォーマンスに優れた選択肢のひとつと言えます。

また、アジアのTOP大学への進学はアジアの未来のリーダー層とネットワークを築くチャンスにも恵まれています。実は、アジアに限りませんが海外の大学の多くでは、日本人は「レアキャラ」として歓迎されるんです。

大学の授業はディスカッションがメインとなりますが、いいディスカッションにはダイバーシティが大切です。そうした点で、多くの大学においてまだまだ数の少ない日本人は非常に貴重な存在となります。

費用面を抑えながら、倍率の高い入試を潜り抜けた現地の学生と交流を深められる点は、アジア留学のメリットのひとつですね。ちなみに東欧、北欧の大学も費用面、教育クオリティの両面でおすすめなので、併せてチェックいただきたいです。


―語学面の成長も見込んで留学される方もいると思いますが、アジアへの留学は英語力の成長にもつながるのでしょうか?訛りなどは心配ないのですか?


西川:インド訛りの英語を表す「ヒングリッシュ」という言葉があるように、私たち日本人含めアジア出身の方々が話す英語にはかなり癖があります。ネイティブの方々は聞き取れるんですが、私たちは苦労します(笑)。でも、それこそがグローバルな社会で日々使われている生きた英語ともいえます。アジア留学は、そうした英語の訛りに慣れる機会にもなりますね。

ちなみに、英語の訛りというのは母語が強く影響します。そのため、日本人である私たちがインドへ留学しても、話す英語が簡単にヒングリッシュになる訳ではないんです。多分、長年の日本語訛りを直すほうが大変かと思います。留学先の英語の訛りについては、そこまで心配する必要はないと思います。

発音をイギリス式ないしアメリカ式にしたいのであれば、アジア留学と発音矯正のオンライン講座を併用するといった手法も取ることができます。


―近年は留学自体をオンラインでおこなうという選択肢も出てきましたね。

西川:オンライン留学はコロナで顕著に増えましたね。海外に行けないので仕方なくという方もいれば、価格面のメリットを感じてチャレンジされる方もいらっしゃいます。

また、「お試し的」に学校の雰囲気を感じる方法として活用されるケースもありますね。ただ、アメリカのように時差が大きい地域の留学に活用するのは難しいかもしれません。

留学費用は形式や地域によって大きく変動する

―続いて、具体的な留学費用についてお伺いしたいと思います。

西川:留学費用についてお話しする上で最初にお伝えしておきたいことがあります。学費も生活費もケースバイケースで幅や変動があるため、あくまでざっくりの目安をお伝えすることしか出来ませんので、興味を持ったら個別の最新情報を調べてみて下さいね。

私たちは高校生と大学生を対象に支援をおこなっていますので、それぞれ分けてお話します。例えば高校生の一年間の留学方法は大きくわけて2通りあります。

選択肢のひとつが、留学支援団体がおこなう交換留学と呼ばれるものです。そういったところを利用すると、お小遣いをどのくらい使うか、海外旅行保険のプランなどにもよりますが、一年間で大体150万から250万くらいの費用がかかります。ちなみに、交換留学向け全額免除の奨学金制度を設けている団体もあります。

もうひとつの選択肢は、自分で高校を選んで留学する方法です。これは選んだ高校によって金額が大きく変動します。

アメリカやカナダ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドの私立高校へ留学する場合、ホームステイの費用などの生活費を含めると少なくみても250万ぐらいはかかります。国により受け入れの条件は様々ですが、公立高校に留学するなら、授業料だけなら年間数十万程度に費用を抑えられる場合もあります。


―地域によって大きく費用が変わりますね。


西川:はい、大学の場合も同様です。例えばアメリカの私立大学へ通う場合、寮費などを含めると一年間で500万円から800万円くらいの費用が必要となります。州立大学でも寮費含め3~400万円くらいは見ておいたほうがよいです。

ただし、アメリカの大学は優秀な学生に向けた奨学金が充実しています。なかには授業料を全額免除されている学生さんもいらっしゃいますね。

ちなみに、出願時点での英語能力に自信がないという方は、東欧や北欧の大学への留学がおすすめです。実は、東欧や北欧の大学は教育水準の高さに反して、学費や出願ハードルが低い傾向があります。学費は学部にもよりますが、70万~150万程度と日本の私立大学に近い水準です。

たとえば、ハンガリーの有名大学のなかには、TOEFL60点程度で入学でき、学費免除に加え生活費も支給する奨学金制度の対象となる大学があります。オランダにはさらに低いTOEFLスコアでも受け入れてくれて、大学の授業を受けられるレベルに達するための英語学習をサポートしてくれる「ファウンデーションコース」を設けている大学があります。入試の基準や学費は毎年変わりますので、最新の情報は大学等のHPで確認してくださいね。

また、これはよく知られている制度だと思いますが、学費を抑えて留学したい大学生は「交換留学」という制度を利用できます。これは、自身が通っている大学と「協定校」を結んでいる大学へ留学する場合、日本の在籍大学に収めている学費で留学ができるという素晴らしい制度です。

交換留学制度を利用すれば、留学に必要な費用は渡航費や生活費だけになります。生活費ですが、寮に入ったりルームシェアをしたりすれば安く抑えられますよ。物価の高い都市で一人暮らしするなら月々20万円くらい必要ですが、ルームシェアなどをおこなった場合は月々10万円程度で生活していた学生もいますね。

支援制度では熱意・独自性・好奇心を重視している

―「トビタテ!留学JAPAN」が実施する留学支援制度「日本代表プログラム」について教えてください。

西川:大学生に対しては、月々12万円または16万円を支給しています。補助する金額は渡航先エリアの物価水準を考慮した、日本学生支援機構の規定に応じて決まりますね。たとえばパリやニューヨークへ留学する生徒さんには16万円を支給しています。

また、留学準備金として20~25万円を、授業料の補助として一年間で30万円を給付しています。ちなみに、支給したお金は余ったとしても返還の義務はありません。


―奨学金を受け取るための審査や試験はどのようなものなのでしょうか。

西川:まず書類審査をおこない、それを通過した方が面接審査、グループディスカッションに進みます。倍率は大体3倍から4倍程度になっていますね。ちなみに、「日本代表プログラム」では、「成績と英語力は一切不問」としています。


―成績・英語力を不問とする理由は何なのでしょうか。

西川:英語力については留学計画によって必要なレベルが異なるため、という理由が大きいです。また、支援が決定した後、出発までにある程度英語学習を進めておくこともできますよね。実は、TOEIC300点の大学生が支援を受けた実績がありますよ(笑)。

成績を不問にしているのは、「成績がよいか悪いか」がその人をの将来性を確定する要素ではないと考えているからです。その代わり、「熱意」、「独自性」、「好奇心」の3つを重視して審査をおこなっています。一次審査である書類審査では、申込者の留学計画や自己PRを確認しています。

「つながり」が支援制度における最大のメリット

―制度を利用した方からはどのような点が嬉しかったといわれますか?

西川:「トビタテ!留学JAPAN」を利用した奨学生を「トビタテ生」と呼んでいるのですが、トビタテ生のみんなからは「コミュニティが広がった点が嬉しかった」という声が寄せられています。

プロジェクトでは留学前の事前研修だけでなく、留学終了後も事後研修や同窓会・勉強会など、複数回にわたるコミュニケーションの場を設けています。そうした場での交流がお互いの刺激になっているようです。

トビタテ生は、熱意と独自性、好奇心を評価された人々が集まるコミュニティです。普段のコミュニティでは話せない自身の理想や夢を語り合うことで、同志としてお互いを支えあえる。私たちもそうした場を提供するために、事前・事後研修などをおこなっています。

また、トビタテ生なら無料で参加できるオンライン勉強会を毎月数十回にわたって開いており、そちらでは世界で活躍するさまざまな先生方にご登壇いただいています。そうしたつながりが、お金以上にコアな要素になっているんじゃないかと思います。


―就活などにも活かせそうですね。

西川:こうしたコミュニティは、トビタテ生がキャリアを考えるうえでの大切な要素になっているみたいです。7年間にわたって支援してきたトビタテ生の多くは、多種多様な業界で現在も活躍しています。

コミュニティプラットフォームであるFacebookに、就職相談や業界研究の案内を投稿すれば、コミュニティの誰かが動いて協力してくれる。そういった動きを見ていると、プログラムによるつながりが彼らにとって大きな財産になっているのかなと感じます。

留学に興味のある方はぜひ挑戦してほしい

―奨学金への応募を検討している学生さんに向けたサポートなどはあるのでしょうか。

西川:トビタテが運営する日本代表プログラムはもちろん、日本人が受けられる留学奨学金は色々あるので、幅広く検討いただきたいです。そのために、「トビタテ!留学JAPAN」公式サイトからアクセスできるのですが、「留学奨学金検索サイト」のβ版をリリースしました。

今はコロナ禍で少し情報が少ないのですが、今秋から冬にかけて、来年の留学に活用できる奨学金が追加されていくと思います。ぜひ活用していただきたいですね!

また、「留学大図鑑」というサイトもぜひチェックしていただきたいです。3年くらい前の立ち上げ以降、1600人くらいの留学生から寄せられた体験談をまとめています。奨学金はいくらもらったか、どんな留学だったか、語学や生活の悩みをどう解消したかなど、具体的なエピソードを掲載しています。

キーワード検索にも対応しており、自身のロールモデルに合わせた体験談を探せるのが「留学大図鑑」の特徴です。体験談を載せている先輩のなかには、自身のインスタグラムやFacebookなどのアカウントを載せている方もいます。体験談が気になったら、直接その先輩へ質問・相談できちゃいますよ。


―最後に、これから留学を考えている方へのメッセージをお願いします。

西川:コロナ禍の状況が続いていて、すぐに留学に行けるかというと難しい部分があると思うのですが、この準備期間を上手く活かして、いつか飛び立ってほしいです。

海外に身を置くという経験は、将来生きていくうえでいろいろな形で支えになってくれると思います。たとえ失敗があったとしても、必ずいい経験になるはずです。

留学は手段を選べば、あまりお金をかけずに、かならずしも優秀な成績を収めていなくても経験することができます。留学はお金がかかるし、ハードルが高いと億劫にならずに、ぜひとも若いうちに留学に挑戦して、人生の選択肢を広げてください!

本日はありがとうございました。

―こちらこそ、お時間をいただきありがとうございました。

文部科学省 官民協働海外留学創出プロジェクトチーム
「トビタテ!留学JAPAN」広報担当

2019年に株式会社サイバーエージェントに入社。 クレジットカード、キャッシュレス、カードローンの記事作成を担当。 愛用クレジットカードは楽天ゴールドカードでネットショッピングでは楽天市場を利用するようにしている。楽天ペイ、楽天Edyも使っており、楽天のダイヤモンド会員を維持している。最近はスマホを楽天モバイルに変えるか悩んでいる。 ヤフーカードやPayPay、Kyashなども利用しており、お得にポイントを貯めることが趣味。

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