交流会からイベント、検定試験まで。焼肉業界を支える「全国焼肉協会」にインタビュー PR

交流会からイベント、検定試験まで。焼肉業界を支える「全国焼肉協会」にインタビュー

家族や友人、同僚と一緒に、もちろん一人でも気軽に肉料理を楽しめる焼肉店。今でこそさまざまな部位を使った焼肉料理がありますが、戦後間もない頃はごく限られた部位のみが調理されていました。

今回お話を伺ったのは、「事業協同組合 全国焼肉協会」専務理事の旦 有孝さん。日本に焼肉が広まった背景や焼肉店が増えた理由、全国焼肉協会の活動についてお話を伺いました。

牛肉の輸入自由化と無煙ロースター登場で焼肉店が増加

焼肉店で提供される焼肉のイメージ画像

―本日はよろしくお願いします。まず全国焼肉協会様の沿革について教えてください。

当協会は、1992年10月29日に任意団体の全国焼肉店経営者協会として設立されました。もともと牛肉は輸入統制品目だったため、国によって決められた量を指定商社が輸入していたのですが、1991年4月1日から、事業者が牛肉を自由に輸入できるようになりました。

この輸入自由化によって、安価で肉質の良い米国産の焼肉に適した部位を大量に輸入することが可能となり、事業者は全ての店舗で同じメニューを提供できるようになりました。焼肉店の新規参入や、チェーン展開をする事業者が増えることとなりました。

また、愛知県に本社があるシンポ株式会社が日本で普及させた無縁ロースターも、焼肉の発展に寄与しています。肉を焼く際の煙や匂いが気にならなくなったことで女性や子どもも焼肉を楽しみやすくなり、新たな消費者が増えていきました。

そうした状況のもと、シンポ株式会社の創業社長を中心に、全国の焼肉店経営者が集まる全国組織として、任意団体が発足されました。その後1998年5月28日に農林水産大臣認可を得て、現在の「事業協同組合 全国焼肉協会」となっています。

―発足当時、どのような活動目的があったのでしょうか。

当時は焼肉という食事の社会的な地位を上げ、業界を盛り上げていこうという意図があったと思います。戦後、焼肉を日本で始めたのはほとんどが在日朝鮮人の方々です。最初は今で言うホルモン焼き、つまり牛や豚の内臓を焼いていたのですが、それからだんだんと内臓以外の牛肉も扱うようになっていきました。

地区交流会実施やビジネスフェアへの協力で業界を盛り上げる

―ご活動内容について教えてください。

当協会の会員になる要件は、日本国内で焼肉店を経営する個人または法人であることで、現在の会員焼肉店数は312会員です。

中小企業法に基づく事業協同組合のため、一定の資本金と一定の従業員の数を超える場合は入会を受け付けていません。そのため会員の半数近くが1店舗経営で、まだ法人化していない会員もいます。

活動内容のひとつとして、こうした会員のためになるよう、エプロンやアルコール製剤、ガム・キャンディ、ユッケなどを、比較的安価で購入できる共同仕入れを行っています。

―会員の皆さんはどのようにつながっているのでしょうか?

夏と冬の年に2回、全国5ヶ所で地区交流会を開催し、情報交換の場を提供しています。この地区交流会の参加者は会員だけではありません。現在、賛助会員も180社あり、肉や飲料の供給など焼肉店事業に関する事業を行っている企業の方々が交流会の場を活用して自社アピールをしています。

交流会の後はその地域の大人数が入れる焼肉店で懇親会も開き、焼肉を食べながら親睦を深めます。

―ひとつの会場にどのくらいの会員・賛助会員の方が参加されるのでしょうか。

例えば東京で開催する交流会は参加者が多く、約180名の方が参加されたこともあります。懇親会はひとつのフロアに入りきらないので、階を分けて、それぞれのテーブルに正会員と賛助会員の両方が必ず座れるようにしています。

皆さん、焼肉を楽しみながら情報交換や新しいアイデアの議論をされていて、この地区交流会・懇親会を入会のメリットと感じている方が多いですね。

人気焼肉店の会長さんが自社のノウハウを惜しげもなく紹介されるときも、皆さんご自分の店で活かせるようにと熱心に吸収しています。

賛助会員の方にとっては、たとえ1分ほどの短い時間でもいろいろな会員の方に自社をアピールできる機会です。コツコツと関係性を築いて、のちに新たな契約獲得につながったという話もよく聞きます。

―「焼肉ビジネスフェア」というイベントにも関わっていらっしゃるそうですね。

「焼肉ビジネスフェア」は、焼肉業界と肉料理を扱う外食・飲食業界をターゲットとした専門展示会です。年に一度、東京と大阪で開催されています。当協会は特別協力という立場で関わっていまして、会長や名誉会長が講演をしたり、ブースも出して焼肉店の皆さまに入会案内をしたりしています。

継続開催している全国焼肉まつり・焼肉料理コンテスト

焼肉料理コンテスト2023の告知画像

―焼肉店経営者ではない、一般の方にも関係するイベントがありましたら教えてください。

「全国ヤキニクまつり」というイベントを、毎年8月1日から8月29日(「ヤキニク」の日)まで開催しています。これは、期間中に当協会加盟店でお食事いただくと「全国焼肉協会会員の店舗で使用できる、5,000円分のお食事券」が総勢1129名(イイニク)に当たるというものです。

8月は焼肉店への来店が増える時期なので、より盛り上げるために10年ほど継続開催しています。

―焼肉料理を募るコンテストについても教えてください。

「焼肉料理コンテスト」は、プロ・アマチュア問わずどなたでも参加できる2年に一度の料理コンテストです。

今年(2023年)11月に「チゲ対決」をテーマとして第3回目の決勝大会を予定しています。決勝大会の様子は「焼肉ビジネスフェア」でも公開する予定です。

難易度の高い検定試験を用意。専門性と誇りが仕事ぶりを高める

さまざまな焼肉メニューのイメージ画像

―他にはどのような活動をされていますか?

8年前から、会員の知識レベルを高めるための検定試験を2種類実施しています。ひとつは「焼肉協会認定焼肉ソムリエ」、もうひとつは「焼肉協会認定アドバイザー」です。非常に難易度の高い試験内容で、焼肉ソムリエの昨年(2022年)の合格率はわずか13%でした。

この焼肉ソムリエ検定を受験できるのは当協会会員のうち焼肉店で3年以上の勤務実績のある方のみです。一方、焼肉アドバイザーは賛助会員も含め会員ならどなたでも受験可能です。

焼肉の歴史、肉の扱い、アルコールに関する知識、接客で気を付けることなど、幅広い内容を理解する必要があります。

これまで焼肉ソムリエの試験はマークシート形式で100問出題され、8割以上で合格になり、認定証が贈られていました。しかし、今年度からCBT方式(コンピュータベイストテスティング)に変更となり、全国に300ヶ所以上あるコンピュータを設置した施設での受験となります。これまで全国6か所の会場で実施していましたが、これからは最寄りの会場での受験が可能となります。

―合格した方は取得した資格をどのように生かしていらっしゃるのでしょうか。

合格者は認定証を店舗に置いたり、バッジを身に着けて接客をしたりと、誇りをもって仕事をされています。賛助会員で認定アドバイザーを取得した方のなかには、名刺に記載している方もいますよ。社内で受検する方が多いと切磋琢磨して励みになるようです。

物価高騰、人手不足。課題を見据え、焼肉店の助けになりたい

―全国焼肉協会様の今後の計画や目標がありましたらお聞かせください。

会員にとって、よりプラスになるようなことをしていきたいと考えています。物価や光熱費の高騰といった問題もありますが、多くのお店で共通しているのは慢性的な人手不足問題です。

賛助会員のなかには外国人労働者をあっせんする人材派遣業の会社もありますし、具体的な検討はこれからですが、当協会としても何かできたらと思います。

ちなみに、企業で一般に「株主総会」と呼ばれる意思決定の場を当協会では「総代会」と呼んでいます。地区ごとの代表者が議決権を持った総代として総代会に出席し、議案を審議していく形式です。

時間をかけて取り組んでいく必要があること、比較的早く対処する必要があることなど、さまざまな課題がありますが、今後も総代の皆さんや理事たちとともに臨機応変に対応していければと思います。

また、現在焼肉店は日本全国で推計2万1,000店舗ほどあり、そのうち当協会の会員が運営する焼肉店は2,250店舗前後となっています。会員は北海道から沖縄までいますが、数で言えば首都圏が圧倒的に多い状況です。対して北陸地方は非常に少ないので、そうしたエリアの会員も増やしていきたいですね。

当協会にはさまざまな焼肉店が加入していますし、会員を型にはめ込むことはありません。お店それぞれの方針を尊重しながら、コミュニケーションを取りつつ、日本の焼肉店をよりグレードアップする手助けができればと考えています。焼肉店経営者の皆さんは入会を検討していただけたら幸いです。

―本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました!

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