フードロス削減や難民の就労支援など、社会課題に取り組む!草加商工会議所にインタビュー PR

フードロス削減や難民の就労支援など、社会課題に取り組む!草加商工会議所にインタビュー

埼玉県草加市にある「草加商工会議所」では「行動する商工会議所」をスローガンに掲げ、商工会議所では前例のないような事業にも積極的に取り組んでいます。

フードロス削減と生活困窮世帯の支援を同時に実現したコミュニティフリッジや難民の就労支援など、草加商工会議所で実施している取り組みについて芳賀 祥平さんにお話しを伺いました。

都心から近く賑わいのある埼玉県草加市

ー本日はよろしくお願いします。まず草加市の特徴や観光スポット、特産品について教えてください。

草加市のある埼玉県は東京に隣接していることもあり、ビジネスをされている方もたくさんいらっしゃいます。草加市の特徴としては、「せんべい」「皮革」「ゆかた染め」が3大地場産業として知られています。

草加市は、米どころかつ宿場町であったことに端を発し、せんべいづくりが地場産業となりました。また、地下水や大河川の水が豊富な地域であったことから、皮を鞣す際や染物をする際に必要となる大量の水を確保できるため、皮革や染めもの産業が繁栄したと言われています。

住宅も多くて大学が近くにあることもあり、人は比較的多いエリアだと思います。草加商工会議所には約3,500の事業者が会員として所属しており、絶えずたくさんの方に利用いただいています。

草加市の人手不足解消へ雇用を支援

草加商工会議所の就労支援マッチングサイト「草活」

―草加商工会議所では、どのような活動を行っているのですか?

草加商工会議所は経済団体として、地域経済の活性化に取り組んでいます。もともと草加市では人手不足が問題となっていましたが、現在はさらに深刻な状況になっています。

都心へのアクセスが良いこともあり、働き手の流出が多くなっています。そのため、当商工会議所では長年ハローワークさんと一緒に就職面接会を開催し、地域で雇用と就労のマッチングができるように取り組んできました。

また、取り組みの一環として、「草活」というマッチングサイトを運営しており、ジェイコムさんにご協力いただき2分間の企業PR動画を制作しています。

こちらは商工会議所の会員さんを対象としたサービスで、制作した動画は「草活」のサイトのほか、ジェイコムの番組や駅前の大型のビジョンで放映し、地元企業の認知度アップや採用などにお役立ていただいています。

フードロスを削減し、必要な方に食品を届ける「コミュニティフリッジ」

草加市のコミュニティフリッジ

―コミュニティフリッジという取り組みも非常に反響があったそうですが、詳しく教えていただけますか。

当商工会議所では、他の商工会議所では実施していないような取り組みにも積極的にチャレンジしています。SDGsにつながる取り組みとして実施しているのが、公共冷蔵庫、コミュニティフリッジプロジェクトです。

コミュニティフリッジは、生活困窮世帯への食料品の支援と食品ロス削減を目指して始めた取り組みです。規定により流通に乗せられない食品等を引き取って公共冷蔵庫に入れておき、利用登録をしたひとり親の家庭の方々が、24時間いつでも好きな時に食品を持っていける仕組みになっています。

食品流通においては「3分の1ルール」という商慣行が存在し、賞味期限が最初の3分の1を過ぎると、その食品は納品することができず、また、残り3分の1を切ると、その食品は売り場から引き上げなければいけません。

こうしたルールの関係で流通に乗せられなくなった食品をできる限り集めて、ひとり親世帯などの生活困窮者の元へ届ける場としてコミュニティフリッジを設けました。

アジア福祉教育財団と連携して難民の就労を支援

難民の就労支援に関する画像

―他には、何か取り組まれていることはありますか。

商工会議所としては初となる試みで、第三国定住難民就労支援をしています。こちらはアジア福祉教育財団と連携して進めている取り組みで、政府が実施している第三国定住制度で受け入れた難民の就労支援として、商工会議所の会員を中心にマッチングを行っています。

難民の方には日本語学習や日本の文化、社会制度などに関する6 カ月間の定住支援プログラムを受講していただき、半年間の職場適応訓練を経て正式な雇用となります。これまでに、草加市内の5つの事業所での雇用が決まりました。

皮革技術を活かし地域経済の活性化に貢献「U-taaanプロジェクト」

U-taaanプロジェクトのイメージ画像

―ユニークな取り組みを、たくさんされているのですね。

SDGsにつながる取り組みとしてもう1つ取り組んでいるのが、U-taaanプロジェクトです。

U-taaanプロジェクトとは、動物の原皮を草加に持ち込んでいただき、それを加工して製品としてお返しして、地域の特産品にしてもらうことで地域経済の活性化を支援しようというプロジェクトです。現在、日本各地で害獣が問題となっており、駆除した害獣を有効活用できないかと考え、当プロジェクトが始まりました。

皮革産業は、皮を鞣す(なめす)、裁断する、縫製するといった工程ごとに細分化して企業が存立していますが、草加市では皮革産業が3大地場産業の一つになっているだけあって、すべての工程が市内に集約されています。

こうした技術を活かして害獣で困っている地域のお役に立てるように、連携を取りながらU-taaanプロジェクトを進めています。

チャレンジングな取り組みに高まる期待と課題

―取り組みによって生まれた効果や成果がありましたら教えてください。

コミュニティフリッジの取り組みは多数のメディアでも取り上げられ、環境、社会、そして経済へ統合的に取り組む事業者に贈られる彩の国埼玉環境大賞も受賞しました。

また、第三国定住難民就労支援においては、当商工会議所でも1名受け入れをしています。この方は、ミャンマー出身で日本に来てからまだ一年ほどしか経っていませんが、日本語も話すことができます。

日本国内の第三国定住難民の受入れ事例としては、やはり肉体労働・単純作業系の職種が多いようで、商工会議所のような事務系の職種での雇用は珍しく、新たなモデルケースとしてアジア福祉教育財団からも期待されています。

―活動を進めるうえで難しいと感じることはありますか?

他の商工会議所に先駆けて様々なことにチャレンジしていますが、すべてが順風満帆に進んでいるわけではなく課題もあります。例えば、コミュニティフリッジにおいては、提供できるものに偏りが生まれてしまうことも多く、運営費の面でも課題が残ります。

第三国定住難民就労支援においても、職種によっては適応するのが難しい場合もあると思います。当商工会議所も新たなモデルケースとして期待いただいているものの、非定型的な業務が多く、日本人の職員でも仕事を覚えるには一苦労する環境です。そのなかで、外国人が商工会議所で顧客対応を行うのは難易度が高いと思います。

実際に、電話対応にも苦戦していますし、読み書きの部分では漢字の問題もあります。わたしたちもサポートしますが、本人には辛抱強く頑張ってほしいですね。

今後も地域課題の解決になる取り組みを続けていきたい

―今後のご計画や目標がありましたらお聞かせください。

草加商工会議所では「行動する商工会議所」をスローガンに掲げています。これまでも他の商工会議所が取り組んでいないことに積極的にチャレンジしてきましたが、今後もスローガンに掲げている通り「行動する商工会議所」としてチャレンジングな取り組みを続けていきます。

―最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。

これから草加商工会議所は会館の立て替えを行い、2025年、令和7年の4月に新しく生まれ変わります。ぜひ、新しくなった会館をご覧に、草加商工会議所へお越しください。

―本日は貴重なお話をありがとうございました。

草加商工会議所
中小企業相談所

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気になるけど、なかなか話しづらい。けどとても大事な「お金」のこと。 日々の生活の中の身近な節約術から、ちょっと難しい金融知識まで、知ってて得する、為になるお金の情報を更新していきます。

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