狭山商工会議所の企業支援をインタビュー!市内のお店を応援するプロジェクトとは?
埼玉県狭山市は、南西から北東へ流れる入間川の清流と武蔵野台地の豊かな自然、そして都心への交通アクセスもよいことで知られる街です。
入間市や所沢市とともに「狭山茶」の主産地としても有名で、このお茶を利用した魅力的な商品づくりが進んでいます。
一方で新型コロナウイルス感染症拡大は市の経済に大きな影響を与え、街の商工業を支える「狭山商工会議所」は、地元事業者を支えるさまざまな取り組みを行っています。
今回は狭山商工会議所の総務課長である金子信之さん、同じく総務課係長の天野善雄さんに、狭山市の魅力と中小企業支援についてお話を伺いました。
自然もイベントも豊富な埼玉県狭山市
ー本日はよろしくお願いいたします。まずは、埼玉県狭山市について教えていただけますでしょうか。
金子課長:狭山市は、中央を一級河川の入間川が流れる緑豊かな街です。春になると「河川敷中央公園」と「智光山公園」、「稲荷山公園」を中心に見事な桜景色がみられます。
舞踊や和太鼓の演奏、模擬店の出店などがある「桜まつり」、入間川で行うマス釣り体験、「入間川七夕まつり」など、さまざまなイベントもありますよ。
狭山には航空自衛隊の入間基地がありますので、11月3日(文化の日)に開催される航空ショーも人気です。テレビドラマで航空自衛隊が取り上げられていた時期には、30万人ほどの方が来場されたようです。
また、静岡茶と宇治茶に並ぶ「日本三大茶」の1つ、「狭山茶」の主産地でもあります。里芋も名産品で、狭山産の里芋を利用した「さといもコロッケ」は県のご当地グルメ王決定戦で第3位に選ばれました。
「新型コロナに負けない!『支え合い、さやま』プロジェクト」発足
ー狭山商工会議所では、市内の企業や働き手の方を、どのように支援されているのでしょうか。
金子課長:狭山商工会議所では、確定申告や融資、補助金に関するご相談など、広く経営支援をさせていただいています。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、令和2年度の相談は約2,800件にもなり、とくにお店をもつ方々から持続化給付金に関するお問い合わせが多数ありました。令和3年度の相談件数は2,500件ほどでしたが、現在でも毎日たくさんの方が来所されて、給付金の申請をされています。
地域のさまざまなイベントも中止・延期になって地域経済に大きな影響を与えましたので、狭山市と狭山商工会議所、狭山市ビジネスサポートセンターの3者で「新型コロナに負けない!『支え合い、さやま』プロジェクト」を実施しています。
- 「さやまのお店全力応援サイト」開設
- 「さやまのお店全力応援チケット」販売
狭山の元気なお店を紹介する「さやまのお店全力応援サイト」
ー「さやまのお店全力応援サイト」について教えてください。
金子課長:コロナウイルスが流行り始めた頃、売り上げが減ってしまった飲食店や小売店・サービス業の方を応援できるような取り組みが必要だと考え、「新型コロナに負けない!『支え合い、さやま』」というプロジェクトを発足しました。
「さやまのお店全力応援サイト」は、狭山市で精力的に営業しているお店を紹介するサイトです。2020年4月1日に立ち上げて、飲食店は80店舗、小売店・サービス業は120店舗が登録されています。
ーさまざまな事業者を紹介されているんですね。サイト掲載以外には、どのような取り組みをされたのでしょうか。
金子課長:サイトに掲載しているお店を中心として「さやま大人の日替わり給食事業」というものへ参加いただきました。
狭山には大きな工業団地が2つありまして、その工業団地工業会の加盟企業さんから、狭山の飲食店が提供するお弁当をお昼ご飯に注文いただいたんです。1か月で1,300食ほどのご注文をいただきました。
工業団地の方々からは「外出しなくてもお店の味が食べられて嬉しい」というお声をいただき、お店の皆さんにとっても、来店される方が減ってしまっている状況のなか、売上の助けになったと感じていただけたようです。
ー日替わりでお店のお弁当が食べられるのはとても嬉しいですね。「さやまのお店全力応援サイト」では、お店紹介の動画も充実しているのが印象的です。
金子課長:登録飲食店の通常メニューやテイクアウトメニュー、アクセスなどをご紹介している動画ですね。
狭山市の観光大使である「DREAM WONDERLAND(ドリームワンダーランド)」というチアダンスグループの皆さんに、各店舗のお弁当を撮影取材して紹介していただいております。
地元でのお買い物を促進する「さやまのお店全力応援チケット」
ー次に「狭山全力応援チケット」について教えてください。
天野係長:こちらは2020年の夏に販売したチケットで、大型食品スーパー以外の登録店舗でのお買い物で使えるものです。
チケットの額面は1セット13,000円ですが、30%プレミアム付きの10,000円で販売しました。持続的な消費を生んで、市内の経済活動を回復させることを目的としたものです。
ー店舗の登録とチケットの販売数はどれくらいだったのでしょうか?
天野係長:545店舗が登録されて、チケット発行数は2億6千万円分にもなりました。最終的には約半年間で9割以上が実際に流通、換金されたという結果になっています。購入していただいた分はほとんど使われました。
登録店舗の多くは地元の中小小売店や飲食店等なので、そうしたお店でも多数ご利用いただけたのではないかと思います。
チケットの購入申込はハガキとインターネットから受け付けました。ハガキでの申込者数は約22,000人で、抽選で実際に購入できた方は約9,000人でした。人気をいただいてありがたく感じています。
大河ドラマ関連イベントや源義高関連の商品開発も
ーさまざまな方法で地元事業者の方のPRを応援されているのですね。
金子課長:今回のゴールデンウイーク中には、NHKの大河ドラマと関連したトークショーも実施しました。これは私と天野が兼任している狭山市観光協会主催のイベントです。
現在放映されている大河ドラマ「鎌倉殿の13人」には狭山市ゆかりの武将である源義高が登場しますので、義高役の市川染五郎さんを狭山市市民会館にお招きしました。
ちょうど新茶の時期なので、狭山市茶業協会さんや、義高関連商品を扱っている事業者さんに出店いただきました。当日は1,000人以上の方が来場されて、出店された8店舗のほとんどが完売という盛況ぶりでした。
また、狭山茶を使用した「狭山茶グルメ計画」という事業も進めています。秋に採れるお茶をペースト状にした「狭山茶ペースト」を原料に使って、地元事業者さんがさまざまな新商品を開発しています。
エッセンシャルワーカーのワクチン優先接種を実施
ー中小企業サポートの1つとして、新型コロナウイルスのワクチン職域接種を実施されたと伺っています。詳しく教えていただけますでしょうか。
金子課長:人と接する機会の多い理美容の方や飲食店をはじめとする接客業の方などを優先して接種のご案内をしました。
私たち商工会議所は会員から会費をいただいて活動していますが、ワクチンに関しては会員ではない大手スーパーの従業員さんにも、電話や郵送で接種をご案内しました。
大手のスーパーさんは従業員の方々が同時に接種に行くことができないので、日時を分けて実施する形でしたね。
狭山市と連携しながら、市内の病院など、3箇所ほどで実施しました。
ーどれくらいの方が職域接種を受けられたのでしょうか?
金子課長:狭山市全体の人口でいうと2%ほどですが、約3,000名の方に職域接種をしていただいております。公のものではないですが、お客様への安心・安全・信頼を与えるための証として、狭山商工会議所独自でカードタイプのワクチン接種証明書も作成して、約1,200名の方に発行しました。
狭山市の魅力ある商工業を支えていきたい
ー最後に、この記事を読まれた読者の方へメッセージをお願いします。
ウィズコロナ、ポストコロナを見据えて、今後も会員の方や狭山市の事業者の方を根強く支援していきたいと考えています。
今は新茶の時期でおいしいお茶ができあがっていますので、ぜひ狭山茶を味わっていただけたら嬉しいです。とくに「松明(みょうしょう)」という抹茶は狭山の銘茶として人気ですよ。
8月には3年ぶりに「入間川七夕まつり」も実施されます。狭山市にご興味をもたれた方は、ぜひ一度お越しになってください。
ー本日はお時間をいただきありがとうございました!
狭山商工会議所
総務課 課長
狭山商工会議所
総務課 係長