DX推進で商店街活性化や新しいレクレーションを導入!札幌商工会議所の取り組みを紹介
デジタル技術の活用で産業や業務の革新を図るDX推進は、現代の企業や事業者にとって重要な課題です。
札幌商工会議所では、謎解きイベントやデジタルスタンプラリーの開催で地域の商店街を活性化させ、高齢者施設のレクレーションにeスポーツ導入を推進するなど、DX推進も積極的に取り組んでいます。
今回は札幌商工会議所の取り組み内容について、デジタル技術を活用した施策を中心に紹介します。
人気の観光地として有名な北海道札幌市
石狩平野の南西部にある札幌市は、冬は雪が降り積もり、夏はさわやかな気候の地域です。ここには、北海道の人口のおよそ3割となる190万人以上が居住しています。
1922年8月の市制施行以来、近隣町村の合併・編入を経て札幌市は市域を拡大してきました。
札幌市は全国と比較して製造業が少なく、卸売・小売業や飲食・宿泊業が産業の中心です。観光地としても人気の街で、さまざまな雪氷像がならぶ「さっぽろ雪まつり」は世界的にも有名です。
全国3番目の会員数を誇る札幌商工会議所
1906年に札幌商業会議所として発足した札幌商工会議所は2019年、会員数が20,000社に到達しました。これは、東京・大阪に次ぐ全国3番目の会員数です。
各事業者の経営支援の一環としてデジタル化支援も積極的に行い、IT専門の部署を立ち上げたり「デジタル化推進委員会」を設置しています。DX推進に向けた研修会やセミナーを実施し、課題解決に向けた個別支援で事業者をサポートしています。
デジタル技術も活用してまちや商店街を活性化
札幌商工会議所では、まちや商店街を活性化させる施策にも、デジタル技術を取り入れた新しい試みを実施しています。
これまで、商店街での謎解きイベントやデジタルスタンプラリー、デジタルガイドマップ作成などを実施し、商店街に訪れる人を増やす取り組みをしてきました。
また、デジタル化だけでなく、ゲームを楽しみながらお金の役割も学べる、「まちあそび人生ゲーム」も実施しています。
スマートフォンから参加できる商店街謎解きイベント
2022年7月16日~2022年7月31日まで、行啓通商店街で謎解きイベント「時を超える柏の木」を開催しました。行啓通商店街の店舗を周って謎を解く、商店街巡りをしながら楽しめるイベントです。
各店舗に設置された二次元コードから「謎」を集めて解き、すべてに解答すると最終問題にチャレンジ。最終問題を解いて導き出したキーワードに正解すると、抽選で景品が当たります。
- 市内宿泊券(10,000円相当):1名
- 共通商品券(3,000円):2名
- 商店街商品券(1,000円):60名
告知にはSNSも活用し、商店街になじみの浅い世代にも訴求。商店街を訪れるきっかけ作りに取り組みました。
行啓通商店街の謎解きイベントで出題する問題作りで、こだわった点があれば教えてください。
地域の魅力を再発見してもらいたいという気持ちから、行啓通にまつわる歴史的エピソードに着目して問題作りをしました。
イベント名やキービジュアルに採用したキャッチコピーが、実は謎解きの伏線になっており、最終問題を解いた方だけがタイトル回収できる仕組みです。
商店街を巡るデジタルスタンプラリー
2022年8月1日~2022年8月31日まで、琴似商店街で街歩きイベント「浴衣でぷらっとウォーク」を開催しました。
また、浴衣姿で商店街の指定店舗を訪れると、ドリンクやデザート、割引などの特典を受けられるようにしました。
浴衣で商店街を巡りながらスタンプラリーを楽しめるイベントの開催で、商店街を盛り上げています。
普段と違う姿で街歩きを楽しめるイベントですが、商店街と参加者からの反響はいかがでしたか?
評判が良く、継続して開催してもらいたいとの声がありました。
2023年9月1日〜10月29日まで、実質第二弾となるイベント「札幌ぷらっとウォーク」を、琴似エリア・商店街で開催しました。スタンプスポットは75ヶ所に増え、スタンプ特典や抽選会の景品も豪華になっています。
また、各店舗がSNSで独自のPRをしてくれたり、地元アイドル(Teamくれれっ娘!)が活動の一環でイベントに参加してくれたりしました。
地元経済と連携することで、一過性のイベントで終わらず、まちや商店街の持続可能な魅力発信に繋がると感じました。
商店街の情報をまとめたデジタルガイドマップ
札幌市北区にある北24条商店街では、街歩きスタイルや各店舗の発信方法の変化にあわせ、商店街マップをデジタル化しています。
札幌市と札幌市商店街振興組合連合会が連携した、デジタル化推進事業として行われました。自分たちの商店街は自分たちで発信する「自走式プロモーション」のきっかけとして、活用されています。
インターネットから誰でもアクセスできるデジタルガイドマップには、各店舗の詳細やSNSへのリンクがまとめられ、街歩きにも便利です。
気になったお店のマップがすぐに見られて便利ですが、商店街の反響はいかがでしたか?
事業を実施した北24条商店街振興組合様からは、「この取り組みをきっかけにデジタル化の機運を高めたい」といった声があり好評です。
また、本事業で制作したデジタルガイドマップは、商店街公式のHPとして運用してもらえることになりました。
商店街でリアル「人生ゲーム」
札幌商工会議所では、デジタル技術を活用したイベント開催や利便性向上の取り組みのほか、商店街の活性化を図るイベントも企画しています。
2023年10月7日、発寒商店街・発寒エリアの商店を舞台にした「発寒商店街まちあそび人生ゲーム」を開催しました。人気の家庭用ボードゲーム「人生ゲーム」をモデルにした体験型イベントで、2~4人のチームを組んで参加できます。
お金の役割について学びを促進する金融教育の普及啓蒙を目的とし、小学生でも一人ひとりがお金に対する知識と判断力を持つことが可能となるよう、遊びながら学べるイベントとして実施しました。
高齢者施設のレクレーションにeスポーツを活用する実証実験
eスポーツを活用する実証実験として、2022年10月27日・28日に「健康ゲーム指導士養成講座」と「eスポーツ体験会」を、高齢者施設にて実施しました。
eスポーツの活用で施設内のレクレーションをデジタル化し、認知症予防や非接触交流、健康増進の機会になるかを検証。また、高齢者施設へのeスポーツ導入が、新しいビジネスモデルになるかの検証も実施目的です。
施設利用者はレースゲームとリズムゲームを体験し、会場内は盛り上がりを見せました。
2022年10月の実証実験は好感触だったようですが、今後の予定や計画はありますか?
この実証実験を基に、事業化・社会実装に向けて、2023年9月4日・5日に、高齢者施設でのeスポーツ体験会の他、eスポーツをビジネスと捉えた企業向けセミナー・健康ゲーム指導士養成講座・導入事例視察会を実施しました。
参加企業の業種が多様であったことから、高齢者施設だけでなく、幅広い分野への波及・可能性を感じました。継続して実施していきたいと考えています。
まとめ
全国3番目の会員数を誇る札幌商工会議所は、事業者のDX推進やデジタル技術を使った施策も積極的に取り組んでいます。街の商店街を歩くきっかけになる謎解きイベントやラリーイベントを開催し、商店街のデジタルマップも作成しました。
また、高齢者施設でeスポーツを取り入れる実証実験も行い、さまざまな角度からデジタル技術の活用推進に向けて取り組んでいます。
地元だけでなく、札幌を訪れた際は、こうした企画や取り組みにも目を向けてはいかがでしょうか。
札幌商工会議所は、DXを推進する一方で、デジタル活用に関係なく、目的・効果を明確にした施策の企画・実施にも積極的に取り組んでいます。札幌市内で事業をされる方は、経営に役立つ施策がないかチェックしてみましょう。
札幌商工会議所
暮らしに関わるお金の知識を強化するため、FP技能検定に挑戦し、2021年に独学で2級FP技能検定に合格。学んだ知識を活かし、暮らしやお金に関する記事を執筆しています。