正確に実在の個人を映し出す。デジタル身分証明書アプリ「ポケットサイン」とは?ポケットサイン株式会社にインタビュー PR

正確に実在の個人を映し出す。デジタル身分証明書アプリ「ポケットサイン」とは?ポケットサイン株式会社にインタビュー

ポケットサイン株式会社が開発したデジタル身分証明書アプリ「ポケットサイン」は、マイナンバーカードのICチップに備わる機能を活用し、実在する個人の情報を正確に映し出せるのが最大の特徴です。

個人の属性が正確に取得できるため、地域サービスなども円滑に進められることから、現在は自治体との連携も含めてサービスを展開しています。

今回はポケットサイン株式会社代表梅本さんに、ポケットサインの特徴や活用シーン、今後の展望などを伺いました。

マイナンバーカードを活用したサービスを開発

ポケットサイン株式会社のオフィス画像

ー本日はよろしくお願いします。まずは、御社の沿革や事業内容について教えてください。

当社は、マイナンバーカードに備わる機能の利活用を行っているスタートアップ企業です。

まず前提として、よく誤解されがちなのですが、マイナンバーとマイナンバーカードは全くの別物です。マイナンバーは個人番号のことで、マイナンバーカードというのは、基本的にカードについているICチップの機能を指すことが多いです。

このICチップ中には電子署名と言われている、いわゆるデジタル上の実印のような機能が入っています。この実印機能があることによって、マインナンバーカードを使ってコンビニで住民票が取れたり確定申告ができたりするわけです。

当社は、マイナンバーではなく電子的な実印を利活用して、サービス開発を行っています。

ミニアプリの追加やサービス連携も可能。デジタル身分証明書アプリ「ポケットサイン」

ー御社が開発されている「ポケットサイン」とはどのようなサービスなのですか?

ポケットサインは、マイナンバーカードの機能をベースに作ったデジタル身分証明書アプリです。最大の特徴は、ユーザー登録時にマイナンバーカードの電子的な実印機能を使う点です。電子実印機能でユーザー登録をするメリットは、大きく分けて2つあります。

1つ目は、正確な情報を取得できることです。マイナンバーカードの情報を基にするため、ユーザーが虚偽の情報を登録することができず、氏名、住所、生年月日、性別の基本4情報を正確に取得できます。

2つ目は、X(旧Twitter)やgmailなどのように同じ人が複数のアカウントを作ることを防ぎ、1人1アカウント制を担保できることです。ポケットサインは、マイナンバーカードに登録されている正確な個人情報が自動で入力される仕組みのため、2つ以上のアカウントを作成することはできません。

また、ポケットサインと他のサービスを連携する方法も複数用意しているので、活用方法に応じてお選びいただけます。

1つは「ミニアプリ」に追加する方法です。これはミニアプリを基盤のプラットフォームとして、さまざまな機能を追加できる構造となっているため、当社が開発したサービスだけでなく他社が開発したサービスも入れることが可能な仕様となっています。(※)

他にも、既存のWebサービスやスマホアプリと「ID連携」できるため、企業が特定の地域に住んでいるユーザーを知りたい場合には、情報を部分的に取得することが可能です。ユーザー情報は手動で入力するわけではないため虚偽の情報を入力される心配もなく、正確な情報を得ることができます。

※ ミニアプリの全国展開は来年春以降を予定しています。現在、地域によってはミニアプリが表示されない場合があります。

ー正確な情報が取得できる安心感がありますね。

まさに、「正確性を担保できる」という点が従来のインターネットサービスとは大きく異なるところです。従来のインターネットサービスは、基本的に自己申告制で情報を入力していたため、個人の属性を確認するのに非常にコストがかかっていました。

例えば、採用活動時にどの会社に勤めていたのか、どの大学を卒業したのかなど、これまでは紙ベースでやり取りしたり、バックチェックサービスを依頼したりと、かなりのコストがかかっていました。

個人情報を「嘘をつくことができない形」で、第三者に証明してもらうポータルツールとして管理し、かつ円滑に流通できるようにすることを目的に作っています。

「マイナンバーカードを使った本人確認の正確性」に気づいた

梅本さんのお話されている画像

ーどのような経緯で、ポケットサインを開発することになったのでしょうか?

実は、元々は金融系の会社として事業を行っていて、ある時、ネット証券会社を作ろうという話になったんです。オンライン証券会社として顧客を抱えるには本人確認が必要であり、現代的な本人確認の方法を調べていく中で、マイナンバーカードを使って本人確認ができることを知りました。

それまで、国が普及を進めているマイナンバーカードの重要性を理解できていなかったのですが、その時に、マイナンバーカードは実印と同じ効果を持つ非常に有用なものであることに気付きました。

デジタルとリアルが融合していくような現代において、マイナンバーカードは新しい時代のインフラになると思い、そのインフラを作っていく会社として旗上げをしようということで立ち上げたのがポケットサイン株式会社になります。

その頃、現在は全国知事会会長にもなられている、宮城県の村井知事ともご縁があったのですが、お話する中で「自治体の行政サービスがDXの課題が多いこと」「自治体が提供するサービスは個人を特定したサービスが基本のため、当社の事業と親和性が高いこと」に気づきました。

そのことから、共同で避難所受付関係のサービスの実証実験を行うことになり、これが非常に円滑に進んだため本格的に事業として展開することになりました。

デジタル化がさらに進んでいく中でのインフラを構築したい

ーポケットサインはどのような方におすすめですか?

ポケットサインは自治体・民間企業・個人に向けに展開しています。我々が実現したいのは、「インターネット空間の1つのエリアに実在の個人としっかり結びついた領域を作ること」そして、「それをデジタル化すること」です。今後さまざまなサービスをデジタル化していく中でのインフラを構築したいと考えています。

個人に対しては、個人1アカウント制の基盤を作り、その上でさまざまなサービスを提供していきたいと考えています。

サービスの事例としてひとつ紹介すると、宮城県で実施している「地域ポイントサービス」がございます。地域ポイントサービスとは、地域経済を活性化させるために、対象地域にお住いの方がその地域で使える、いわゆる電子マネーを配布するものです。

例えば、コロナの給付金や子育て支援金など、行政が住民に対して交付金を配ることは結構ありますよね。しかし、対象者の属性を確認しながらお金を配布するには多くの事務コストがかかり、実際にコロナ支援金を配布する際に多額の事務費がかかったことが話題になりました。また現金で配ると、地域経済活性化のために配ったお金が地域内で消費されない懸念もあります。

これを防止するための一つの策として、「地域ポイント事業」を行っています。ポケットサインのミニアプリの1つとして電子マネーを入れ、マイナンバーカードに基づいた住民の方の属性を確認できるため、対象地域にお住まいの方だけに地域ポイントを配布することが、行政レベルで厳格に行えます。

また、ポケットサインは1人1アカウント制を担保しているため、不正受給の防止が可能となりました。例えば、電話番号やメールアドレスでアカウントを作る場合には、作ろうと思えば1人で複数のアカウントが作れてしまいます。こうした不正受給を防ぎ、円滑にお金を配ることができます。

国からの認定を受け、万全のセキュリティ対策で個人情報を守る

ー身分証明書ということで、セキュリティが担保されているのか気になりました。どのように管理されているのでしょうか?

セキュリティの担保は当社の命の一つです。そこが崩れると会社がなくなるぐらい大きなことなので、非常に気を遣ってやっています。

実は、マイナンバーカードの機能は誰でも使えるわけではありません。利用するには国の認定を受ける必要があるのですが、この認定を受けるためには、社内のシステム的なセキュリティ要件はもちろんのこと、社内の体制や運用体制、物理的な環境に対する要件も全て満たさなければなりません。さらに、官僚の方々が来られて基準をクリアしているのか厳格にチェックしたうえで、認定が与えられます。この認定を受けている企業は、現時点でおそらく19社しかないはずです。

それから、個人情報などのマイナンバーから吸い上げた情報が、我々が使っているパソコンに入っているなんてことはありません。情報は専用のサーバー上で、厳重に管理されています。さらに、アクセスできる人も社内のごく一部の人間のみです。

このように、容易に個人情報が漏れないよう十分なセキュリティ対策を講じています。また、国際規格の情報セキュリティマネジメント資格であるISMSも取得しています。

自治体に加え民間企業とも連携を強化していきたい

ー今後の展望についてお聞かせください。

創業から約1年半、当社は自治体と連携しながらサービスを提供してきました。先ほど紹介した地域ポイントのほか、避難所での受付業務や物資管理など、自治体と協力してサービスを開発してきました。今後も自治体様と、連携しながらサービスをさらに広げていきたいです。

そして、民間企業様とのコラボレーションも増やしていきたいと考えています。例えば、証券会社の口座開設などお金のやり取りが発生する経済活動のシーンにおいて、本人確認に使っていただけるようなアプリケーションにしていきたいと考えています。

新たなミニアプリサービスの開発はもちろん、ベースの部分として本人確認機能の活用においても民間各社様との連携を強化していきたいです。

マイナンバーカードには新しい社会インフラを作れるポテンシャルがある

ー最後に、読者の方に向けてメッセージをお願いします。

マイナンバーカードが「すごく面白いインフラ機能」であるということを知っている方は、まだまだ少ないです。おそらく、自分で確定申告をされた方や住民票をコンビニで取られた方が、「少し使える時があるな」という程度にしか認識していないと思います。しかし、実は新しい社会インフラになるようなポテンシャルを秘めたアイテムです。

ですから、少しマイナンバーカードに目を向けて、「あれにも使えるのではなか」「これにも使えるのではないか」というように未来に思いを馳せていただき、一緒に新しい日常を作っていけるといいなと思っています。

ー本日はお話いただき、ありがとうございました。

ポケットサイン株式会社 代表取締役社長

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気になるけど、なかなか話しづらい。けどとても大事な「お金」のこと。 日々の生活の中の身近な節約術から、ちょっと難しい金融知識まで、知ってて得する、為になるお金の情報を更新していきます。

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