顧客管理とポイント発行をスマートに!株式会社ピーカチにインタビュー
近年は会員証やポイントカードのスマートフォンアプリが増え、スマートフォンさえあれば施設利用やポイント付与ができるお店が多くなってきました。毎回たくさんのカードから探し出す必要がないのは便利です。
しかしさまざまなアプリを使っていると、使いたいアプリを画面上で探す手間がかかることも。必要な時にすぐ表示できないと、紙のカードから探し出すのと変わりません。
その手間を解消し、各種会員証やポイントカードを集約できるのが株式会社ピーカチが提供するアプリ「P+KACHI(ピーカチ)」。お店側も簡単に顧客管理・ポイント付与ができるシステムです。
今回は株式会社ピーカチの代表取締役CEO 船橋 憲敏さんに、顧客管理・ポイントシステム「P+KACHI」についてお話を伺いました。
とにかく簡単に。会員カード管理アプリ「P+KACHI(ピーカチ)」
―本日はよろしくお願いします。まず、御社の沿革や事業内容を教えてください。
2002年に、顧客管理・ポイントシステム「P+KACHI(ピーカチ)」を開発し、2006年に株式会社ピーカチとして法人化しました。この「P+KACHI」システム(以下、ピーカチ)を中心にリアル店舗向けサービスを展開しています。
2020年からのコロナ禍では、ピーカチを利用いただいていた飲食店の閉店や一時休止がありましたが、営業時間の頻繁な変更を顧客へきちんとお知らせできる体制が必要だと認知され、温浴施設やアパレル、物販事業者からの問い合わせが増加しました。
また、飲食店のテイクアウト・デリバリー需要が高まったことから、店外収益の最大化に注力し、テイクアウトシステムと通販システム、サブスクシステムを2020年にローンチしました。
―御社が事業を通じて目指されていることは何でしょうか?
とにかく簡単に楽しく、すべての会員証を1つにまとめることを事業のコンセプトとしています。
まとめるといっても共通ポイントを使うという意味ではなく、お店それぞれのハウスポイントを付与しつつ、一つの会員証に集約して個別管理できる状態を目指しています。
独自ポイントの発行・付与と顧客管理が可能
―ピーカチの主な機能を教えてください。
ピーカチはスマートフォンやガラケー、アナログカードを使い、デバイスに依存することなく店舗顧客にポイント付与できるシステムです。新規顧客の獲得よりも、リピーターを最大化させてLTV(ライフタイムバリュー/顧客生涯価値)を伸ばすことにコンセプトを置いています。
ポイントカードの管理だけでなく、顧客へのお知らせやクーポン配信、アンケート配信など、定期的にお店の存在を思い出してもらえるような使い方がおすすめです。
発行・付与するポイントは店舗ごとの独自ポイントだけでなく、チェーン店での共通ポイントも可能です。また、ホワイト・ブロンズ・ゴールド・プラチナ・ブラックと顧客ランクが設定でき、顧客ランクに応じたポイント発行や付与率変更などで付加価値を与えられます。
ここ数年は、顧客の行動履歴に合わせたマーケティングオートメーションが人気です。来店者への御礼やクーポン利用者に個別メッセージを送るなど、行動履歴に応じたお知らせを自動で送る機能がよく利用されています。
―ピーカチの利用店舗は、どのような業態が多いのでしょうか。
現在は飲食店での利用が6割ぐらいで、温浴施設やアパレル、物販系の店舗でも多く利用いただいています。また、特定の商品を扱う専門店での利用も増えています。
会員ランクやアンケートと絡めた機能も好評
―ピーカチで特に好評の機能をご紹介ください。
やはり会員ランク機能に関して好評のお声をいただくことが多いです。来店時にお客様が会員証をかざすと、顧客の属性・情報がお店側にすぐわかるので、たくさんシフトに入っていないスタッフでも顧客属性・情報に応じた接客が可能です。「リピートしたいと思っていただける」「一歩進んだ接客がしやすい」といったお声をいただいています。
また、今年から導入したLINE連携も大変好評です。お客様はLINEから会員証を作成でき、新たなアプリをインストールすることなくポイントを貯めるためのバーコードを取得できます。
多様な会員証の形を叶えることとポイント発行スタイルはピーカチにおいてこだわっている点で、複雑なポイント付与ルールも設定可能です。
また、リピート客を増やすにあたってアンケート機能を活用されるお店も多いですね。お店で記入してもらう紙のアンケートは匿名のため、どんなお客様からの回答なのかをつかめません。しかし、ピーカチで集めたアンケート結果なら、回答が顧客情報と紐付くので、どのランクの顧客がどんな回答をしているかを分析できます。
ある意見が一定ランク以上の顧客に多い意見なのか、新規客と既存客を比較して意見に違いはあるかなどを分析しやすいため、多くのお店で活用されています。
ちなみに来店後の御礼メッセージとともにアンケートを送れば、リアルタイムに顧客の反応を吸い上げられます。アンケート回答に対するポイント付与も可能なので、アンケート回答時の顧客インセンティブとして活用されている例もあります。
さらに顧客の行動履歴やアンケート結果を集約できるので、会議資料としても役立っているようです。
―ポイントシステムの活用例をご紹介ください。
特定日の付与ポイント倍増や、ランチタイムとディナータイムでもらえる来店ポイントの変更、ランクに応じたポイント付与率の変動などが挙げられます。いずれも、シンプルにポイント付与するシステムでは対応できず、複雑な設定が必要です。
多くの導入先は飲食店を中心としたリアル店舗ですが、水の宅配サービスでも弊社のポイントシステムを利用いただいている企業様があり、そこでは基幹システムと連携しボトルの購入額に応じてポイントを付与し、顧客が会員証を作成すると顧客情報に紐付いたポイントがすぐに利用できるようにされています。
また、Jリーグのサッカーチーム「湘南ベルマーレ」でも導入いただきました。チケットやグッズ購入、スタジアムでのキッチンカー利用でポイントを付与し、さまざまな特典と交換できます。さらに観戦に行くと貯まる来場スタンプ数に応じて賞品をプレゼントするといった使い方をされています。
もともとJリーグ共通のポイントシステムはありましたが、ポイントが貯まるのはチケット購入時のみだったそうです。そこで、ポイントの発行・利用シーンを増やし、ファンエンゲージメントを高めたいということで弊社にお声がけいただきました。
今後はサッカーに限らず、他のスポーツやアーティストのイベントなど、いわばファンクラブのような形での使い方を展開できたらと考えています。イベントの盛り上げにポイントシステムを活用できれば、新しい可能性が拓けてくるのではないでしょうか。
さらに、ポイントが地域のお店で利用できれば、イベントで訪れた土地のお店への送客が可能です。ポイント利用によって地域を活性化することもできるのではないかと思います。
他の例として、ポイントシステムを従業員への福利厚生に活用されている企業様もあります。仕事への貢献度に応じたインセンティブポイントを発行し、欲しい商品と交換できる福利厚生制度です。
週末など、お店が繁忙するタイミングでシフトに入ってくれる方にはポイントを多く付与するなど、従業員のモチベーションアップと離職率の低下対策として勤怠管理と連携した使い方もされています。
顔認証システムと組み合せた「顔パス」をNECと共同開発
―「P+KACHI」と顔認証システムと組み合せた「顔パス」も最近リリースされたそうですね。
NECと共同開発した「顔パス」は、2023年9月にリリースしました。「顔パス」を使えば、会員証どころかスマートフォンも不要で顧客管理やポイントシステムが使えます。現在、東京で3店、大阪で3店の飲食店で先行運用しています。
顔を登録して使うサービスはハードルの高い面もありましたが、店舗や施設を手軽に利用できるようにするため、ポイントサービスと連携したシステムとして開始しました。
スマホアプリの会員証が増えて便利になった反面、必要なアプリを探し出すのが面倒ですが、顔だけで施設利用とポイント獲得ができれば、さらに便利に使えます。
ただ、初回利用時から顔を登録するのは、顧客側からすると抵抗感があるかもしれません。そのため、例えば一定以上の会員ランクになると登録できて、顔パスでの入店や特典変更といった使い方にすることで、より特別感が生まれ受け入れやすくなるのではないかと思います。
もともと飲食店などでは常連客になると「顔パスだから」とツケ払いできる文化がありました。今後、この顔パスシステムが上手く広がれば、その文化もスタンダードになっていくのではと思います。
店舗・顧客ともに、より便利に使える状態を目指して
―今後のご計画や目標があればお聞かせください。
まずはピーカチの利用店舗を増やすことです。いち早く会員証を1つにまとめ、利用店舗・顧客の両方にメリットのある環境を整えていきたいと思います。
また、新たにリリースした「顔パス」により、決済やチェックイン手続きをスムーズにするなど、ポイント発行をベースにより便利な環境を作りたいです。
そして、新規顧客の獲得にも注力し、ドコモ・インサイトマーケティングと協業で7,600万人のターゲットにアプローチできる新サービスのローンチを予定しています。
現状、携帯端末の位置情報を使ったアプリやサービスは、現在地情報に対してアプローチするものが多いのですが、たった今いる場所の情報を案内されても、予定があるのでなかなか訪問できません。
そこで、携帯電話の基地局で取得した位置情報から自宅・職場・お気に入りエリアなど、直近1か月の来訪エリアを基によく訪れる場所をリスト化し、店舗周辺に「よくいる人」いわゆる隠れリピーター層に効果的なアプローチができるサービスを開発中です。
例えば新規店舗をオープンさせるとき、周辺エリアで不特定多数の人へチラシを撒くより、その場所をよく訪れる人のスマホに直接情報を届けるほうが効果的でしょう。オープン前からクーポンやポイントの付与で利用を促せば来店客を取り込みやすいはずです。
お店側も、興味を持って来店してくれて、リピート客になりそうな相手に絞ってアプローチできたほうが、効率良く質の高いサービスを提供できます。これにより顧客送客から会員育成までワンストップで提供可能となり、会員LTVの最大化にさらに貢献できるようになります。
―最後に、マネ会読者へメッセージをお願いします。
会員証やポイントカードがデジタル化し、スマホに集約できるようになりました。その一方で複数のアプリを入れるため、財布の中がカードでいっぱいになっていた状態から、スマホアプリがいっぱいで必要なアプリがどこにあるのかわからなくなってしまうことも起きています。
弊社ではすべての会員証を1つのバーコードで網羅できる環境を目指しています。それをさらに進化させて「顔パス」とも併用し、よりスマートにポイントを貯められる環境を作っていきます。「P+KACHI」を利用している店舗を見かけたら、ぜひ会員登録してポイントを貯めてみてください。
また、繰り返し来店してポイントが貯まっている方は、お店にとって大切な顧客です。特典をもらったり割引利用したりすることに気が引けるという方もいるかもしれませんが、お店と良い関係にあるという証ですので、ぜひ好きなお店のポイントは積極的に貯めて活用していただけたらと思います。
―本日はご紹介いただき、ありがとうございました!
株式会社ピーカチ 代表取締役CEO
気になるけど、なかなか話しづらい。けどとても大事な「お金」のこと。 日々の生活の中の身近な節約術から、ちょっと難しい金融知識まで、知ってて得する、為になるお金の情報を更新していきます。