野田まちゼミの会・野田商工会議所が取り組む地域活性化事業「まちゼミ」とは?担当者に聞いてみた
大手醤油メーカーの創業地でもあり、醤油の五大名産地として知られる千葉県野田市。千葉県の北西部に位置する人口15万人ほどの街です。
都心まで約1時間という交通の便を持ちながら、その自然の豊かさも魅力のひとつ。
野田市では、多くの人が暮らしやすい街づくりを目指して、さまざまな地域活性化の取り組みをおこなっています。
今回は、野田商工会議所と野田まちゼミの会が運営する「まちゼミ」について、野田まちゼミの会の長谷川 英則さんにお話を伺いました。
地元のお店がさまざまな講座を実施する「野田まちゼミ」
ー本日はどうぞよろしくお願いいたします。さっそくですが「野田まちゼミ」とはどのような取り組みなのでしょうか?
もともと、まちゼミというのは愛知県岡崎市から始まった「得する街のゼミナール」という取り組みで、それが成功事例として紹介されて全国的に広がった事業です。
どんなことをするかというと、お店の店主や従業員が講師となってさまざまな講座を開き、受講者を募ります。
お店側が実施するさまざまな講座を通して、お客様との関係性を深く築いていくことで、街の活性化を目指す取り組みです。
個店や個人の活性化が、街の活性化に繋がるというようなイメージで運営しています。
私自身も、明治2年の創業から150年以上続く「ふとんの長谷川」という寝具店を営む、野田商工会議所の会員の一人として、地域商業の活性化のために活動しています。
野田まちゼミをスタートした理由
ー野田市でまちゼミを立ち上げたきっかけを教えてください。
愛知県岡崎市で、まちゼミの取り組みを始めた方が化粧品店だったそうです。野田市の化粧品店の方がその成功事例を知って、野田市でも「まちゼミ」をやってみようとなったことがきっかけです。
そこで、野田商工会議所にもサポートいただきながら、私たち野田市の個人店が商店会の垣根を越えて集まり「まちゼミの会」として企画・運営をしています。
2014年にスタートしてから、今年で8年目。年に2回の開催なので17回目になりますね。
昭和の頃は、野田市の中心街にもお店がたくさんあり、人も多く賑わっていましたが、時代が進むにつれて、跡継ぎがいなかったり、量販店ができたりして、少しずつ個人店からは人足が遠のいていったことも、まちゼミ立ち上げのきっかけになりました。
個人店の場合は、馴染みのない人だと気軽にお店に入り辛いところもあると思います。
そういったイメージを払拭するためにも、個人店とお客さまの接点を増やすことを目的にまちゼミを立ち上げました。
それぞれの商売を知ってもらう、PRになるということもありますが、まずはどんな人がお店を営んでいるのか、人となりを知ってもらい、気軽にお店に入ってもらえるようにしようという想いもありましたね。
ーありがとうございます。野田まちゼミにはどのような講座があるのでしょうか?
今年、2022年開催の第17回のまちゼミでは41の講座を予定しています。
講座の内容によっては材料費がかかるものもありますが、基本的には受講料は無料で、どなたでも参加いただけます。
そろばん塾がそろばんの基礎講座をやったり、キーホルダー作りをやったり。キーホルダー作りは、そろばんに関係ないけれどお店の方がキーホルダー作りが趣味なんでしょうね。
講座の内容は、実施する個人店さんの自由にしてもらっています。マッサージ店では簡単なマッサージ講座だったり、化粧品店ではメイク講座だったり、いろいろです。
私の店は寝具店として布団を販売しているので、小座布団の作り方を教える講座を予定しています。
工務店だったら、網戸の張替え方を教えてもらえるそうです。
受講者からは「個人店のこだわりを感じた」と反響
ー8年も続く「まちゼミ」ですが、受講者からの反響はいかがですか?
やっぱり面白かったという感想をもらうことが多いですね。
私のお店の小座布団作りでもそうですが、作ったことのないもの、体験したことのないものを気軽に体験できるところに、非常に満足いただいています。
体験系の講座のほかにも、セミナーをやっているところがあるので「ためになった」「知らないことがまだまだたくさんあることに気づいた」とか。
「個人店の技術の高さを身近に感じた」「プロから直接学べた」「入りづらい店に入れた」という声をいただいたことがあります。
そういった個人店のこだわりや技術を知っていただけると、お店側も嬉しいですね。
ーまちゼミの講座を実施するお店側にも多くのメリットがあるのですね。
そうですね。講座を考えたり、必要なものを準備したりというのは時間的にも大変なところではありますが、やはりお客さまとの絆づくりだと思って心を込めて運営しています。
実は、まちゼミの講座中に販売をしてはいけないというルールがあるので、お店側の直接の売上になるわけではありません。
それでも、賛同してくださるお店が多くあります。受講者は、後日お店に立ち寄ってくださったり、買い物をしてくださったりもするので、まちゼミを通してのつながりができているなと感じます。
市民も一体となって盛り上げる「野田まちゼミ」
ーまちゼミの運営を通して、まちの変化はありましたか?
大きな変化があったわけではないですが、まちゼミの取り組みが少しずつ認知されてきたように感じます。
まちゼミの開催期間には、専用の幟(のぼり)を立てていますが、その効果もあって野田市の皆さんが「まちゼミ」を知っているという状態ですね。
講座を実施するお店側も、受講する市民のみなさんも一体になって「まちゼミ」を楽しんでいただいているような雰囲気になってきたと思います。
ー野田市の「まちゼミ」の今後の展望を教えてください。
今年、2022年もまちゼミを開催します。5/26〜6/30までの間で、41つの講座を予定しています。
今回はコロナ禍もあり、ひとつの講座で参加できる人数を少し制限しての開催予定で、少人数制で距離を保ちながらではありますが、人数が少ない分、心の距離が近くなるような講座になっています。
オンラインでも受講できるものから、子ども向けのもの、スタンプラリーなども企画しています。お近くの方はぜひ足を運んでみてください。
ー本日は、お忙しいなかありがとうございました。
野田まちゼミの会 副会長
(ふとんの長谷川)