千葉県産の天然ガスとヨウ素とは?エネルギーの「千産千消」に取り組むK&Oエナジーグループ株式会社に聞いてみた PR

千葉県産の天然ガスとヨウ素とは?エネルギーの「千産千消」に取り組むK&Oエナジーグループ株式会社に聞いてみた

日本で使用される天然ガスは輸入に頼っていると思われがちですが、実は千葉県でも天然ガスが生産され、地元の人々に使われています。また、千葉県産の天然ガスは地下水に溶け込んでおり、くみ上げられた地下水からはヨウ素も製造できます。日本は世界的にも主要なヨウ素生産国であり、その生産量は世界第2位です。

資源に乏しいといわれる日本において、天然ガスやヨウ素が千葉で生産されているとは意外に思う人も多いのではないでしょうか。

今回は千葉県でガスとヨウ素の生産・販売を中心に事業を展開する、K&Oエナジーグループ株式会社 新井さん、池田さんにお話を伺いました。

千葉県で天然ガスとヨウ素を生産するK&Oエナジーグループ株式会社

作業イメージの画像

―本日はよろしくお願いします。まずは、御社の沿革や事業内容を教えてください。

弊社は千葉県天然ガスヨウ素の事業を中心に、連結子会社4社とそれに係わる事業を行う子会社からなるグループ企業です。

ガス事業では、天然ガスが溶け込んだ地下水をくみ上げてガスを分離・採取し、都市ガスとして供給。ヨウ素事業では、ガスを分離・採取したあとの地下水から、ヨウ素を製造・販売しています。

また、天然ガスは環境負荷が小さいといわれるものの、化石燃料であり、燃焼時にはCO2を排出します。再生可能エネルギーへの事業拡大も見据え、地熱発電に使う井戸の掘削やメンテナスにも携わっています。

優良な天然ガスを千葉県で安定供給

セパレーターのイメージ画像

―御社で生産・供給する千葉県の天然ガスには、どのような特徴があるのですか?

弊社グループがガスの開発・生産をしている場所は、房総半島の太平洋側に面した地域です。この地域では比較的浅い地層に天然ガスが存在しているため、深く掘らなくても生産できるメリットがあります。

この地域に存在している天然ガスは、千葉県で天然ガスを生産する企業7社の年間生産量で、約800年分に相当するともいわれ、非常に豊富です。

房総半島は元々、海底が隆起してできあがった地形であり、房総半島の地下に閉じ込められた海水のなかの有機物などが変成を受けて天然ガスとなり、その天然ガスを含んだ地下水はかん水と呼ばれています。

弊社グループでは400本ほどの生産のためのガス井戸を所有しており、そのガス井戸でかん水をくみ上げて天然ガスを生産しています。

くみ上げたかん水はセパレーター(分離槽)というコンクリートの箱のような設備に運び、そこでかん水中の天然ガスを分離します。分離したガスは、圧縮機にて昇圧し、都市ガス会社に送っています。

千葉県で生産される天然ガスの特徴はメタン純度と熱量の高さです。炭酸ガスや窒素などの不純物はわずか1%程度で、メタン99%を占めます。また、1㎥あたり約39MJもの発熱量があり、そのまま都市ガスに利用できる優良な天然ガスです。

千葉県産の天然ガスは輸入天然ガスと比較すると、生産から消費までの全段階を通してCO2排出量も抑えられており、輸入天然ガスが排出するCO2を「1」とすると、千葉県産の天然ガスは「0.87」です。これは海外で生産された天然ガスを、液化させたり運搬したりといった過程でCO2の排出量も増えるためです。

つまり、千葉県で生産され千葉県のお客さまに使っていただく「千産千消(地産地消)」天然ガスには、環境負荷を抑えているという特徴があります。

さらにロシアのウクライナ侵攻もあり、海外情勢の影響を受けてエネルギー価格が高騰しました。しかし、千葉県産の天然ガスは千葉で生産して千葉で供給しているため、海外情勢の影響を受けにくく安定した価格で供給できています。

このように千葉県産の天然ガスは「千産千消」のエネルギーとして、環境負荷を抑えながら安定した価格で生産・供給ができるのが大きな魅力です。

―環境負荷を抑えて安定供給できる千葉県産の天然ガスは、千葉県以外の地域への提供拡大は予定されていますか?


埋蔵量が豊富であっても、天然ガスを生産できる量は限られているため、供給地域を広げるのは現実的ではありません。千葉県産の天然ガスは、地下からかん水をくみ上げて生産しますが、地下水のくみ上げは地盤沈下の一つの要因にもなっています。千葉県と地盤沈下防止協定を結んでおり、1年間に地上に排水できる上限を決めて地盤沈下を起こさないように管理しながら天然ガスを生産しています。

また、冬季などガスが多く使われる時期では、千葉県産の天然ガスだけでは供給量が不足することもあるので、ほかから調達したガスで補うこともあります。

こういった状況から、生産量を一気に増やして供給地域をどんどん広げる事業展開は現実的ではありません。

日本は世界2位のヨウ素生産国、その8割は千葉県で生産

ヨードプリルの画像

―御社のもう一つの主力事業として、製造・販売されているヨウ素についても詳しく教えてください。

天然ガスを生産する過程でくみ上げたかん水の中にヨウ素が含まれているため、天然ガスを分離した後のかん水をヨウ素工場へ送って、ヨウ素を製造・販売しています。

ヨウ素は海水などに含まれている身近な元素ではあるものの、事業として成立する効率的な製造ができる国は限られています。ヨウ素の生産国第1位チリで、日本はそれに次ぐ世界2位の生産国です。日本で生産しているヨウ素の約80%は、千葉県で天然ガスを取ったあとのかん水から製造されています。

かん水は地下に閉じ込められた海水が非常に長い年月を経てできたものであり、ヨウ素分も凝縮されています。通常の海水と比較すると、ヨウ素分が約2,000倍多く含まれています。この濃度の高さがヨウ素の効率的な生産を可能にし、資源の乏しい日本が世界に向けて輸出できるほどの生産を可能にしています。

―日本は世界的なヨウ素の生産国だったんですね。ヨウ素はどんなものに使われていますか?

日常生活の中で、ヨウ素を目にする機会はなかなかないと思いますが、非常に殺菌力の強い元素で、身近なものとしては、うがい薬殺菌消毒剤の原料に使われています。

その他にもさまざまな用途で使用されており、パソコンスマートフォンの液晶に使われる偏光フィルムや車のタイヤエアバックの材料として使われるナイロンの安定剤などがありますが、特に医療分野、レントゲン造影剤での需要が増えています。

血管や臓器を写す際の造影剤の原料にヨウ素が使われ、現在、ヨウ素事業を最も牽引する分野です。

―医療分野でのヨウ素需要が高まった背景には、何があるのでしょうか?

背景には、今まであまりレントゲン造影剤を使わなかった新興国が使うようになったことと、欧米で健康志向が高まってレントゲン造影剤を使った検査が増えたことが挙げられます。

また、ヨウ素は人体に欠かせない元素で、不足するとヨウ素欠乏症を引き起こします。SDGsの観点でいえば、ヨウ素は全世界の人々の健康に関わる、重要な役割をもつ資源です。

ヨウ素は海水の中に含まれるため、日本のように海藻等を食べる国では、欠乏症を起こすことはほとんどありません。しかし、大陸の内部にある海のない国や、島国でも標高が高い地域で海藻等を摂る機会がない国では、ヨウ素欠乏症が発生する可能性があります。

そういった国ではヨウ素を塩などに混ぜて摂取し、ヨウ素欠乏症を防ぐ必要があるため、千葉県でヨウ素を製造する会社が協力し、そういった国へ提供することも行っています。

植物の成長を促進するフルボ酸の活用も展開

―千葉県では天然ガスとヨウ素、2つの貴重な資源が作れるのですね。

さらに付け加えますと、かん水にはフルボ酸という物質も含まれています。これは動植物の遺骸が長い年月をかけて自然界で分解や重合を繰り返してできる茶褐色の有機物で、腐植物質の一種であり、これを活用した事業にも取り組んでいます。

フルボ酸には、植物に栄養の吸収と成長を促進させる効果があります。そこで、肥料メーカーさんとタイアップして、フルボ酸を加えた植物用活力液が商品として販売されています。

また、福井県にあるグループ会社では、サンドイッチの材料にするサニーレタスなどを作る植物工場を有しており、ここでもフルボ酸を使って生産性を上げる実証実験をしています。

温暖化や甚大な災害があっても、室内の守られた空間で植物を栽培できれば、SDGsにもつながるのではないでしょうか。

今後の脱炭素社会に向けて新しいエネルギー事業も推進

ガス井戸の画像

―今後、注力していきたいと考える事業や展望をお聞かせください。

弊社は元々、天然ガスを中心としたエネルギー会社であることから、現在の一番の課題は2050年カーボンニュートラルへ向けての対応です。

今後も環境負荷が小さく「千産千消」で安定供給できる千葉県産の天然ガスは重要な存在ですが、化石燃料に変わりありません。豊富な埋蔵量があるといっても天然ガスを燃やせばCO2が排出されます。

すぐに脱炭素社会へ移行するわけではないものの、今後のエネルギーのあり方を見据え、将来も千葉県産天然ガスを安定供給していくためにも、再生可能エネルギー分野での新規事業を計画しています。

具体的には地熱発電風力発電を展開したいのですが、どちらも規模が大きく、弊社の力だけでは実現が難しいでしょう。

グループ会社の一つである株式会社WELMAは、地熱発電のための井戸を掘削する会社です。天然ガスの生産も井戸を掘るため、事業的に重なる部分があり、今後の再生可能エネルギー分野への新規事業の展開の観点から良いコラボレーションができるのではないかと考えています。

そして、地熱発電の井戸を掘るだけでなく、実際に地熱発電事業へ参画できないか、宮城県で調査も進めている段階です。

千葉県では銚子市が風力発電で有名ですが、弊社の本社から近いいすみ市沖九十九里沖にも、洋上風力発電の有望地があります。間もなくそこが洋上風力発電の促進区域に指定される予定です。

事業に参画する会社の選定も始まるため、弊社もそこに加われるよう活動を展開しています。

―読者へのメッセージやPRがあればお聞かせください。

弊社グループの事業は千葉県の外房地域を中心に、地元の方にご理解・ご協力いただきながらガス井戸掘さくや生産基地の建設を行っています。

ガス井戸は水道バルブの先端のような形状をしていますが、地元の方でもそれが何の設備なのかをご存じないことが多いようです。

小中学校の総合学習で、地域の児童・生徒さんに説明する機会がありますが、「何をするものか今まで知りませんでした」「これはガスの井戸だったんですね」といった感想をよく聞きます。

千葉県天然ガスが採取でき、ガスを生産したあとの地下水からは、人体に欠かせないヨウ素も製造され、しかもそれが世界的生産量を誇っていると、まだまだ知られていないようです。

弊社ホームページでは、天然ガスやヨウ素の生産を学べる小中学生向けの動画コンテンツも用意しています。生産現場見学は随時受け入れておりますし、千葉県教育旅行SDGs体験プログラムにも加えていただき、千葉県の修学旅行での学びにも利用いただけないか提案して、知っていただく機会を作っております。

「千産千消」の天然ガスでのエネルギー供給と、世界に向けて輸出できるヨウ素の製造を行う企業として、今後も地元の方々にご協力いただきながら、大切な資源を有効活用できるよう努めてまいります。

―本日はお話いただき、ありがとうございました。

総務部

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総務部

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気になるけど、なかなか話しづらい。けどとても大事な「お金」のこと。 日々の生活の中の身近な節約術から、ちょっと難しい金融知識まで、知ってて得する、為になるお金の情報を更新していきます。

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