「一宮モーニングプロジェクト」とは?愛知県一宮市のおもてなし喫茶文化をご紹介 PR

「一宮モーニングプロジェクト」とは?愛知県一宮市のおもてなし喫茶文化をご紹介

愛知県一宮市は、県北西部に位置し、毛織物で有名な尾州産地の中心地と云われる街です。アップダウンの少ない肥沃な土地と木曽川の豊かな水で、古くから西尾張地域の産業の中心地として発展してきました。

そんな一宮市には、「モーニング」という独特の文化があることをご存知でしょうか。繊維産業の発展を背景に根付いた、おもてなしの喫茶文化です。

今回は、一宮商工会議所の一宮モーニング事業のご担当者に、「一宮モーニングプロジェクト」や「一宮モーニングきっぷ」についてお話を伺いました。

歴史ある繊維の街、愛知県一宮市

おりもの感謝祭一宮七夕まつりの画像

ー本日はよろしくお願いいたします。まず、愛知県一宮市について教えていただけますでしょうか。

一宮市は濃尾平野のほぼ中央、愛知県と岐阜県の境に位置する街です。近くを流れる清流、木曽川の水を使って古くから繊維産業が発展してきました。

人口は約38万人で、一昨年に尾張地域で初めての中核市となりました。昨年2021年は市制100周年を迎え、一宮商工会議所も設立100周年を迎えました。

中心市街地にある「真清田神社」は、平安時代、国家から国幣の明神大社と認められ、「尾張國一之宮」として、国司を始め人々の崇敬を集めました。今年は御鎮座2650年にあたる、大変歴史のある神社です。

真清田神社の門前町として地域を支えてきたのが本町商店街で、毎年7月に開催される「おりもの感謝祭 一宮七夕まつり」の会場でもあります。これは織物の神様に感謝を捧げるお祭りで、絢爛豪華な飾り付けがされ、多くの方が来場されるんですよ。

ほかにも真清田神社で春に行われる桃花祭や市内各地で開催されるさくら祭り、秋のハロウィンイベントをテーマにした「一宮だいだいフェスタ大集合」、冬の駅前を飾る一宮イルミネーションなど、1年を通じて賑わいのある街を目指してさまざまなイベントや事業を展開しています。

地域資源を活かす「一宮モーニングプロジェクト」

ー「一宮モーニングプロジェクト」について教えてください。

「モーニング」と呼ばれる、一宮市のおもてなし食文化をご存知でしょうか。市内の喫茶店で朝の時間帯にドリンクを注文すると、おおむねドリンク代のみでトーストやゆで卵、サラダなどがサービスで提供されるというものです。

「一宮モーニングプロジェクト」は、地域資源であるこのモーニング文化を通して、一宮市の知名度を高める事業となっています。

一宮モーニングプロジェクトの事業例
  • 「一宮モーニングマップ」制作
  • 「テイクアウトモーニンググランプリ」開催
  • 「おもてなしモーニングCafé」開催
  • 「モースタグランプリ」開催

一宮モーニングプロジェクトの始まり

一宮モーニングのイメージ画像

ーなぜそんなにお得なモーニングサービスが広がったのでしょうか?

一宮はもともと「機屋(はたや)さん」の街なので、昔はとくに機織りのすごく大きい音がしたんです。それだと会社で商談ができないので、近くの喫茶店に入って商談をしたり、休憩をしたりする方たちが日常的にいらっしゃいました。

そこである喫茶店の気のいい店主さんが、1日に何度も来てくれるお客さんにゆで卵とピーナッツをサービスで出したというのが、モーニングの始まりだそうです。他のお店でもいろいろなサービスをつけるようになって、今に至ります。

今でも一宮では休日に家族2世代、3世代で喫茶店に行き、モーニングを食べる光景が日常的にみられるんですよ。一宮市民にとって喫茶店はとても身近な存在です。


ープロジェクトが始まった経緯を教えていただけますでしょうか。


始まりは今から16年前、本所青年部が開催した「一宮モーニング博覧会」というイベントでした。一宮七夕まつり会期中に、市内の喫茶店さんのモーニングを一堂に集めて来場者の皆さんに実食販売させていただいたんです。

これが非常に好評で、「Yahoo!ニュース」に取り上げられたことも影響して、「一宮モーニング」が注目され始めました。


ーそれまでは地元の方以外にあまり知られていなかった文化なんですね。

当時の青年部会長によると、以前は出張先での名刺交換の際、どこから来たのかを訊ねられると「名古屋です」と答えるのが普通だったそうです。一宮市自体がまだあまり知られていなかったからでした。

でも何か面白いコンテンツがあれば「一宮から来た」と紹介してもすぐわかってもらえるだろうということで、試行錯誤もありましたが、モーニングを広めていくことになりました。今では全国的に認知されつつあるので、「モーニングの街、一宮です」とお話できるようになっています。

一宮モーニングマップ

ー次に「一宮モーニングマップ」について教えてください。

「第1回一宮モーニング博覧会」の後、本格的に情報発信をしていくために「一宮モーニング協議会」を本所内で立ち上げました。現在では、年間を通じて複数の事業に取り組んでいます。

その1つが「一宮モーニングマップ」の制作・配布です。一宮モーニング協議会に賛同いただいている約100軒ほどの喫茶店をPRするマップを制作しています。毎年リニューアルをしていて、お店や観光案内所などに配布して活用いただいています。

個人で経営されている昔ながらの喫茶店や、若い方が新たにオープンした喫茶店も多いので、マップだけでなくホームページでも紹介しています。

テイクアウトモーニンググランプリハイブリッド

テイクアウトモーニンググランプリハイブリッド表彰式の様子

ーテイクアウトモーニングのイベントがあるそうですが、これはどのような内容でしょうか?

4年前から「モーニング博覧会」の流れを汲む「テイクアウトモーニンググランプリ」を開催しています。テイクアウトのモーニングを販売し、気に入ったお店に投票していただくというイベントです。コロナ禍ですので、試食スペースを作る代わりにテイクアウトで楽しんでいただこうということで始めました。

会場に来られない方もいらっしゃるでしょうから、メニューを見て気に入ったお店にWEB投票できるようにもしています。こうしたハイブリッド型の特設サイトは昨年から取り組んでおり、好評につき今年も開設し、多くの投票をいただきました(WEB投票は5月23日に終了しました)。

今年は7店舗が参加されていますので、お1人7食までご購入いただけます。WEB投票受付は終了いたしましたが、5月28日には各70食限定で販売し、会場での投票ができるイベントを開催する予定ですので、たくさんの方にご参加いただけたら嬉しいです。会場は、一宮駅の尾張一宮駅前ビル3階にある吹き抜けの「シビックテラス」です。

おもてなしモーニングCafé

ー次に「おもてなしモーニングCafé」について教えてください。

「おもてなしモーニングCafé」は、一宮市内の高校の生徒さんがオリジナル創作モーニングを考案・販売するイベントです。毎年秋に開催していて、一宮商業高校と修文学院高校の2つの学校から生徒さんが参加し、それぞれメニューを考えています。

喫茶店さんのアドバイスを受けながら若い方の感性で面白い商品をつくられていて、なかなか評判のイベントです。

ーどこで開催されるのでしょうか?

一宮駅の尾張一宮駅前ビル3階にある、喫茶店「カフェレストランICHIMO(イチモ)」が会場です。ICHIMOさんに協力をいただいて生徒さんがお客さんに販売します。

販売のオペレーションも学生さん自身がやるのですが、調理に関しては今年から本職の方にお願いすることになりました。コロナ対策が理由ですが、もともとは調理も学生さんがやっていたんですよ。

若い方に一宮のモーニング文化を少しでも体験してほしい、広めてほしいという思いで取り組んでいる事業です。

モースタグランプリ

ー「モースタグランプリ」というコンテストもあるそうですが、どのような内容でしょうか。

「モースタグランプリ」はInstagramを使ったフォトコンテストで、「一宮モーニングマップ」を発行する8月1日に合わせて、12月までの約5ヶ月間にわたり毎年実施しています。こちらも若い方に喫茶店へ足を運んでもらうきっかけとなることをねらったイベントです。

一宮モーニングの魅力的な写真をinstagramにハッシュタグ付きで投稿いただき、優秀作品には賞品をお贈りしています。

ー若い世代へのアプローチを積極的にされているんですね。

若い世代は利便性の高いコンビニの利用や、喫茶店離れが進んでいると聞いていますので、一宮ならではの喫茶店さんがもつ魅力も知っていただけたらと思っています。

喫茶店さんを支援していくのも私どもの大事な取り組みなので、新しいお客さんにもお店へ足を運んでいただき、若い世代の常連さんも増やせるように、さまざまな活動をしているんです。

お店の方に向けた活動としては、喫茶店どうしが交流する「加盟店交流会」という場を定期的に設けています。これは3年ほど前から始めたもので、喫茶店の店主さんたちに横のつながりを作ってもらうことを目的とした場です。新型コロナの影響でなかなか開催できませんが。

一宮モーニング協議会に加盟いただいているお店にお声がけをしたら、何十店舗も集まってくださいました。商工会議所を会場にして、情報交換をしていただいたり、私どもの活動をご紹介したりして、交流を生んでいます。

1日中楽しめる!一宮モーニングきっぷ

一宮モーニングきっぷの概要チラシ画像

ー次に、「一宮モーニングきっぷ」についても教えてください。

「一宮モーニングきっぷ」は、名古屋鉄道さんと一宮市がタッグを組んで実施しているローカルキャンペーンです。モーニングを含めて一宮のさまざまな魅力を知っていただくのが目的となっています。今年3月1日から、5月31日までのキャンペーンです。

きっぷの内容は「名鉄一宮駅までの名鉄電車 往復割引乗車券」「一宮おでかけバス手形1日乗車券」「市内12店舗から選べるモーニング券2枚」、そして一部物販店のクーポンです。キャンペーンチラシの裏面に、一宮モーニング協議会の加盟店舗さんが12店舗載っています。モーニング券をもって喫茶店さんに行くと、モーニングの提供と何かプラスアルファのサービスを受けられるという特典です。


ーモーニング文化の体験ができて、市内の周遊もしやすくなるきっぷなんですね。

予約は必要ですが、繊維工場の見学や機織り体験もおすすめです。モーニングきっぷで参加費が割引されたり、特典として記念品が受け取れる場合もあります。一宮には繊維工場がたくさんありますから、昔ながらの機械も最新技術も見られる貴重な機会になるのではないでしょうか。

また、おでかけバスを利用して真清田神社や美術館を訪れるなど、一宮市を1日じっくり楽しんでいただけたらと思います。

ーこのキャンペーンに関して、喫茶店の方からの反応はいかがでしょうか。

やはり通常と比べて、お客さんは確実に増えているそうです。毎月、喫茶店さんからお客さんが利用されたモーニングきっぷの利用枚数をうかがっているので、その際に取り組みの効果についてもお聞きしています。

ーどんな方におすすめしたいきっぷだと思われますか?

「知ってはいるけれど実際に一宮モーニングを食べたことはない」という方や、電車やバスでゆっくり観光をしたい方におすすめしたいですね。たとえば名鉄電車で一宮に来ていただいて、午前中にモーニングを食べて、バスで市内の名所をめぐるといった日帰りプランが楽しめると思います。

最近は車を持たない若い世代の方もいらっしゃいますので、ぜひモーニングきっぷを活用していただけたら嬉しいです。

一宮モーニングきっぷの概要チラシ裏面

読者へのメッセージ

ー最後にこの記事を読まれた読者の方へのメッセージをお願いします。

一宮モーニングプロジェクトは、16年前から地道に育てられてきた事業です。ここ数年はメディアに取り上げていただく機会が増えて、平成28年には特許庁から「一宮モーニング」が地域団体商標に認定されました。商工会議所が出願し、認定されたものとしては、まだ全国2番目のケースです。

一宮市内全域に点在する喫茶店がこの地域の小さなコミュニティになっていて、家族で喫茶店でくつろぐのも当たり前の光景となっています。世代を超えて人が集い、コミュニケーションを楽しむ場としてのモーニング文化をぜひ体験しにいらっしゃってください。


ー本日はお時間をいただき、ありがとうございました!