住宅ローン控除制度の基本と具体的な減税額の計算方法をマルッと解説!
住宅ローンの控除制度は、マイホームをローンで購入したり、増改築した際に適用される制度です。年間最大40万円が、収める所得税・住民税から差し引かれるため、大きな経済的メリットがあります。
この記事では、住宅ローン控除を受けるための条件と手続き方法を紹介していきます。少しでもマイホーム購入の経済的負担を軽減したい方は、最後までご覧頂ければと思います。
住宅ローン控除(減税)とは?
住宅ローン控除制度とは、個人が住宅を購入したりリフォームをする際に決められた条件に基づいて、一定割合の金額が所得税から控除されるお得な制度です。
住宅借入金等特別控除と呼ばれるお得な制度
住宅ローンの正式名称は「住宅借入金等特別控除」であり、個人が新築や中古のマイホームを購入、住居の改築をするときに一定期間はローン残高に応じた金額が所得税から差し引かれて還付されます。
また、住宅ローン控除制度は住宅税制の制度変更などにより、内容も都度変わっているので、最新の制度を確認しておく必要があります。
最新の住宅ローン控除制度の概要について
現在住宅ローン控除制度は、令和3年12月末までに住居開始をすれば、そこから10年間適用となります。1年ごとのの控除限度額は40万円となっておりますが、認定長期優良住宅や認定低炭素住宅という認定がされた場合は最大50万円が上限額として設定されています。
住宅ローン控除を受けるための条件
住宅ローン控除を受けるためには、どの項目においても合計所得が3,000万円以下で、住宅ローンの返済期間が10年という条件があります。
また、「住宅の条件」と「ローン条件」によっても適用条件が変わるので、ご自身の目的に合わせた方法での手続きが必要です
新築の場合の住宅ローン控除適用条件
新築のマイホームにおいて、住宅ローン控除を受ける場合は下記の条件を満たす必要があります。
- 新築または取得日から6ヶ月以内に入居し、その年の12月31日まで住んでいること
- 借入れした方の合計所得金額が3,000万円以下であること
- ローンの返済期間が10年以上あること
- 登記簿に記載されている床面積が50平米以上あること
- 床面積の1/2以上が自分の居住用であること
新築を購入する場合は、床面積の1/2以上が住居用であることが条件として定められています。半分以上が労働環境として利用する場合などには適用されませんので注意が必要です。
また、床面積が50平米未満の場合は適用外となります。この床面積は不動産屋さんで見る資料に表記されているものとは異なる場合があります。
住宅ローン控除において適用されるのは登記簿の面積なので、販売資料ではなく登記簿を確認しておきましょう。
さらに、年収が3,000万円以上の方は住宅ローン控除自体を受けることができません。より高額な物件の購入は控除対象外ということになります。
返済期間も10年以上あり、長期に渡り住宅ローンを返済する方にのみ控除制度が適用されますので、上記に掲げた条件に合致しているか今一度確認しましょう。
中古の場合の住宅ローン控除適用条件
中古の物件において個人が住宅ローン控除を受ける場合は、新築住宅の適用条件に加えて下記の条件を満たす必要があります。
- マンションなどの耐火建築物は、取得の時点で築25年以内であること
- 耐火建築物以外は取得の時点で築20年以内であること、または一定の耐震基準をクリアしていること
- 生計を一にする親族などからの購入ではないこと
- 贈与された住宅でないこと
中古住宅を購入し住宅ローンの控除を受けたい場合は、25年以内の物件である必要があります。なおこれは鉄筋コンクリートなどの耐火建築物で、それ以外の場合は20年以内になります。
古すぎる物件の場合は、耐震基準に満たない可能性があるので耐震基準適合証明書の取得も必要になります。また、生計を一にする親族から購入したり、譲り受けた物件の場合も不適用となります。
増築・リフォ-ムの場合の住宅ローン控除適用条件
- 自分で所有し、居住する住宅リフォームであること
- 一定の省エネリフォーム、バリアフリーリフォーム、耐震リフォーム、または大規模な間取り変更や修繕などであること
- 工事費用が100万円を超えていること
- 店舗併用住宅等の場合、居住用部分のリフォーム費用が1/2以上であること
増築・リフォームの場合には、まず「自分で所有し、居住する家のリフォーム」である必要があります。会社や店舗などを兼用している場合には、居住用のリフォーム費用が半分以上を占めていなれば控除対象から外れてしまいますので注意が必要です。
また、床の一部を張り替えたなどの簡易的なリフォームは適用されず、バリアフリーリフォームや耐震リフォーム、大規模な間取り変更などのリフォームである必要があります。すべてのリフォームに住宅ローン控除が適用されるわけではありません。
工事費用は100万円超に限られていますので、たとえばリフォーム代が95万円なら、100万円までの費用がかかるように調整するとよりお得にリフォームできるでしょう。
借り換えのメリット&デメリットを知っておこう!
日本銀行が2016年にマイナス金利政策を導入したことにより、個人向けの住宅ローンの金利も低い水準が続いています。
つまり、住宅ローンを借り換えることで、ほとんどのケースで現在のローンよりも低金利に乗り換えられるのです。
たとえば、現在借りている住宅ローン(1)から別の住宅ローン(2)への借り換えるときは、住宅ローン(1)の借入残高を住宅ローン(2)が扱っている金融機関から借入れて住宅ローン(1)の返済にあてるのです。
借り換えを利用することで低金利になるだけではなく、返済期間が短くなるという魅力もありますが、借り換えはデメリットも生じるのであらかじめ確認しておきましょう。
借り換えのメリット・デメリットは下記のとおりです。
- 支払う利息が減り、総返済額も減額
- 金利上昇局面へのリスク軽減
- 保証の手厚い団体信用生命への切り替え
- 諸費用がかかる
- 審査がある
住宅ローンを借り換える最大の効果は利息の削減ですが、借り換えにともなう諸費用の金額が削減額を上回ってしまうと、借り換えることがデメリットになります。住宅ローンの借り換えは下記の項目に当てはまる方におすすめです。
- 借り換え前と借り換え後のローン金利差が1%以上ある
- ローン残積は1,000万円以上ある
- 返済期間が10年以上残っている
住宅ローン借り換えにかかる諸費用の中には、抵当権設定・抹消費用、事務手数料が含まれます。ローン保証料は金融機関によって異なるので、あらかじめ確認しておきましょう。
借り換えのタイミングは人それぞれですが、もし、固定金利期間選択型の住宅ローンを借りている場合は、固定金利期間が終了するタイミングで判断することがおすすめです。
住宅ローンとして固定金利期間選択型を申し込んだときに、基準金利よりも低い優遇金利が適用されていた場合は固定金利期間終了後に借入金利が上がる可能性があるので、期間終了後に借り換えを利用するのか判断しましょう。
住宅ローン控除の対象になるローンは?
住宅ローン控除の対象になるローンには、5つの条件があり、すべての項目を満たす必要があります。
民間の金融機関などからの借入れ
民間の金融機関とは、銀行や信用金庫、独立行政法人住宅引用支援機構、地方公共団体、公務員共済組合等の機関です。個人からの借入などでなく、これらの金融機関からの借入れであることが条件です。
借入れ金利が年0.2%以上
上記の民間金融機関でなく、事業主団体から借入を行うときは借入の金利が年0.2%以上である必要があります。事業主団体からの融資で利子の補助を受ける場合がありますが、そのときは利子補助額を控除したあとの利息が年0.2%以上でなければなりません。
親類以外からの借入れ
親類からお金を借りることは比較的ハードルが低いですが、親類から借入れている場合は住宅ローン控除の適用外となります。
中古住宅の前所有者から引き継いだローン以外
中古住宅を購入した場合、前の所有者からローンを引き継ぐこともありますが、この場合は住宅ローン控除の適用外となるので注意してください。
住宅ローン控除で戻ってくる金額を計算
では、住宅ローン控除でどれくらい減税されるのでしょうか。それを計算していきます。
住宅ローン控除のへ返済期間のうち、10年間の間はローン残高の1%が所得税から控除されます。このローン残高は各年の年末時でのローン残高が反映されます。
控除される金額は、各年ごとに最大40万円です。これが認定住宅の場合は50万円になります。最大10年間控除を受けることができますので、最大400万円、認定住宅では最大500万円が戻ってきます。
最大控除額の40万円を受け取る場合は、ローン残高が10年間の各年末時にその1%である4,000万円を超えている必要があります。また年間の所得税と住民税が合わせて40万円を超えていない場合はそこまでの金額しか控除されないので気をつけましょう。
住宅ローン控除額の計算方式
控除額の計算は、「住宅ローン年末残高×控除率1%」です。たとえば、ローン残高が2,500万円だった場合、「2,500万円×1%=25万円」が控除可能額となります。
この年末のローン残高の1%と最大控除額の小さい方の額が控除額として適用されます。年末ローン残高が4,500万円の場合は1%が45万円と算出できますが、最大控除額は40万円なので、こちらが優先されて住宅ローン控除可能額は40万円になります。
控除額は全額戻ってくるわけではなく、そのほかの税金から差し引きされます。住宅ローン控除額の計算方式をもとに、下記の条件の場合はいくら納税する必要があるのか算出します。
- ローン残高:2,500万円
- 控除率:1%
- 所得税:10万円
- 住民税:18万円
ローン残高である2,500万円に、控除率である1%を乗じると25万円。所得税に対する上限はありませんが、住民税に対する上限は136,500円と定められているため、「所得税(100,000円)+住民税(最大136,500円)」=236,500円が控除額となります。
つまり、本来納めるべき税金である280,000円から236,500円を引くことで、43,500円のみ納税すればよいと確認することができます。
所得税から控除しきれない場合に限り住民税から控除
住宅ローン控除前の所得税額が住宅ローン控除額よりも少ない場合は、所得税から住宅ローン控除額が引ききれません。この場合は、住宅ローン控除額のうち所得税から控除できなかった部分を住民税から控除します。
住民税から控除する額には1年ごとに上限があり、上限額は住宅を購入(新築)したときに課税された消費税の税率によって異なります。
住宅ローン控除を受けるための手続き
住宅ローン控除を受ける場合には、年末調整とは別に所得税の確定申告をする必要があります。住宅に入居した年の翌年の2月16日から3月15日までに必要書類を添えて税務署に提出します。
確定申告書を提出する税務署は居住地の管轄する税務署になります。「確定申告の方法がわからない」という方は、最寄りの税務署に相談してください。
また、確定申告書は持ち込みだけではなく、郵送や「e-tax」での申告も可能です。
給与から源泉徴収されている会社員や公務員は年末調整をおこなうため、通常は確定申告をする必要がありません。
しかし、住宅ローン控除を受ける場合には、年末調整とは別に所得税の確定申告が必要です。
必要書類
住宅ローン控除に必要な書類は下記のとおりです。
- 確定申告書(A書式)
- 住宅借入金等特別控除の計算明細書
- 源泉徴収票(会社員などの場合)
- 住民票の写し
- 住宅ローンの「年末残高証明書」
- 建物・土地の不動産売買契約書・工事請負契約書のコピー
- 建物・土地の登記事項証明書
- そのほかの書類が必要なケース
確定申告に必要な契約書のコピーや住民票、源泉徴収票は、あらかじめ揃えておくことで確定申告の作成がスムーズにできます。
書類によっては取り寄せる必要があり、確定申告期限のギリギリで申請をしても間に合わない可能性もあるので事前準備が大切です。
住宅ローン控除制度のまとめ
住宅ローン控除を受けるための条件をあらためて確認しましょう。
- 現在の制度では居住から10年間が控除の対象期間
- 合計所得が3,000万円以下の人のみ。
- 各年に40万までが控除される
「新築」「中古」「改築・リフォーム」の用途によって、住宅ローン控除の適用される条件が異なります。
また、借り換えローンを利用すると、現在よりも低金利になるメリットもありますが、諸費用によってはマイナスになることも考えられます。借り換えを検討している場合は、費用の計算をしておきましょう。
また、住宅ローン控除には確定申告が必須なので、提出期限内に間に合うようにあらかじめ必要書類を揃えておくことが大切です。
フリーランスのライターとして飲食やマネーの記事を執筆していた経緯を経てマネ会を担当。話題になったQR決済など生活に関わるお金の話題はどんどん使って調べてしまう性格。飲むこと、食べることが好きすぎて自分でおつまみからメインディッシュまで料理するのも大好き。得意料理はイタリアン。ふるさと納税で日本各地の名産物がやってくるのが楽しみで、普段では絶対変えないフルーツやお肉を頬張りながらお得な情報をお伝えします。