教師からの転職が難しい理由とは?転職方法や失敗しないためのポイントを解説
「教師の転職は難しい」という意見を耳にして不安になっている人もいるのではないでしょうか。
この記事では、教師の転職が難しいといわれる理由や、転職を成功させるために知っておくべきポイントを紹介します。
後悔しないためのコツや、持っておくと便利な具体的な資格、おすすめの職業も紹介するので、教師からの転職を考えている人は参考にしてください。
教師の転職が難しいといわれる理由
まずは、教師の転職が難しいといわれる主な理由を紹介します。
理由を理解すると対策ができるようになるので、参考にしてください。
ビジネス経験がない
教師には民間企業で求められるビジネスの知識や経験がないため、準備なしでの転職は難しいとされています。
一般的な民間企業は利益追求のために成果や売上が求められることが業務であることに対し、教師は子どもへの教育が主な業務です。
転職ができても、そのギャップに悩む人もいるかもしれません。
民間企業での就職活動をしたことがない人は、エントリーシートや履歴書の書き方、面接への対応に困る人もいるでしょう。
自分のスキルが転職先の企業でどのように活用できるかや、数字や成果を求めるために何ができるかなどをアピールできなければ、企業側からの印象も良くない可能性があります。
このような理由から、民間企業で働いてきた人と比べると、教師から民間企業への転職では、不利な要素がいくつかあるといえるかもしれません。
民間と教師で求められるスキルが違う
民間企業と教師では、求められるスキルが異なることも転職が難しいといわれる理由のひとつに挙げられます。
例えば、民間企業で求められやすいスキルと、教師として求められるスキルを比べると下記のような違いがあります。
- 顧客のニーズを把握する能力
- 営業力
- 交渉力
- 論理的思考力
- ビジネスマナー
- マネジメント能力
- 分析・情報収集能力
- リーダーシップ力
- 上司、同僚、取引先などとの対人関係能力
- 分野ごとの専門的な能力
- 指導力
- 使命感や責任感
- マルチタスク能力
- 生徒に対する理解力
- 子ども、教員、保護者などとの対人関係能力
- 総合的な人間力
- 教科等に関する専門的知識
コミュニケーション能力やプレゼンテーション能力など、大きな視点でみると、必要とされるスキルには共通する部分もあります。
しかし、教育をメインとする教師と、利益の追求をメインとする民間企業では、スキルの使い方や目的意識自体に大きな違いがあるため、細かい点では大きく異なるでしょう。
教師で培ったマインドやスキルが、民間企業では通じないことも珍しくないため、転職が難しいといわれる理由になっているかもしれません。
30代・40代の教師でも転職は可能
30代、40代でも転職は可能です。
ただし、一般的に転職市場では、年齢が上がるほど即戦力としての人材を求められることが多く、これまでの経験や保有している資格・スキルなど求められることが多い点には注意が必要です。
そのため、30代や40代で転職する場合、これまで教師として培った経験やスキルなどがマッチする企業やポジションなどの転職先を探すことが大切です。
教師から他職種への転職におすすめの資格
教師から別の仕事に転職を考える人が持っておきたいおすすめの資格を紹介すると、下記のような資格が挙げられます。
- 英語に関する資格:TOEICなどの英語関連の資格
- 会計に関する資格:簿記や会計ソフト関係など
- ITに関する資格:MOSやITパスポートなど
- 教育に関する資格:放課後児童支援員や児童指導員任用資格など
- 運転免許
それぞれがどのような資格か、どのような業務に役立つかなどについて以下で簡潔に紹介するので参考にしてください。
英語に関する資格:TOEICなどの英語関連の資格
英語に関する資格は、グローバル化が進む現代社会では、汎用性が高いスキルのひとつです。
英語関連の資格としてTOEICやTOEFLを受け、一定の成績を残しておくと、エントリーシートや履歴書に記載でき、評価されることがあります。
例えば、TOEICは社会人の英語スキルとして比較的評価されやすく、600点以上あれば履歴書などでもアピールしやすいとされているので、積極的に受けると良いでしょう。
英語を使うシーンは企業によってさまざまですが、英語ができると、事務・管理部門、接客・販売業、旅行・観光業、営業職、ITエンジニア、技術職、通訳・翻訳など、さまざまな仕事への転職が有利になる可能性があります。
取引先が海外の場合、ミーティングやメールのやりとりなどで英語を使う機会があるため、ビジネス英語が求められるケースが多いでしょう。
もし、海外での転職を希望しているのであれば、英語スキルはほぼ必須といっても過言ではありません。
TOEICは基本的に読む・聞く力を測るテストなので、英文を読む・聞くなどインプットがメインの職種への転職を希望している人におすすめです。
一方で、TOEFLは読む・聞く力に加え、書く・話す力も合わせて測定するので、点数をとることを目指すと英語に関する総合的な力が鍛えられます。
海外赴任があるグローバルな企業への転職を希望する場合や、海外企業への転職を考えているのであれば、TOEFLがおすすめです。
会計に関する資格:簿記や会計ソフト関係など
会計関連の事務職に転職したい場合には、簿記2級や会計ソフト関連の資格取得がおすすめです。
簿記2級を取得していると、企業の経理・会計、営業、管理など多種多様なビジネスシーンで知識を活かせるため、転職先として検討できる企業の幅が広がるでしょう。
日商簿記の試験は、2〜3級の場合毎年6月・11月・2月の3回おこなわれるので、チャンスも多めです。
資格を保有しておくことで資格手当などの支給がされることもあるため、転職先の選択肢を広げたい人におすすめの資格といえます。
簿記に加えて会計ソフトを使えることを称する資格もあると、即戦力として採用確率が高まる可能性もあります。
会計ソフト関連の資格としては「電子会計実務検定」や「コンピュータ会計能力検定」のほか、特定の会計ソフトに応じた資格などがあります。
会計ソフトが普及しているため、取得しておくとより会計関連の仕事へ転職できる確率が高まるでしょう。
ITに関する資格:MOSやITパスポートなど
IT業界への転職を考えているのであれば、「MOS」や「ITパスポート」、「基本情報技術者」などを取得しておくと、転職がしやすくなるかもしれません。
MOS(マイクロソフト・オフィス・スペシャリスト)とは、WordやExcel、PowerPointなどオフィスソフトを利用するスキルの証明ができる国際資格です。
取得していると事務職や営業職などオフィスソフトのスキルが活きる職種への転職活動で役立つかもしれません。MOSに関する参考書も多いので、独学での取得も現実的な資格です。
ITパスポートとは、パソコンの基本的な操作だけではなく、情報システム、ネットワーク、データベースなど、ITの基礎知識があることを証明できる国家資格です。
法律に基づき経済産業大臣が実施している国家試験ですが、業界未経験の人を含めて誰でも取得できるほか、取得すれば顧客や社内の情報システム部門などへの転職できるようになるかもしれません。
基本情報技術者はIT人材における基本的知識・技能を持ち、実践的な活用能力を身につけていることを証明する、経済産業大臣が実施している国家資格です。
プログラマーの求人で優遇されること多い資格で、取得してプログラマーとしての実績を積めば、将来的にシステムエンジニアなどへのキャリアアップも望めるでしょう。
教育に関する資格:放課後児童支援員や児童指導員任用資格など
学校の教師から学童や放課後クラブへの転職を考えているのであれば、「放課後児童支援員資格」または「児童指導員任用資格」を取得する必要があります。
放課後に子どもたちを預かり、教育指導をする仕事ならば、教師で培った経験やスキルも活かしやすいでしょう。
学童保育士施設では一定数以上の「放課後児童支援員」の配置が義務付けられているため、資格を取得していれば好待遇での就職が期待できるかもしれません。
教師をやめても、子どもの教育に関わりたい人におすすめの資格です。
運転免許の取得
職種によっては、運転免許を取得していることが前提の仕事もあります。
例えば、介護職や営業職など、送迎がある仕事や社外での仕事がメインになる仕事では、運転免許証を持っていることが必須であるケースも多いでしょう。
普通自動車免許であれば原付も運転でき、転職先を見つける期間にフードデリバリーなどの仕事もできます。
プライベートでも役立つ資格なので、持っていない場合は取得しておくことをおすすめします。
教師が他職種への転職で失敗しないためのポイント
転職で不安に感じるのは「転職したあとに後悔したくない」という点ではないでしょうか。
転職する前に後悔を恐れている人や、転職後に後悔している人は実際にいます。
後悔のない転職するために大切なポイントを紹介するので参考にしてください。
年収にこだわりすぎない
教師以外の職種に転職する場合、基本的に未経験の職種への転職になるため、年収は下がるものとして考えておきましょう。
「今の年収から下がる企業は嫌だ」とこだわりすぎると、なかなか転職先が定まらず時間だけが過ぎていく可能性があります。
年齢を重ねれば重ねるほど即戦力が求められ、転職のためのハードルも高くなる傾向にあるため、年収にこだわっていると後悔するかもしれません。
一時的に年収が下がることは前提として受け入れ、転職後にどう上げていくかを考えて行動することが大切といえるでしょう。
強みやスキルなどを棚卸しておく
「教師」という職業は、一般的なビジネス領域から見ると強みやスキルが分かりにくい分野です。
そのため、自分にどのような強みやスキルがあるのか再確認し、それが転職先においてどのように役立つのかをわかりやすくまとめておくことが大切といえます。
PRできることをまとめないまま転職活動をはじめると、エントリーシートや履歴書の段階で落とされることもあるので注意しましょう。
転職後のライフプランニングを考えておく
教師はいわゆる安定職であるため、ライフプランニングが描きやすいですが、一方で民間企業は変動的でありライフプランニングを考え直さないといけないケースがでてきます。
転職活動をしていると、転職することがゴールになってしまうかもしれませんが、転職後のライフプランを描いておくことも大切です。
ライフプランニングを描くにあたって、転職前に以下のような点は洗い出しておきましょう。
- 結婚や出産、育児はいつ頃を予定しているか
- ライフイベントにかかる出費に備えられるか
- 転職先でのキャリアアップは可能か
- 転職先の福利厚生や出産・育児などの支援制度は充実しているか
- リストラ倒産時に方向転換できる職種か
上記のような点を洗い出して整理しておくことで、転職先に求めることや優先度が明確になるほか、どのくらいの頑張りが必要かもイメージしやすくなります。
また、男性と女性でもライフプランの組み方に違いがでてくるでしょう。
独身男性は、将来結婚する予定であれば、現在の生活ではなく、家族を養うことを前提としたライフプランを立てる必要があります。
女性の転職の場合、結婚や出産、育児は比較的女性の人生に大きく影響しやすいライフイベントなので、転職先の産休や育休などの福利厚生はよくチェックしておくことが大切といえるでしょう。
ライフプランを立てたうえで、転職先でそのライフプランが実現できるかをよく考えておくことが大切です。
教師が民間企業に転職するための方法
教師の転職は難しい点もありますが、しっかり準備や対策をすることで、成功率を高められる可能性は十分にあります。
民間企業に転職を考えているのであれば、以下の点を意識することで成功率を高められるでしょう。
- 教育業界に詳しい転職エージェントに相談する
- スキルアップや資格取得をする
- 相性の良い業界を選ぶ
- 公務員も視野に入れる
それぞれのポイントについて、以下で詳しく紹介するので参考にしてください。
教育業界に詳しい転職エージェントに相談する
転職は自力でおこなう方法と、サポートしてくれるエージェントの助けを借りておこなう方法があります。
成功確率を高めたいのであれば、エージェント型の転職サイトを利用することをおすすめします。
とくに、教師の転職を成功させた実績が豊富なエージェントに相談すれば、エントリーシートや履歴書の書き方、面接時における自己PRのコツなどを聞けるかもしれません。
エージェントが在籍する転職サイトを利用する際には、教師の転職に関わった実績があるエージェントを担当者にしてもらうように相談してみると良いでしょう。
スキルアップや資格取得をする
前述したように、民間企業からすると教師のスキルをどう活かせるかは想像しづらい部分があるため、客観的にスキルの証明として活用しやすい資格を取得すると転職が成功しやすくなる可能性があります。
資格保有者を優先的に採用している企業では、有利に採用試験を進められるかもしれません。
企業によっては、資格を保有していることで待遇の内容がよくなるケースもあるため、転職先として考えている業種に必要とされやすい資格は取得しておくと良いでしょう。
具体的なおすすめの資格は後述しているので、そちらも参考にしてください。
相性の良い業界を選ぶ
教師として働きながら得た経験・知識、スキルを活かせる業界へ転職することも、転職を成功させる方法のひとつです。
具体的な職業はあとで詳しく解説しますが、教育関連の分野や、公的な場所での仕事は教師として働いていたときの経験が活きるかもしれません。
教師として勤めていた期間が長い人であれば、その職歴も評価される可能性があるでしょう。
相性の良い業界は後述しているので、そちらを参考にしてください。
公務員も視野に入れる
教師から別の公務員職に転職するのも選択肢のひとつです。
公務員は基本的に試験採用なので、試験に受かれば誰にでもチャンスがある職種でもあります。
公務員も利益を追求するビジネス領域ではないため、教師から転職してもギャップを感じることが少ないかもしれません。
収入や休みも安定している可能性が高いため、ライフプランを大幅に見直さなくても良い点も大きなメリットです。
教師におすすめの転職先
教師の転職先としておすすめの分野や職業の一例には、以下のようなものが挙げられます。
- 教育業界
- 塾講師
- IT・Web関係
- 会計事務所・税理士事務所
- 公務員(一般事務職)
それぞれがおすすめな理由について、以下で詳しく紹介するので参考にしてください。
教育業界
教育業界への転職は、教師で培った経験やスキルを活かせる代表的な転職先です。
具体的には、教科書・参考書の出版会社や通信教育を専門とする会社、e-ラーニングを提供している会社などが挙げられます。
いずれも民間企業ですが、教員視点での意見や教師として働いたことがある人材を求めている可能性もあるでしょう。
全く未経験の分野に比べると、転職の確率は高いことが期待できる業界です。
塾講師
学習塾や予備校なども教師の転職先として、経験が活きる職種です。
教師は子どもの学力だけではなく、道徳感や社会性などの指導、ときには部活動など、学力以外の成長に関わる職業です。
一方で、学習塾や予備校の講師は、学力の向上に特化し、指導することがメインの職業なので、教えることが好きな人の転職先としておすすめです。
教員免許がなくてもできる仕事であるほか、人気講師となれば給与のアップも期待できるでしょう。
教師として辞める理由が「教えることが嫌になった」という人には向いていませんが、人間関係などが理由で教師の職から離れたい場合には、民間の塾などで教えることに携わるのも選択肢のひとつです。
IT・Web関係
ITやWeb関係の仕事も、特定の分野によってはスキル次第で教師からの転職が期待できる分野です。
Web上でサービスの展開を考えている教育関連の企業や、英語など特定の知識が必要なIT業界などがその一例です。
教えることが得意なのであれば、IT関連の知識を教えるポジションなどの転職も期待できるかもしれません。
ただし、IT・Web業界では一定の経験やスキルが求められることも少なくないので、後述するITパスポートなどの資格は保有しておいたほうが良いでしょう。
また、30代になると管理ポジションを求められるケースも多いので、よりハードルが高くなります。
IT・Web関係の職種に転職するのであれば、20代のうちに行動するほうが転職の確率は高めやすいでしょう。
会計事務所・税理士事務所
会計事務所や税理士事務所では、法律に基づいて働く部分が多いため、公務員である教師の仕事と似通った部分があります。
信用が重視される職業であるため、民間企業のなかでも比較的公務員に近いカッチリとした職業といえるでしょう。
そのため、教師として身につけたビジネスマナーが役立つことも期待できます。
職種によっては資格が求められるケースもあるため、事前に確認しておくことが大切です。
公務員(一般事務職)
公務員のなかでも、一般事務職は特別な資格を保有していなくても、基本的に誰でもなれる職業です。
市区町村役所の職員は教師と連携して仕事をすることもあるため、教育部門であれば少し見慣れた部分もあり、抵抗なく仕事を進められるかもしれません。
各自治体で実施される地方公務員採用試験に合格する必要がありますが、専門的な知識や資格が必要な技術職と比べて、ハードルは低めといえるでしょう。
ただし、上限が30〜40歳未満などの年齢制限が設けられているケースもあるので、転職を考えている人は事前にチェックしておき、対象年齢のうちに転職に向けて行動することが大切です。
教師の転職は業界との相性を考えよう
教師が民間企業へ転職することは可能です。
しかし、自分の強みやスキルをうまくアピールできない場合や、無資格の場合、思うように転職活動が進まない可能性もあるので注意しましょう。
基本的には自分の経験や知識がうまく活かせる、相性のよい業界への転職がおすすめです。
もし教師とは全く違う業界へ転職を考えているのであれば、転職先の業界に応じて、紹介したような資格を取得しておくことをおすすめします。
一般的に転職が難しいとされる教師でも、紹介したポイントに注意し、事前に準備していれば転職を成功させる可能性も高まるので、ぜひ参考にして行動してください。
31歳。クレジットカード系270記事以上、ビジネススキル記事100記事以上、書籍執筆、などなど金融系・経済系のライティングが好き。ガジェット・旅行・音楽・ゲーム・芸能・心理学など多数のライティングを経て現在にいたる。読書好きで月に30冊は読破。読書の経験から「読みやすさ・わかりやすさとは」を常に研究中。作成文章でも経験読者さんにとって分かりやすく、読みやすい、求めている正確な情報をお届けすることをモットーに執筆しています。