肉体美を競う「フィジーク」の日本代表選手になった私が、500万円以上かけて体を鍛え上げるまで

肉体美を競う「フィジーク」の日本代表選手になった私が、500万円以上かけて体を鍛え上げるまで

はじめまして、澤原魁門(さわはら かいと)といいます。鍛え抜かれた肉体のバランスや美しさを競い合う競技「フィジーク」の日本大会で優勝し、選手として世界大会でも活躍しています。

今でこそこんな体ですが、幼少期は肥満に悩む日々を過ごしました。

小学6年生のころ。体重は70kgを超えていた


父親が幕内力士だったこともあり、毎日の夜ご飯はちゃんこ鍋。食べることが大好きだった僕は、小学6年生の時で体重が70kgを超えていました。

ただ、体を動かすことは好きだったのでいろいろな運動を経験し、今ではトレーニングにのめり込み、現在のような体になりました。

そして、今もなお現役のフィジーク選手として活躍しているほか、パーソナルトレーナーとして自分と同じような悩みを持った方にトレーニング・食事指導を行なっております。

そんな僕が、今日は世間ではあまり知られてない、フィジーク競技の魅力を語るとともに、世界大会に出場するまでに至った体作りの裏側と、大会そのものについて紹介したいと思います。

高校生で筋トレを始めてから、フィジーク選手になるまで

ここからは、高校生のときに筋トレに目覚めてからフィジーク日本代表選手になるまでの道のりを振り返っていきたいと思います。

高校時代の部活でやっていたウエイトトレーニングで、やった分だけ体が変わることにワクワクするように

僕が筋トレに目覚めたきっかけは、高校時代に入部していた野球部で補助種目として行なっていたウエイトトレーニングです。

ウェイトトレーニングを始めて間もなかったこともあり、やればやるだけ持てる重量が上がり、体が変化していくことに楽しみを覚え、ワクワクが止まなかったことを今でも覚えています。

体に対してコンプレックスがあった僕は、やった分だけ体が変わっていくことが本当にうれしく、そこから筋トレにのめり込んでいきました。「とにかくかっこいい体を作りたい! 筋肉をつけたい!」という思いで、専門的に栄養学・トレーニング・体の構造を勉強しました。

ハマってしまうと、とことん追い求めてしまう性格なので、野球よりウエイトトレーニングが主体となっていたぐらいです。

20歳で効率よく体を変えるためのトレーニングを始め、「大会に出てみない?」と誘いを受ける

高校を卒業し、20歳ぐらいの時。この頃から「フィジーク」という、体のかっこよさを競うボディメイクの大会が少しずつ人気を集め出しました。

この時、たまたまボディメイクを専門としてトレーニングを教えている方のSNSを見たのが、フィジーク競技の選手になる最初のきっかけになりました。

最初は、単純に「トレーニングが上手くなりたい」「もっと効率よく体を変えたい」という思いからトレーニングに通っていましたが、教えてもらううちに、その方から「大会に出てみたら?いい線いけると思うよ」と言われて、そのまま初めての大会に出場することを決めました。トレーニングを始めて5年目のことでした。

初めての大会は悔しい結果……。そこからスイッチが入り、1年で準優勝へたどり着く

初めて出場した大会は、フィジークというカテゴリーではなく「ベストボディ」という大会です。

このベストボディというのは、ボディメイク系の大会の中では、フィジークになる手前の登竜門といった立ち位置になります。

なんとその大会で、僕は予選落ちという結果に終わりました。自分の出番は一瞬で終わり、何があったのか覚えていません。

そこから自分の中でスイッチが入り、フィジークというカテゴリーに変更し「絶対に成績を残す!」という気持ちで毎日トレーニングに励み、食事も徹底して管理しました。

大阪大会で入賞


そのおかげもあり、翌年の「KING OF PHYSIQUE」大阪大会で入賞することができました。そのまま日本大会「オールジャパンメンズフィジーク選手権大会」への参加を促され出場したところ、23歳以下の部門で準優勝することができました。

日本大会 23歳以下の部門で準優勝


しかし、優勝を目前として負けたことが本当に悔しく、大会がない冬の時期に体重を20kg増やし、筋肉をつけるためさらにトレーニング・食事管理を徹底し、体を作り込んでいきました。

日本大会で優勝


その甲斐あって、次の年は大阪大会で優勝。そのまま日本大会でも優勝することができ、日本代表選手として世界大会にも出場することができました。

そして、現在もフィジーク選手として第一線を走り続けています。

左は鍛える前の写真


そもそもフィジークってどんな競技? 賞金や出場するまでにかかったお金などを解説

そもそもフィジーク競技を知らない方がほとんどだと思うので、ここからは私がのめり込んでいるフィジーク競技について簡単に説明していきます。

フィジーク競技とは、筋肉が全体的にバランスよく付いているかを審査する競技です。

最も重要なポイントは、正面から見たときのインパクトです。簡単に言うと、細いウエストと、広い肩幅から出来上がる逆三角形の肉体のバランスが重要になってきます。

よくボディビルと同じ競技だと思われますが、ボディビルは圧倒的な筋肉量と、それでいて脂肪を限界まで落とし、左右対称である体が評価されます。

しかし、フィジークではボディビルのような体作りは必要ありません。逆に、過度に筋肉が発達し過ぎていたり、脂肪を落とし過ぎていると、フィジークにおいては減点されてしまい、予選の段階で落とされることもあります。

ほかにボディビルと違う点は、体以外も審査されること。サーフパンツのデザインや、髪型、表情、その人の持っている雰囲気やオーラも審査対象に加わってきます。

大会に出るための費用はどれくらいかかる?

減量中の食事。ささみなどタンパク質がとれるものを中心に食べている


フィジークの大会に出場するためにかかる費用は、トレーニングするジム代ぐらいだけじゃないの?と思うかもしれませんが、想像以上にかかります。

これは私の場合ですが、ジム代はもちろん、それ以外にはザッとこれぐらいのものに費用が掛かってきます。

フィジークの大会に出場するためにかかる費用
  • 減量のための食事代……約20万円(約3カ月分)
  • サプリメント……約20万円(約3カ月分)
  • 日焼け代……約10万円(体を黒くすると筋肉の凹凸がハッキリする)
  • カラーリング代……約1万円(ステージで更に見栄えをよくするため)
  • 美容室代……約1万円(髪型も審査対象のため)
  • パンプアップ器具……約5,000円(ステージ裏で筋肉を張らせて見栄えをよくするための器具)
  • サーフパンツ代……約1万円
  • 大会エントリー費……約2万円(団体への登録費用+出場大会のエントリー費用)
  • 宿泊・交通費……約3万円(県外で大会があった場合)
  • 合計……約58万5,000円

特に日焼け代は、体を黒くすればするほどステージ上での見栄えがよくなるので、そのぶん費用は増えていきます。

サプリメントも同じで、良いものをそろえようと思うと費用がどんどん増えていきます。20万円というのは、あくまでも最低限のものだけをそろえたときの金額です。

私が肉体を作り上げるのにかけたお金

プロテインやサプリメント


大会に出るために必要な費用は分かったけど、今の体を作るまでにはどれぐらいお金がかかったの?と気になる方のために、ざっくりとかかったお金を計算したいと思います。

肉体を作り上げるまでにかかったお金
  • 食事代……増量期:月約8〜10万円/減量期:月約5〜6万円
  • サプリメント代……月約3〜5万円/年間約36〜60万円
  • ジム代……年間約12万円
  • ケア代……年間約10万円程度(整体や接骨院など月に1〜2回)
  • トレーニングシューズ……年間約3〜4万円(1〜2足)
  • トレーニングウェア……月約1万円/年間約12万円
  • 自宅用ダンベル代……約5万円
  • 自宅用ベンチ代……約1万円
  • 寝具……約10万円(体のケアのために自分にあったベッドは欠かせません)

このほかにも、海外にいるプロボディビルダーの方が開催する合宿に50万円ほどかけて参加したこともあります。

アメリカでの合宿。約50万円かけて参加した


私は現在に至るまでにトレーニングを10年ほど行なっており、本格的に選手として活動しだしてまだ5年です。5年という期間でも、500万円以上はかかっているかと思います。

500万円と聞くと大きな金額に感じますが、車やバイクをカスタマイズしていくような感覚と同じで、自分の体を造っていくことが趣味なので、これぐらいかかっても仕方ないかなという感じです。

また、この中に含まれているのは必要最低限のものなので、細かいものを入れるとまだまだ増えていきます。今まで計算したことはなかったですが、趣味の範囲を超えていてすごい金額ですね。

今ではジム代がかからないので、かかる費用としては食事とサプリメント代ぐらいです。サプリメント代はかなり抑えられるようになり、年間10万円程度になりました。

そして今では、体重を大幅に増やすこともなくなったので、食事代は月に5万円程度かなと思います。合わせると、年間60万ほど。普通に生活していても食費はかかるところなので、大きくかかるところと言えばサプリ代ぐらいだと思います。随分少なくなりましたね。

賞金が出る大会は「ほぼナシ」

これだけ費用がかかっている分、賞金が気になる方も多いはず。しかし、日本ではほぼ全ての団体・大会で賞金がでることはありません。

大会に出てもらうことができるものとしては、景品でトロフィーや盾、賞状のほか、プロテインやサプリメント程度です。これはフィジークの大会でも、ボディビルの大会でも同じです。

このように、賞金が出る大会がほぼないため、フィジーク・ボディビル競技だけで生活している選手は日本国内にはいないというのが現状です。実際、私自身もフィジーク競技に出場しつつ、普段はパーソナルトレーナーとして活動しています。

フィジークを通して筋トレやボディメイクの楽しさを伝えていきたい

今後のフィジーク選手としての目標は、まずは2021年9月20日に1年ぶりに開催される日本大会で優勝し、世界大会でリベンジすることです。

そして、YouTubeなどを通して、フィジーク競技の楽しさを伝えることができれば良いなと思っています。

また、それだけでなく僕の人生を変えてくれた筋トレの楽しさボディメイクの楽しさを、もっと多くの人に知ってもらいたいと思っています。そして、1人でも多くの方の体型に関する悩みを改善するお手伝いができればうれしいです。

消防士からパーソナルトレーナーに転向。フィジーク競技で日本大会優勝し、代表選手として世界大会を経験。その後YouTube活動をはじめ、現在チャンネル登録者は6万人弱。東京・神奈川でパーソナルジムを2店舗経営。今もなおフィジーク選手として活躍中。

…続きを読む

編集:はてな編集部