1カ月に200台近くの「ミニカー」を購入。小さいモノから、大きく楽しみが広がる世界
はじめまして。ミニカーファンのFUNKASTOKでございます。友人からカスタムしたタカラトミーの「トミカ」を見せてもらったことがきっかけで、自分でもカスタムする目的で数台だけ購入……のはずが、気付いたら身の回りがミニカーだらけになっていました。
もともとの車好きが講じて、数十年以上前に製造された旧車を中心に自分の琴線に触れたミニカーを買い漁って約5年。買った台数は数えられませんが、1カ月に200台近く買ったこともあります。これまでに使ったお金は、ミニカーだけで100万円以上。後から考えるとゾッとします。
よくミニカーコレクターと勘違いされますが、私自身はそう思っておりません。きちんと集めているわけではないし、ミニカーは動かしてなんぼ、という気持ちで買っているので、コレクターを語るなんておこがましい限りなのです。
この記事では、私の目線で見た大好きなミニカーの魅力や楽しみ方を紹介できたらと思います。
メーカーによって異なる、ミニカーの魅力
ミニカーと一概に言っても、サイズはさまざま。素材も、全て金属でできているものからプラスチックのものまで、多種多様にあります。
私が買っているものは、主に金属製の3インチ(1/64サイズ)のミニカーで、海外では「Diecast Car」と呼ばれているものです。手のひらに収まるサイズにしっかりとした金属の重厚感があり、モノとしての存在感もあるので、手にしたときの充足感は格別です。
まずはどんなミニカーがあるのかを知ってもらうために、国内外で展開されている主なメーカーと、その特徴をまとめました。
トミカ
トミカは、言わずと知れた日本が誇る3インチミニカー。男の子なら、一度は手にしたことがあるのではないでしょうか。今でも月に2台ずつ新車が発売されています。限定モデルでない限りは基本的に売り切れても再入荷されるので、欲しいときにだいたい買えるところが優しいです。
作りが精巧で表面の印刷もキレイなので、安定感はあるものの、無難過ぎて面白みは少なめ。最近は、より精巧な作りの「トミカプレミアム」や「トミカリミテッドヴィンテージ」など、大人が買って満足できるモデルも拡充されています。
HOT WHEELS(ホットウィール)
ホットウィールは、1968年に販売を開始したアメリカ発祥のミニカーブランドです。販売ペースが非常に速く、月に20台程度の新車が発売されます。
デフォルメのアメリカンな雰囲気が特徴で、そこにハマるとホットウィールの沼から抜け出せなくなります。「サイドライン」と呼ばれるちょっとこだわったシリーズも数多く展開されており、アメリカでは年2回のコンベンションをはじめとする大規模なイベントも行われるなど、かなり盛り上がっています。
MATCHBOX(マッチボックス)
イギリスで1953年に創業と、歴史の古いマッチボックス。創業者の娘が「マッチボックスサイズのおもちゃは持ってきても良い」という学校に通っていたことがきっかけで生まれたブランドです。
ライバル会社・ホットウィールの影響で迷走して一度は倒産するも、いろいろな企業に買収されて存続。現在は国をわたり、ライバルであったホットウィールを展開しているアメリカのおもちゃメーカー・マテル社に買収され、なんの因果かホットウィールと並んで販売されています。
MAJORETTE(マジョレット)
マジョレットは、1965年に販売を開始したフランス製のミニカーブランド。日本ではカバヤが代理店となり、スーパー等を中心に販売されています。最近ではラインアップのリファインが行われ、一段とクオリティーの高いモデルが登場しています。
現実なら入手困難な車も、ミニカーなら手が出しやすい
ミニカーの魅力の1つは、「欲しい車が手に入る」ことではないでしょうか。
車に興味がある人なら、「乗ってみたい」「所有してみたい」といった憧れの車が複数台あると思います。その憧れの車を片っ端から買っていくのは、ほとんどの人にとって難しいことです。それが、ミニカーなら簡単にできてしまう。何台所有したって、車庫の心配も車検も必要ありません。普通なら1台数千万円もする車だって余裕で買えちゃいます。
実際に運転はできないかもしれませんが、そこは脳内補完。運転できる気になっていろいろな世界をドライブしてみたら、もうコッチの世界には帰ってこられなくなりますヨ。
ただ、ミニカーであれば手が出しやすいとはいっても、中には古い車だったり、マニアックな車種だったり、あまり大衆的ではなかったりするものもあると思います。
私の憧れの車も例外ではなく、それらはミニカーでもなかなか入手できないことがあります。例えば、日本であまり流通していないメーカーでしか販売されていない車種や、もう数十年前になくなったメーカーが作っていた車種など。でも、そういうミニカーを苦労しながら探すという楽しみも、魅力の1つかもしれません。
ここからは、私が手に入れた憧れの車をいくつかご紹介します。
ロシア車の中で人気の高い「UAZ」。現在このサイズ(3インチ)で入手できるのは、ロシアのおもちゃメーカー・TECHNO PARKが販売している車種のみです。
このUAZは、何と言ってもそのルックスが愛らしい。ミニカーとして日本ではあまり出回っていない車種ではありますが、「シーラカンス」とも表現されるように、60年以上も形を変えずに製造されていることに驚きです。また、ボディの精巧な作りや塗りは目を見張るものがあります。
同じくロシア車「GAZ」。こちらのミニカーはドイツのメーカー・GRELLのものです。恐らくここ以外で立体化はされていないと思います。
GAZは、まず実車の端正でクラシカルなフォルムに魅了されました。3インチサイズのミニカーを探していましたが、なかなか出会うことができなかったのです。しつこく探してやっとたどり着いたのがこのモデル。若干、造りや塗装が甘いものの、憧れのGAZというだけで満足です。
コレクションにカスタマイズ……ミニカーの楽しみ方
そんなこんなでミニカーを探していると、ふと見たことのないかっこいい車に出会うことがあります。また、興味がなかった車でも、カラーや装備が変わるだけですごく魅力的に見えることも。ミニカーから入って実車に興味がわいてくる……なんて流れも面白いですね。
ここからは、私が思うミニカーの楽しみ方をご紹介します。
コレクションして楽しむ
まず、楽しみ方の1つに「純粋にコレクションする」というものがあります。
新しく発売するモデルを調べ、店舗に並んで欲しいものを買ったり、オンラインショッピングで予約したり、オークションで落札したり。超お気に入りのモデルに至っては、開封用・カスタム用・保存用・保存用予備・保存用予備2……と、無理やり理由をつけて無数に買い漁ってしまうこともあります。結局、開封用として購入したものも開封せずに暗所と言う名の段ボールの中で保管……なんて、ミニカーのコレクションに足を突っ込んだ人ならば、容易に想像がつくのではないでしょうか。
そして、いろいろ買っているうちに、経験や情報を元に大体の市場価値が分かるようになります。数が限られていたり人気の車種だったりすると、後々入手が困難になることも。販売終了となってしまうと、プレミア価格がついてすぐに定価では買えなくなってしまうので、欲しいミニカーは早めに買った方が良いです。
最初から高額のミニカーでも、今買い逃してしまうと市場価格がさらに上がってしまうことを考慮して「この値段なら安い」と手を出しているうちに、完全に金銭感覚が麻痺してくるので要注意です。
左は1950年代のモデル。右は1960年代のモデル。両方同じ名前でリリースされていたが、車の年式が違う。同時に、左のモデルがリリースされた頃はプラスチック製のウインドウが無くフレームだけなのに対し、右のモデルは1960年代に入って技術が向上したためにプラスチックのウインドウが装着された
コレクションしていて楽しいのは、旧車をテーマにしたヴィンテージモデルです。ヴィンテージモデルの魅力は、車種や形状も含めた、そのモデルの中に宿っているストーリーです。
作りや彩色に関して言えば、明らかに技術は日々向上しているので、実車の再現性では現代のモデルに叶うはずがありません。しかし、当時の技術の中でどれだけ魅力的に見せようとしているか、どれだけ工夫して難しい形状を再現しているかは必見。リアルでない分デフォルメされ、極限までミニマルに落とし込まれた美しさなどは、見れば見るほど引き込まれていきます。当時の世の中の情勢やメーカーの歴史的背景などを知り、そのミニカーがどのようなときにどう作られたのかを想像することで、そのミニカーの価値が自分の中で高まっていくのです。
そんなヴィンテージモデルを入手するとなると、自分の足でリサイクルショップを巡ったり、ネットオークションやフリマサイトをのぞいたりと、探す場所はたくさんありますが、それでも確実に欲しいモデルが見つかるわけではありません。そして、買い逃したらもう二度と手に入らないなんてこともたくさんあり、買わずにいたことを長いこと悔やむなんてことにもなりかねません。
また、せっかく見つけたとしても、古いものなので状態もさまざまです。美品から廃車寸前の事故車まで、どのような車と出会えるかは本当に運次第。そんな中、お気に入りの1台に出会えたなら、喜びもひとしおなのです。
基本は子供のおもちゃであるミニカーなので、かなりクラッシュしているものが多数存在します。それをレストア(復元)して楽しむのもまた一興
そして、忘れてはいけないのがカスタムモデル。メーカーが販売している完成品に第三者が手を加え、より魅力的に仕上げたもののことを指します。通常販売されるミニカーでは出せないようなかっこいいモデルなどこだわりのあるものが多く、アメリカやインドネシアにはカスタムのプロフェッショナルもいて、魅力的なモデルを日々製作しています。
カスタムモデルはほとんどが1点モノ。中には少量生産で、多少お安く販売してくれるものもありますが、本当に気に入ったものがあればそのときに買わないと確実に後悔することに。クオリティーやネームバリューによって値段はさまざまですが、それに見合った価値はあるのではないでしょうか。
私がカスタムモデルを買うきっかけになったカスタマー。実車の塗装も手がけるプロフェッショナルで、非常に美しいカラーリングのドラッグマシンやヴィンテージモデルのカスタムが多く、ドツボにハマってしまいました
マレーシアのカスタマーで、デカールワークが中心のカスタム。安定したキレイな仕上りと価格の安さが魅力
冒頭に、「私はコレクターと言う認識がない」と書きましたが、私もコレクションをしていないわけではありません。発端は、やはり自分にとっての憧れの車。自分の好きなモノに囲まれるのは、もちろん至福の喜びであり、とても満足するものです。自分の中のテーマに沿って、無理のない範囲で、少しずつコレクションを増やしております。
'55 Chevy Bel AirGasserは、ホットウィールの世界にどっぷりとハマるきっかけとなった車。ファンも多く、市場価格が上がっていくものが多いので、早めに入手しないと後悔することになりかねない
この年式のBlazerは一番好きな車なので、各メーカーでサイズを問わず集めている。3インチサイズでは写真のZylmexのモデル以外に、Yat Ming・パワートミカ・Playart・KIDCO(imperial)などからリリースされていたが、このZylmexのモデルが一番バランスが良くかっこいい。未所持だったカーキカラーのものが近々届く予定
当然ながら、自分の食指が動くものがリリースされたりオークションに出てきたりした際は、清水の舞台から飛び降りるわけです。もはや幾度となく飛び降り過ぎて、清水の舞台程度の高さでは痛くないほど感覚がマヒしています。
カスタムして楽しむ
最近日本でも浸透してきている、ミニカーをカスタムするという楽しみ方。実車をカスタムする感覚と同じなのでイメージはしやすいと思いますが、それがミニカーに変わるだけです。いや、むしろ実車以上に楽しめるのがミニカーの世界。実車だと違法改造に当たることも、ミニカーなら「とにかくかっこよければいいじゃないの」という感覚で、自分の好きな車を作ることができるのです。
アメリカではかなり前からホットウィールのカスタムやレストアが盛んで、趣味人口も日本とは比べものになりません。最近では、インドネシアやマレーシアなどのアジア諸国でもブームが起こり、かなり大きなムーブメントになってきています。日本では、カスタムの諸先輩方が頑張って啓蒙活動をしてくれたおかげで、しっかりとカスタムミニカーのジャンルが浸透してきているような気がします。
カスタムの定番といえば、ホイール。いろいろな新興メーカーから販売されていて、1台当たり500〜1,500円程度でそろえることができます。3Dプリンターの普及に伴って手軽にパーツが作られるようになり、ボディの表面を飾るデカールなどさまざまなパーツが1個につき500円程度で手に入ります。
ベースとなるミニカーは200〜400円程度のものなので、パーツだけでその数倍の価格と考えると案外高い気がするのですが、完成したときのかっこよさを考えたら安いものです。また、クオリティーの高いカスタムができたら買い手が付く可能性があるかもしれません。
以下に、カスタムしたミニカーを紹介します。全て私が手掛けたものです。
色を変えてホイールを交換のみ。オリジナルはブラックカラーだったが、これだけでかなり印象が変わる
塗装してタイヤを交換した後、細部に少し飾りをつけた。好きな車種のお気に入りキャストならこれだけで十分満足
塗装した後にルーフキャリアやサーフボードを作って装着。シチュエーションを考えて、自分のオリジナルを作るのはとても楽しい
いろいろ手を加えて、ヴィンテージなレーシングカー風に
カスタムで自分の世界を作るのは、とても楽しい時間です。カスタムをすることで自分の世界を構築・表現することができ、気に入った車が完成したときは、美しいジュエルを手に入れたような喜びと達成感があります。そのジュエルの原石と向き合い、どう磨いてどのような輝きの宝石に仕上げるかを考える時間も、ドーパミンが噴出してワクワクする、とても楽しいひとときです。
“実車ではあり得ない”を楽しむ
ミニカーの中には、実車としてはあり得ないモノや、もはや車と言って良いのか分からないモノも少なからず存在します。
ただ、見た目の奇抜さだけでなく、中にはいろいろな設定やストーリーがあるものも。また、そういう理屈なしでひたすらクールだったり、チープな雰囲気がたまらなく魅力的に見えたりするのも事実。もはや病気に近いのかもしれませんが、そういうミニカーこそ愛おしく感じることがあるのです。
例えばこちら。もはや車とは言い難いユニークなミニカーです。こうしたミニカーに魅力を感じ出したら要注意。とんでもない沼に片足を突っ込んでいる恐れあり。
走る便器に、バスタブだってあります。車に興味がなくても欲しくなっちゃう。
写真を撮って楽しむ
最近では、SNSの普及と共にミニカーを表現する場が広がってきています。Instagramでは「#diecastphot」や「#hotwheelspics」などのハッシュタグでいろいろな投稿を見ることができます。
今にも動き出しそうな、リアル感を追求してみたり。
日常の中にミニカーを写り込ませたりするのも面白いですね。
とにかく実車のようなリアルさを追求したり、面白さや雰囲気を重視した撮り方をしたりと、写真の撮り方も人それぞれ。写真をアップして、共通の趣味人と交流するのも楽しいものです。
私の場合、これはミニカーのカスタムにも共通するテーマですが、「SURF STYLE」をモチーフにした写真が好きなので、良さそうな背景に出会うまで海沿いをひたすらドライブします。そのミニカーに乗って、なんとなく波乗りに出掛けたような気持ちになれる写真が撮れたら満足です。
いつかはオリジナルのカスタムパーツを販売したい
そんなこんなで日々ミニカーの購入は続けていますが、以前ほど大量に購入することはなくなりました。
その理由は、本当に自分の欲しいモノが分かってきたので、無駄な購入をしなくなったから。まぁ、単純に置き場がなくなってきたことも原因なんですが、それと同時に出費も抑えられるようになったので一石二鳥ですね。それでも、好きな車種が販売されたり、ビビッとくるモデルがあったりすると絶対に買うでしょうし、それが数万円だろうと買わなければならないと思っています。
最近は、カスタムに使うお金がだんだん増えてきました。また、みんなでスキルアップを目指したり、カスタムの楽しさを伝えたりすることを目的に、地元の仲間内で定期的にカスタムコンテストなるものも開催しています。私自身、交流することでカスタムの技術を教え合ったり、みんながいろいろ工夫して作ったりしているのを見て、とても刺激を受けています。そこであらためて、カスタムすることの楽しさに気付きました。
今後は、こういうことがきっかけで、いずれオリジナルのカスタムパーツの販売ができるようになれたら……なんて、ちょっとした野望も持っております。
海と旧車が好きな3インチミニカーファン。晴れの休日は、もっぱら海に浸かっていたい派。ただ、海水で身体がふやけると嫌なので長い板の上で波に揺られていることが多い。今の課題は、どうやったら今の愛車をミニカー化できるか。
編集:はてな編集部