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「器」にこだわると、食卓の彩りが変わる。100円から楽しめる奥深い世界への進み方

「器」にこだわると、食卓の彩りが変わる。100円から楽しめる奥深い世界への進み方

こんにちは。趣味として料理やお菓子作り、写真撮影を行い、ブログなどに記録しているぶち猫と申します。猫二匹などと一緒に暮らしている会社員です。

流しそうめん会。装置も自作した


最近は時勢柄自粛していますが、装置から自作して流しそうめん会をしたり、豚骨や丸鶏を炊いてスープを作って製麺会をしたりと、料理関係のイベントを主催することもあります。

お正月には、毎年おせち料理を現代的なレシピでひと通り作ってみるチャレンジなどもしています。

今回は、趣味として料理をするうちにハマって、めちゃくちゃに集めてしまった「器」についての話をさせていただきます。気がつけば100円のものから10万円のものまで、幅広くそろえることになりました。

また、これから器をそろえていこうと考えている人に向けたおすすめの器も紹介します。

器にハマったきっかけは、料理写真。欠けていたものが埋まるような感覚があった

わたしが「器」にハマりはじめたのは、6~7年ほど前のこと。

その頃のわたしは自営業で、平日は朝早くから夜遅くまで休憩もろくに取らず、土日も満足に休めないまま、馬車馬のように働いていました。

ある日、このまま流されるままに仕事ばかりしていては、すり減っておかしくなってしまうのではないかとぼんやり怖くなり、半ば無理やりに趣味の時間を作るようになったのが、最初のきっかけです。そのとき、趣味と実益を兼ねて始めたのが、料理とお菓子作りでした。

基本的には趣味、なによりも気晴らしのための時間だったので、実験的な要素のある非日常的な料理やお菓子を作ってみては、過程や出来上がりを撮影して記録していました。

その写真をブログやSNSにアップするうちに、もっと見栄えよく撮影できるようになりたいなと試行錯誤するようになり、たどり着いたのが、出来上がった料理やお菓子を盛り付ける「器」を工夫することでした。

写真奥のマグカップと写真手前のプレートは、いずれも北欧食器ブランド「イッタラ(iittala)」のもの


それまで器は、実家を出るときになんとなくそろえた白系の洋食器を使っていましたが、インターネットを使っていろいろ調べた結果、説明が丁寧なネットショップ経由で、北欧の洋食器を何点かそろえてみました。

手に入れた食器に作った料理やお菓子を盛り付けて撮影してみたところ、「これだ……!」と、欠けていたものが埋まり、しっくりとくる感覚がありました。

それ以来、家にある食器と見比べながら、新しい器をあれこれと探して買い集める日々が始まりました。インターネット経由では物足りなくなり、自分の好みに合いそうな実店舗を探して、休日に時間を作って足を運ぶようにもなりました。

範囲も洋食器から和食器へ、そして、いわゆる作家物にまで広がりました。

きっかけは料理写真でしたが、手に入れた器を日々の生活で使ううちに、お気に入りの器があると、手のかかっていない料理を作ったときでも、器の力で食卓が華やいで見えて、気分が上がることにも気が付きました。

器を工夫すると、趣味としての料理がより一層楽しくなるだけでなく、家事としての料理のマンネリを防いでくれて、日々がより楽しくなる。

新しい料理を盛り付けるために、新しい器を探す。新しい器に合わせるために、新しい料理を試してみる。料理と器集めが相乗効果を発揮して、趣味の世界がどんどん広がっていきました。

作家物の器に出会って、世界が変わった

田辺京子さんの作品 持ち手がバナナの形をしたマグカップ


そんな感じで始まった器との付き合い。はじめは、料理写真を撮影するための道具としての位置付けでしたが、田辺京子さんの作品との出会いが器との関係を根底から変えてしまいました。

田辺京子さんは、独創的な世界観を華やかかつロックな筆致で表現する九谷焼のうつわ作家です。手触りのよい器にみっちりと描き込まれた絵付けは見る者を魅了してやみません。

お遣い物(贈り物)を探して東京ミッドタウン(六本木)にある福光屋に立ち寄った際に、ふと手にした田辺さん作の器に心を奪われたわたしは、常設の店舗では手に入らないその作品を探して、主に和食器店で開催されるうつわ作家の個展を巡るようになりました。

浜野まゆみさんの作品 「色絵椿紋平鉢」


その中で出会ったもう一人のうつわ作家が、浜野まゆみさん。

浜野まゆみさんの作品は、初期の伊万里焼をモチーフとした繊細で美しい絵付けが特徴です。上品で落ち着いた作風ながら、料理を盛り付けると途端に素晴らしい存在感を放ちます。

どちらも比類なく個性的であり、全く異なる作風を持つ、二人のうつわ作家。

それまでは、使途を決めてから器を購入していたのですが、この二人に出会って以降は、個展に足を運び、そこで見つけた欲しい器を欲望のままに購入し、使い道は後で考えるという思考にスイッチしてしまいました。

このときに、器については実用性も捨ててしまいました。

食洗機を使えることと、破損したときにも補充できることを重視していたのですが、基本的には一点もので作りも繊細な作家物に手を出してしまったことで、食器を使うごとに丁寧に手洗いし、欠けてしまったものは大切にとっておいて、まとめて金継ぎに出す生活になりました。

器の種類も、お正月やお花見でしか使わない塗りの重箱、季節ものの柄が入った器、茶道具にも使える大小の薬缶など、日常生活では頻繁には使わないものまで広がっていきます。

さらに、時を同じくして古道具屋で器を探す喜びを覚えてしまい、使い道の決まっていない塗りのお盆、小鉢やお膳、酒器などにも手を出すようになってしまいました。

このあたりから、リビングの棚を食器棚に改造したり、便利グッズを使ってより使いやすい配置を追求したりと、収納との戦いも始まりました。

中村友美さんの銅薬缶二つ


これまでに集めた器は、ざっと数えたところ、200を超えていました。

器は完全な趣味なので、特に予算もなく、安いものでは骨董市で購入した1枚100円の豆皿から、高級なものだとひとつ10万円を超える薬缶まで。そのときに素敵だと感じたものを購入してしまうので、一体どれくらいのお金をつぎ込んだかも分かりません。

ただ、みっしりと詰まった食器棚の中身が、集めるためにかけた時間も込みで自分の財産になっていると感じます。

そして、それだけの手間ひまとお金をかけても、作家物の器という芸術品を日常の生活で使う喜びには代えがたいものがあり、「もう収納する場所が全くない!」とぼやきながらも、日々個展に足を運んで、厳選しつつもコレクションを増やす日々を送っています。

これから器を趣味にしたい人へのおすすめアイテム

ここからは、これから器を集めてみたいという方への、わたしなりの入門指南のようなものをつづってみたいと思います。難しく考えなくても、料理をしている人であれば、器をひと工夫するだけで日々の生活がより楽しくなること請け合いです。

【初心者向け】これから器を集めていくなら、まずは大量生産されているシリーズから選ぼう(~3,000円が目安)

今までは全然こだわっていなかったけれど、これから少しずつ器を集めていきたいと考えている初心者の方向けにおすすめなのは、大量生産されている器のシリーズからピックアップして集めること。

同じシリーズの色違いや形違いをそろえることで、忙しい食事時にあれこれ器のコーディネートを考えなくても、食卓に統一感を出すことができます。

また、大量生産されているものは、食洗機が使用可能なものも多いので、家事の手間を最小限に抑えることができます。

さらに、万が一破損してしまったときにも、全く同じものをそろえることができるので、器の数の管理が楽です。破損してしまった場合のショックも少なくて済みます。

浜野まゆみさんの白い平皿


最初にそろえる器については、まず、手持ちの器の中に、無地(できれば白)の中皿があるか確認してください。もしなければ、一つ持っていて損はありません。

持っていても使用頻度が低い場合には、使い心地が気に入っていない可能性があるので、新しくそろえてもいいかもしれません。

それから、自分の食生活を振り返ってみて、ごはんとお味噌汁が多いようであれば、飯椀と汁椀を、丼ものが多いようであれば、大鉢をという風に、使用頻度を優先して購入しましょう。

望月万里さんのオーバル平皿と、イッタラのマグカップ


和食器と洋食器のどちらかで迷った場合には、和食器を優先することをおすすめします。理由は、和食を洋食器に盛り付けると、どうしてもこなれない感じが出てしまうから。

逆に、家庭料理で作る範囲の洋食であれば、大抵のものは、和食器に盛り付けても様になります。なので、迷ったらまず和食器をそろえて、余裕が出てきたら洋食器を集める順番の方が使い勝手がいいのです。

器を集めるにあたって、もう一つ重要なのが収納です。よく使う器は、一動作で取り出せる場所にしまっておくことが基本です。他の器を動かさなければ出せないようだと、段々と億劫になって使う頻度が落ちてしまいます。

新しく器を買う前には食器棚を整理して、使っていないものがあれば、処分するか、まとめて奥の方に片付けてしまうといいでしょう。

そして、できたスペースに、少し余裕があるくらいの量の器をしまうのがコツです。平皿は積んでしまうと下の方の器が傷つきやすく、取り出すのも大変になるので、収納器具を活用して縦置きにするのもお勧めです。

そろえる数も、最初から来客用を意識してもデッドスペースが増えてしまうだけなので、まずはふだん器を使う家族の人数分あれば十分です。

【おすすめのシリーズ】

【中級者向け】ひと通りの器がそろったら、アクセントになる色物や柄物、酒器にこだわってみよう(~5,000円が目安)

ひと通りの器はそろっているけれど、何か物足りないという中級者向けのおすすめは、アクセントになる色物や柄物を追加してみること。

田辺京子さんのリム絵皿


色柄ものはどう合わせていいか分からないという方は、染付と呼ばれる藍色のみで絵付けがされた和食器がおすすめです。

器単体で見ると華やか過ぎるかなと思うものも、料理を盛り付けてみると意外としっくりくることが多いので、気に入ったものがあれば、多少華やかでも思い切って取り入れてみるといいでしょう。

ただし、金が使われているものはフォーマル過ぎて日常使いでは浮いてしまうことがあるので、選ぶときには注意が必要です。

グスタフスベリの平皿と望月万里さんのコーヒーカップ


洋食器であれば、北欧食器を取り入れてみるという手もあります。丈夫で割れにくく、食洗機の使用もOKなものがほとんどであるにもかかわらず、大胆でにぎやかな絵付けのものが多く、一つ取り入れるだけでも、食卓の雰囲気を変えることができます。

time and styleのWATERグラス


酒器に凝ってみるのも楽しいものです。お酒はさほど飲まないという方でも、特別な日にとっておきのワイングラスやお猪口があると気分が上がりますよね。

それに、ワイングラスはおうちパフェの器にも使えてしまうんです! 季節の果物を贅沢に使って、好きなものを好きなだけ詰めて作っちゃう「おうちパフェ」はとても楽しいので、お気に入りのワイングラスでぜひ試してほしい。

お猪口も、重箱に料理を詰めるときやこまごましたおつまみを一皿にまとめたいときなどに、大活躍しています。

【上級者向け】推しのうつわ作家を見つけて、もっと深く器の世界を楽しもう(5,000円~)

もっと踏み込みたい上級者の方については、わたしからお伝えすることはほぼないのですが、もしまだいなければ、推しうつわ作家を見つけることはぜひおすすめしたいと思います。

基本的には、うつわ作家の方が発信される情報を確認して、各地で行われる個展に足を運んで作品を購入することになるのですが、個展では、一点ものの特別な器や新しく取り組んでいる目先の違う作品に出会うことができて、自分の知見も広がるような楽しみを得ることができます。

また、骨董品店などで古い器を探してみるのも楽しいものです。現代の作家が作っている作品とはまた違う趣きがあって、コレクションをより充実させてくれるはずです。

いずれも浜野まゆみさんのお皿


器を集めているとどうしても悩ましいのが、破損です。特に作家物を集めている場合には、それぞれが一点もので愛着もあり、欠けたり割れたりしても捨ててしまうのは惜しいものです。

うちでは、欠けたり割れたりした器は、ある程度まとめて金継ぎに出しています。わたしが依頼しているのは個人の方なので価格は画一ではなく一つずつ実際に見てもらって見積もってもらっているのですが、状態により1件2,000円から5,000円ほど、約1カ月の納期で修繕してもらっています。

素敵な器は、生活の質を上げてくれる

写真中央にあるのはマリメッコの平皿、左奥は鈴木麻起子さんのスープカップ


いろいろな話をさせていただきましたが、料理が好きな方であれば、器にこだわって損はないと思います。SNSに料理写真を投稿するときに映えることはもちろん、日々の食卓が華やかになって、生活がより楽しくなります。

簡単な料理を作ったときこそ、器の出番です。華やかな絵付けのものを選べば、シンプルな料理との相乗効果で食卓をより素敵に見せてくれます。

器をそろえると一時的に出費はかさみますが、素敵な器は料理をするたびに生活の質を上げてくれるもの。料理をする頻度が高い人ほど、実はコストパフォーマンスがよいのです。

この機会に、食器棚のラインナップを少し見直してみませんか。

趣味として料理やお菓子作り、写真撮影などを行い記録しています。猫二匹などと暮らしています。

編集:はてな編集部