ファミコンカセット全1,053本を箱付きでコンプリートしたマニアが、コレクション開始から約10年間を振り返る

ファミコンカセット全1,053本を箱付きでコンプリートしたマニアが、コレクション開始から約10年間を振り返る

はじめまして、普段は会社員(システムエンジニア)をしているコーナーといいます。昭和56年生まれの40歳で既婚です。

数ある趣味のうちの1つに「ゲーム」があり、私の場合は「集める」「遊ぶ」の両方で楽しんでいます。

仕事の休憩時間や空いてる時間を見つけては、ネットを活用して、より安価で質の良いゲームソフトを探しています。お店ごとに価格帯が違ったり、タイミングによっては珍しいタイトルの出物があったりするので、ゲームを探すという時間が私は楽しくて好きです。

ゲームにはさまざまな機種がありますが、私はその中でも、ファミリーコンピュータ(ファミコン)のカセットをメインに集めています。幼稚園の頃に生まれて初めて手にしたゲーム機であり、一番思い入れが強いからです。

そして先日、10年間集め続けていた市販のファミコンカセットを、1,053本全て箱付きでコンプリートしました。一度目は箱付きを問わず収集し、二度目は全て箱付きで集めたので、コンプリートにかけた総額は、約300〜350万円ほどになると思います。

今回は、私がファミコンカセット収集にかけた10年の道のりを紹介したいと思います。

ファミコンカセットを集めようと思ったきっかけ

最初にファミコンカセットを集め始めたのは、今から24年ほど前の、私が高校生の頃でした。

当時はプレイステーションやセガサターンといった次世代機が主流でしたが、その裏で私は、ワゴンセールで1本100円くらいで購入できるファミコンにはまっていました。友達から譲ってもらうこともあり、大学卒業時点で100本ほど所持していました。

集め始めた頃のファミコンカセット


しかし、社会人になったら遊ぶ時間もなくなるだろうと思い、欲しがっていた知り合いに全て譲った後、一度ファミコンから離れることに。

それから10年弱はファミコンに触れない生活を送っていましたが、30歳ぐらいの頃にたまたま立ち寄ったリサイクルショップのワゴンで、大量のファミコンカセットが売られているのを見つけました。

そのほとんどが自分の知らないタイトルばかりで、無性にワクワクした記憶があります。

そこでふと、「ファミコンカセットって全部で何本あるんだ?」「他にはどんなタイトルがあるんだ?」と、興味が湧き始め、全てのソフトをコレクションしようと決意。コンプリートを目指して、再びファミコンカセットの収集を始めることにしました。

一度は手放したファミコンカセット。再び集め始めた後、今度は“箱付き”でのコンプリートを決意

ファミコンカセットを再び集め始めた2010年ごろ、当時は今と相場が違い、大体1本あたり100円~500円とかなり安く手に入れることができました。中には、現在だと数万円の価値があるものが100円で売っていることも珍しくありませんでした。

私が足しげく通っていたリサイクルショップは在庫の回転率が高く、いつも目新しいカセットと出会うことができました。ネット購入と併用することによって、約4年ほどで全1,053本をコンプリートしました。

しかし、当時は箱の有無を問わず集めていたので、コンプリートした時点の割合は、カセットのみが7割、箱付きが3割くらい。

当時のコレクション。このとき、箱付きのカセットは3割しか持っていなかった


集めたカセットは特に見映えを気にせずカラーボックスにしまい込んでいました。今考えると割と雑な収納です。

ところがある日、自分のコレクションを見ていたときに、ふと幼い頃に通っていたゲームショップの陳列(ショーウィンドウや壁棚にずらっと並んだパッケージ)を思い出しました。

このとき、あの頃の光景を自分の部屋で再現するために、今度は「全て箱付きでカセットを集める」という野望を抱きました。カセットのみであったものを全て箱付きにするべく、6年ほどかけて集め直しました。

プレミアのついたゲーム作品


箱付きで集め直し始めたときは、レトロゲームの高騰化が進んでいて、昔のように安価で買うことは難しくなっていました。コレクターあるあるかもしれませんが、比較的安価で手に入りやすいものを最初に集めていくので、最終的に多くのプレミアタイトルがコンプの壁として残ります。

しかし、自分が1カ月に使える予算は、妻から支給されるお小遣いの3万円のみ。

なので、プレミアがついて3万円を超えるような高額なものは、分割払いにして購入することも多かったです。お小遣い全てがゲームに使えるわけではないので、飲食代などの他の出費をなるべく節約して、プレミアタイトル確保のためにやりくりする日々でした。

一番入手が困難だったファミコンカセットは、約20万円で購入したプレミア作品

入手が難しかった「バトルラッシュ」

ファミコンカセット全1,053本のうち、一番入手が難しかったものは、ファミコン用の周辺機器「データック」専用のゲーム「バトルラッシュ Build Up Robot Tournament」になります。

カセットのみだとたまにヤフオクなどで出品されていますが、箱や説明書、カードもそろった完品(付属品がすべてそろった商品)となると滅多に見かけません。仮に出品があったとしても競争が激しく、大体30~40万円近くで取引される超プレミア品でした。

箱付きコンプリートを目指す自分としては、垂涎もので、手に入れるまでほぼ毎日といっていいほどネットで探していました。

そんなある日、運よくフリマアプリで相場の約半分である20万円ほどで出品されているのを見かけました。手持ち金はなかったのですが、これを逃したらもうチャンスはないかもしれないと思い、思い切ってクレジットの12回分割払いで購入してしまいました。もちろん妻には怖くて言い出せず、しばらく内緒にしてました(笑)。

時間とお金をだいぶ要した分だけ、現物を手にしたとき、かなりの興奮と感動がありました。

二度にわたるファミコンカセットのコンプリートにかかったお金は、約300〜350万円

結局、カセットのみの収集から始めて、箱付きのコンプリートに至るまでは約10年を要しました。

最終的にコンプリートにかかった費用は約300~350万の間くらいだと思います。人によっては全1,053本をそろえるには安価だと感じるかもしれません。

しかし、私が集め始めた10年前とは違い、相場も日々変わっていて比較的高騰しているようなので、もし今から集め始めるとなると400万以上(美品にこだわる場合)はかかるかもしれません……。

私の場合も、状態を問わなければもっと金額を抑えられたかもしれませんが、なるべく美品で集めることに個人的なこだわりがありました。箱のダメージ(耳取れ、潰れ、破れなど)や欠品などがある商品を購入してしまい、余計な買いなおしをすることもしばしば。実際、状態に納得できず同じタイトルを5回ほど買い直したこともありました。

そのための費用の捻出として、ファミコン以外の機種(スーパーファミコン、ゲームボーイ、PCエンジン等)のソフトも多く手放してしまいました。

ちなみに、基本的にファミコンを購入する際は、ネットだけでなく実店舗も利用しています。

実店舗は、秋葉原や中野にあるレトロゲームの専門店や、ハードオフ・ブックオフといったリサイクルショップになります。ネット購入と比べて価格が高いことが多いですが、状態や付属品を直接目視で確認できるメリットがあります。また稀に掘り出し物にありつけることもあります。

ネットは、ヤフオク・フリマアプリ・通販などになります。特にフリマアプリは、商品の更新サイクルが早く、他で手に入りにくいものが出品されることが多いので、集める上で重宝しています。

これからファミコンカセットを購入したいと考えている人は、参考にしてみてください。

自室をファミコンカセットのコレクションルームに

コレクション部屋


現在、集めたファミコンカセットは、テレワーク中の仕事場も兼ねている自分用の部屋(6畳)に並べています。

棚にもこだわっていて、総額約15万円ほどかけています。以前のように安いカラーボックスでも良かったのですが、せっかく並べるなら綺麗にと思い、メインで並べているものは2万円弱するガラス扉付きのものを選択しました。

コレクション棚の一部


ファミコンのパッケージは、ハードケースと紙箱の主に2種類があります。紙箱にいたっては湿気で傷みやすい(カビが生えたり、シワになったり)ので、100円ショップで売っているOPP袋(透明フィルム)で1個ずつ包装していて、各所に除湿剤もいくつか設置しています。

また、紫外線や蛍光灯などでパッケージの色褪せが発生してしまうので、部屋で作業している日中は電気を極力つけないようにしています。

見せ方で工夫しているのは、メイン棚の仕切りの高さを統一し、メーカー、シリーズごとになるよう並べていることです。そうすることによって、統一感が出て、自分の理想としていたゲームショップの陳列のような見映えになりました。またメーカーで絞れるので、ゲームを探すのも容易になります。

最近はLEDテープというものもあるので、それを棚につけてライトアップするのも面白いかもと画策しています。

ファミコンカセットには、たくさんの思い出が詰まっている

ファミコンは、自分にとって幼少の頃の思い出がたくさん詰まったアイテムです。

実際に遊んだり、パッケージを眺めたりするだけでも、当時、親・兄弟や友人と遊んだ記憶が鮮明によみがえります。ファミコンが全盛期だった1986年は高橋名人(ハドソン[現:KONAMI]所属のファミコン名人として話題に)が大ブームで、全国のチビッ子は名人に夢中でした。

高橋名人の冒険島
(c)Konami Digital Entertainment


若干5歳だった自分もその中の1人で、『高橋名人の冒険島』が発売されたときは親にねだって購入してもらいました。軽快なキャラと印象的なBGMもあって、兄や母も一緒になって家族で熱中して遊びました。

1990年には、『ドラゴンクエストⅣ』が発売。列に並んで購入した兄がプレイするのを横で眺め、RPGの面白さに初めて触れました。兄のクリア後、今度は自分が兄のアドバイスを受けつつ最後までプレイしたのは良い思い出です。

他にも挙げればキリがないですが、ファミコンは自分の人生にとって切っても切れない存在です。

プレミアがついているタイトルも多く、資産価値としてみればそこそこなものになるかもしれませんが、私はそういったことだけではなく、思い出の一部としても今後大事にしていきたいと思っています。

これからも、やっぱり「ゲームを集めたい」

これからの目標は、本音としては「ファミコン収集を極める」です。

ですが、非売品やサンプル品や非正規品などは、とても高額であったり手に入りにくかったりするものばかりで、収集の難易度は段違いとなります。

なので直近の目標は、任天堂の銀箱シリーズ(初期のファミコンソフトが再販されるときに使用される銀色のパッケージ)のファミコンで未所持分をそろえるのと、ディスクシステム(ファミコン周辺機器)ソフトのコンプリートです。

現在持っているディスクシステムのソフト


ディスクシステムのソフトはファミコンカセットと比べて全199本と総数は少ないですが、書き換え専用ゲーム(ディスクシステムには、​​データを書き換えて別のゲームを楽しむことができる仕組みがあった)や販売本数が少ないものが多々あるのと、購入できたとしてもディスク内のデータが破損していて正常に動作しないケースもあるので、コンプリートするのに苦労しそうです。

何年かかるか分からないですが、ライフワークの一環としてコツコツと続けていこうと思います。

また、海外にもファミコンのコレクターは多いので、海外版のファミコン(NES)なども集めていき、海外の方々と国境を越えた交流ができたらいいなと考えています。

40歳、システムエンジニア。ファミコンが大好きで、日々探し続けてコレクション中。市販ファミコンカセット1,053本コンプ達成。

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