ポイント還元制度とは?対象店舗などを正しく理解してお得に生活をしよう!
2019年10月1日、消費税率が10%に引き上げられました。
引き上げに対する報道が過熱する中、連日「ポイント還元制度」という制度についても多く報道されていたのをご存知でしょうか。
この記事では今注目のポイント還元制度について解説していきます。
ポイント還元制度とは
では、そもそもポイント還元制度とはどのような制度なのでしょうか。
そして、この制度を利用するメリットやデメリットはどのようなものなのでしょうか。
まず、この制度が考案されたきっかけは、増税によって消費者の購買意欲が低下することが予測されたことでした。
懸念される景気の冷え込みで国の財政が今以上に傾いてしまっては意味がありません。
この冷え込みを避けるために、政府は約2,800億円の予算を設けて買い物金額の一定割合をポイントとして消費者に還元するポイント還元制度が考えられました。
ポイント還元期間は2019年10月1日から2020年6月30日までの9ヶ月間となっており、最大のポイント還元率は5%となっています。
還元されるポイントは何を基準に決められるか
還元されるポイント額について管轄省庁の経済産業省は決済金額に応じて還元すると公表しています。
つまり、1,000円の税抜き商品を購入する場合、10%の税額が加わって決済金額は1,100円となりますが、この税込決済金額に対して最大5%の還元が適用されたとします。
よって、上記の場合の還元額は55ポイン(55円分)となります。
ポイント還元制度の利用はキャッシュレス決済を利用する方法のみ可能
実は、ポイント還元制度は還元を受けられる決済方法が限定されています。
この制度はキャッシュレス決済を利用した場合に限ってポイント還元する制度となっています。
キャッシュレス決済とはクレジットカードや電子マネーなど、決済時に現金の支払いを伴わない決済手段の総称です。
なぜこれらの手段のみが還元対象となっているのかというと、現在日本は国策としてキャッシュレス化を推進しているからであることと、現金決済の場合は還元方法が煩雑になることやその受取人が判別しにくく、現実的でないと考えられているからです。
ポイント還元制度を実施する背景は何か
そもそもポイント還元制度はなぜ実施されることとなったのでしょうか。
その背景をまとめると以下の通りとなります。
- ・ 増税による景気の冷え込みを防止したい
- ・ キャッシュレス決済を推進したい
背景①増税による景気の冷え込み防止方法として考案
まず一つ目の背景として、政府が増税を行う場合、消費者の買い控えが発生するのが一般的です。
今回は消費税の増税ですので、一部の国民ではなく老若男女全ての国民に関連する増税となりました。
増税後何も対策を打たなければ消費者の買い控えが発生し、景気が冷え込む可能性が高まってしまいます。
買い控え対策として消費者が日常的に購入する日用品を販売する店舗を中心にポイント還元制度を導入することとなったのです。
決済金額の最大5%のポイント還元を受けられることによって、結果的に増税された2%以上のポイントの還元を受けられるため、増税の心理的インパクトを和らげる効果があると考えられています。
背景②:キャッシュレス決済の登録を推進するため
現在の日本の買い物時の決済手段は現金が主流です。
海外の国に比べ日本の紙幣は偽造防止策が非常に精巧で、現金の安全性が高いことや銀行やATMの数が多く、基本的にどこでも現金を引き出せる環境にあることが要因です。
これらは我々としては当たり前の光景かもしれませんが、海外からの目線は異なっています。
欧米諸国の決済手段の多くはクレジットカード決済や電子マネー決済となっているのをご存知でしょうか。
社会全体がキャッシュレス決済となっており、買い物がスムーズに行われているのが日常の風景なのです。
日本政府は今後外国人観光客が増加することを見越してキャッシュレス社会の構築を目指しているのです。
キャッシュレス決済は現金よりも早く安全に決済することができることが大きなメリットとなります。
そのメリットを打ち出すことで、クレジットカードや電子マネーへの登録者数増加を狙っているのです。
ポイント還元制度の対象店舗はどこか?
では、ポイント還元制度はどのような店舗で適用されるのでしょうか。
適用店舗と店舗ごとのポイント還元率は以下のようになっています。
運営者 |
決済場所種別 |
ポイント還元率 |
---|---|---|
個人・中小企業 |
小売店・飲食店・宿泊業など | 5% |
企業(大企業・中小企業区別なし) | コンビニ・外食店・フランチャイズ店舗・ガソリンスタンド | 2% |
大企業 |
大手スーパー・百貨店・大型ショッピングモール | 0% |
シーン①:中小・小規模事業者が運営する対象店舗での決済
上記の表に示されたように、今回のポイント還元制度の還元率は全国の店舗で一律ではありません。
同じ商品を購入しても、それを購入する場所によって還元率が異なってくるのです。
まず、ポイント還元を受けられるシーンとして挙げられるのは、中小・小規模事業者が運営している店舗で決済をした場合です。
例えば、同じ5,000円(税込)の化粧品を個人経営店舗とコンビニエンスストア、大手百貨店でそれぞれキャッシュレス決済で購入する場合、以下のように還元ポイントに違いが出てきます。
店舗 |
還元率 |
ポイント数 |
---|---|---|
個人経営店 |
5% | 250ポイント |
コンビニエンスストア |
2% | 100ポイント |
ショッピングモール |
0% | 0ポイント |
これらのポイント還元は中小企業ならどこの店舗でもいいのかという訳ではありません。
店舗がポイント還元制度に参加するために政府に申請書を提出し、ポイント還元事業への参加許可が下りた小売業者の店舗にて消費者がキャッシュレス決済をした場合にはじめてポイント還元制度のポイント還元を受けることができるようになります。
そして、申請が承認されて還元対象店舗となった場合にはポスターや看板が設置されます。
これらが掲示されている店舗ではキャッシュレス決済を利用することでポイント還元制度の対象となるシーンが見られるようになります。
シーン②:フランチャイズチェーン等の一部対象店舗
前項で紹介した通り、キャッシュレス決済によるポイント還元制度は個人商店や中小企業が5%の還元を受けることができるものです。
大きな百貨店やスーパー等ではキャッシュレス決済を用いても還元を受けることができません。
ただし、フランチャイズチェーン店や外食店等を利用した場合にはキャッシュレス決済を利用すると、2%のポイント還元を受けることができます。
ただし、以下に該当する商品はポイント還元制度対象店舗でキャッシュレス決済をおこなってもポイント還元を受けることができませんので注意してください。
換金性が高い商品 |
商品券・切手・収入印紙・プリペイドカード・図書カード等 |
---|---|
金融商品 |
投資信託・株式・債券・外国為替など |
減税対策済み |
住宅・自転車・自家用車等 |
非課税商品 |
病院・介護施設・学校・居住用マンションの費用 |
その他 |
犯罪組織が関わっている商品 |
ポイント還元制度をするメリットを紹介
では、ポイント還元制度を利用するメリットは何でしょうか。
ポイント還元制度は直接利用する消費者だけでなく、サービス提供会社、導入店舗、更には国にまで幅広い利用メリットが存在しています。
それぞれの立ち位置にある者同士がWin-Winの関係を築くことができるのがポイント還元制度なのです。
消費者にとってのメリット
まず、消費者にとってのメリットはポイント還元を得られることによって、ポイントが貯まり、次回以降の買い物の割引に利用することができたり、他の商品に交換することができたりすることです。
消費者側として次回以降の買い物をお得に利用できる還元ポイントの存在は大きいものです。
また、還元されるポイントは決済した事業者の提供するポイントとなりますので、今までのポイント残高に加えられる形なり、ポイント管理も楽になることもメリットの一つです。
サービス提供会社にとってのメリット
サービス提供会社(キャッシュレス決済事業者)にとってのメリットは、キャッシュレス決済利用者が増加することによって手数料収入が増加することです。
キャッシュレス決済事業者は導入されている店舗で消費者がキャッシュレス決済を利用することでその一部を手数料収入として得ています。
国としてキャッシュレス決済の浸透が進むことは、事業を拡大していくことに繋がるので大きなメリットになるのです。
導入店舗にとってのメリット
では、導入店舗にとってのメリットはどのようなものでしょうか。
導入店舗は決済された金額の一定割合を決済手数料としてキャッシュレス決済事業者に納めています。
この点だけを見ると支出が増えているように感じますが、実は大きなメリットが2つあります。
まず1つ目は、消費者の決済がおこなわれると次回の買い物などに使えるポイントが還元されるので、消費者は次回もお得に買い物ができる同じ店舗を利用するリピート率が上がることです。
そして2つ目はレジの作業時間を短縮し、人件費を圧縮することができる点です。
キャッシュレス決済が多くなればレジ店員の現金受け渡しの作業時間を減らすことができ、人件費の圧縮に繋がっています。
国にとってのメリット
最後に国にとってのメリットです。
メリットとして挙げられるのが、ポイント還元事業が消費者の消費意欲低下を抑え、増税による景気の冷え込みを下支えできることです。
このポイント還元制度を通して消費者の消費意欲を支え、安定的な財源を確保することが今後の国の政策にとって重要なポイントとなっています。
ポイント還元制度をするデメリットを紹介
では、ポイント還元制度を利用するデメリットとしてはどのようなものがあるのでしょうか。
ポイント還元制度は店舗からの申告があり、それが国から承認されることによって、制度として運用されています。
つまり、店舗側が政府に申請を出していなかったり、出していても許可が下りなかった場合はポイント還元を受けられません。
非対象店舗にはポスターや看板が設置されていないので、還元を受けられないことが消費者にも一目でわかってしまいます。
消費者にとってのデメリット
消費者はポイント還元制度を利用することで、購入金額の一部をポイントとして還元を受けることが出来ます。
しかし、ポイント還元制度に参加していない店舗ではこれらのポイント還元を受けられないのがデメリットです。
同じ商品を購入してもポイントが付く店舗と付かない店舗が分かれることになるので、消費者が購入する店舗を選ぶ行動に出る可能性があります。
消費者にとって10%に消費税が増税して、ポイント還元制度があるのに、普段利用している店舗で制度を利用できないことはデメリットに感じるものです。
サービス提供会社にとってのデメリット
キャッシュレス決済を運営しているサービス提供会社にとっては他社とのポイント利用顧客争奪戦が激しくなることがデメリットとなります。
消費者が9ヶ月間という長期間にわたり、日常的にキャッシュレス決済を利用することで還元されるポイント量はかなりの大きさになることが予測されています。
また、日常的に買い物をする店舗の多くは決まった店舗である場合が多く、特定のポイントが貯まりやすい環境です。
そのため、利用者が還元を受けるポイントは固定化され、各社の顧客獲得競争が激しくなり、企業体力が消耗することに繋がっていくことがデメリットです。
導入店舗にとってのデメリット
導入店舗にとってキャッシュレス決済利用のデメリットは多少なり必要経費が上がってしまうことです。
人件費の圧縮が可能となるメリットがある一方で、キャッシュレス決済を利用してもらうことで、その決済金額の一定割合を利用手数料としてサービス提供会社に納める必要があります。
ポイント還元事業の波に乗ってキャッシュレス決済で高額商品を購入する消費者が増えることも予測されており、手数料支出が増えるというデメリットが考えられます。
国にとってのデメリット
国としてこのポイント還元制度の利用が盛んになればなるほど、制度が終了した際の景気の冷え込みを防げないというデメリットが考えられます。
昨日まで5%還元されていたポイントが何の理由もなく、2020年7月1日から還元されなくなることで、値段が上がったように感じる消費者が多く出ると言われています。
結果的にポイント還元制度で景気の冷え込みを先送りにしただけではないかという意見も根強くあるのが現状です。
また、ポイント還元制度の終了はもともと現金決済社会であった日本の消費者のキャッシュレス決済への興味を減退させ、その後の更なる浸透に向かい風となると考えられます。
ポイント還元制度についての問い合わせ
ポイント還元制度については政府が問い合わせ窓口(受付時間:平日10:00~18:00・土日祝は除く)を設けています。
上記時間以外の受付は自動音声対応となっています。
また、消費者、中小・消費者事業者、キャッシュレス決済事業者とそれぞれに分かれた窓口となっており、立場に応じて利用しやすくなっています。
- ・ 0120-010975(消費者向け)
- ・ 0570-000655(中小・小規模事業者向け)
- ・ 0570-012141(キャッシュレス決済事業者向け)
ポイント還元制度のまとめ
ポイント還元制度は消費者、導入店舗、キャッシュレス決済事業者、国と関係するそれぞれにメリットが大きな制度です。
しかし、その一方で制度を導入していない店舗にとっては顧客離れが発生する可能性もあります。
2020年6月30日までの制度がどのように運用されていくか、今後も注目していくべきでしょう。
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