Okaya Payとは?岡谷市のキャッシュレス化を推進する電子マネーの魅力を紹介
日本では年々キャッシュレス化が進んでいますが、小規模店舗の多い地方では対応が遅れている現状があります。キャッシュレス化に伴う決済手数料の負担が大きく、導入をためらう店舗が多いためです。
しかし、地方のなかには、キャッシュレス化を上手に取り入れている自治体もあります。その代表的な例が、長野県のほぼ中央に位置する岡谷市です。
岡谷市では、地域独自の電子マネー「Okaya Pay」を活用してキャッシュレス化を推進しています。この記事では、Okaya Payの特徴や使い方についてご紹介します。
ポイントカードと電子マネーが1つになった「Okaya Pay」
Okaya Payは、岡谷市独自のポイントカードと電子マネーが1つになったカードです。年会費や発行手数料は無料で、対象の取扱店にてすぐに発行・利用ができます。
ポイントカードとして使えるのはもちろん、現金をカードにチャージすると取扱店で電子マネーとしても利用可能です。利便性が高く、今では岡谷市に広く普及しています。
Okaya Payが導入された背景
Okaya Payは、古くからあったサービスではありません。Okaya Payが誕生する前は、地域独自のポイントカード「おかぽんカード」が岡谷市で運用されていました。
しかし、店舗数の減少に伴い、おかぽんカードの発行額も縮小。また、政府は2025年までにキャッシュレス決済比率40%を目指しているのですが、岡谷市を含む地方は対応が遅れている状態でした。
こうした背景もあって、岡谷スタンプ協同組合から「地域のポイント制度を残しつつも、今の時代に合わせてキャッシュレス化に対応した仕組みを構築してほしい」と依頼があり、岡谷商工会議所が主体となって新しいサービスの開発を進めることが決まりました。
そして誕生したサービスがOkaya Payです。Okaya Payは2020年4月1日に開始され、今ではグルメやファッションなど、多種多様なジャンルの店舗が取扱店になっています。
また、Okaya Payは、決済手数料の負担が少ないのが特徴のサービスです。これにより、手数料の負担を懸念してキャッシュレス化の導入をためらっていた小規模店舗でも、安心して導入できるようになりました。
旅行者に向けた「Okaya Travel Card」も登場
岡谷市では、Okaya Payのサービス開始に続いて、同じ仕組みを使った「Okaya Travel Card」も発行しています。
Okaya Travel Cardは、岡谷市に訪れる方に向けたサービスです。Okaya Payとは違い、チャージした電子マネーを使い切るタイプです。
地域住民以外の方に岡谷市の店舗を利用してもらうことで、地域経済の発展を目指しています。
Okaya Payの3つの特徴
地域独自のサービスであるOkaya Payにはさまざまな特徴がありますが、なかでも大きな特徴が下記の3つです。
- ポイントカード機能
- 電子マネー機能
- 地域内の経済循環サイクルを構築
ここからは、それぞれの特徴についてご紹介します。
①ポイントカード機能
Okaya Payの特徴の1つが、ポイントカード機能です。取扱店でOkaya Payを提示すると、100円(税抜)につき1ポイントが貯まります。
貯まったポイントは、1ポイント=1円のレートで取扱店で買い物をする際に利用可能です。ポイントは、電子マネーだけでなく現金での支払いでも付与されます。
なお、ポイントの利用期限は最終利用日から1年以内です。使う機会がある方は、失効しないように注意してください。
ちなみに、取扱店での買い物以外にも「禁煙外来受診で1,000ポイント」「人間ドック受診で200ポイント」などのように、一定の条件を満たすことで岡谷市が発行する行政ポイントをもらえます。
②電子マネー機能
Okaya Payの取扱店で現金をカードにチャージすると、チャージした金額分を電子マネーとして買い物に利用できます。現金を出す手間が省けるので、スムーズに買い物を楽しめます。
なお、チャージできる金額は、Okaya Payのカード1枚につき50,000円までです。また、チャージした電子マネーの有効期限は最終利用日から3年間に設定されています。
③地域内の経済循環サイクルを構築
一般的なキャッシュレス決済の手数料は、そのサービスを運営する地域外の決済事業者に支払うのが基本です。つまり、地域内のお金が地域外に流出してしまいます。
いっぽう、Okaya Payは、決済時の手数料を運営元の岡谷商工会議所に支払う仕組みのサービスです。その際に得た手数料は、消費者にポイントとして還元されます。
岡谷商工会議所から還元されるポイントは、消費者によって取扱店での決済時に利用されます。そのため、地域外にお金が流出することがありません。
このように、Okaya Payは岡谷市内の経済循環サイクルを構築するのに非常に役立っています。
Okaya Payの利用方法
利用方法がシンプルな点もOkaya Payの魅力です。
Okaya Payは、買い物の際にカードを提示するだけでポイントを貯められます。貯まったポイントは、スマホの専用アプリか、店頭で発行されるレシートなどで確認できます。
また、電子マネーは店頭でチャージ可能です。買い物の際は、カードを提示すると電子マネーで支払えます。
ちなみに、Okaya Payは各取扱店で無料で発行可能です。年会費もかからないため、お得に使い続けることができます。
Okaya Payを活用したさまざまな関連事業
岡谷商工会議所では、Okaya Payを活用したさまざまな事業を展開しています。
たとえば、岡谷市内の飲食店のテイクアウト・宅配サービスを1,000円分以上利用すると500ポイントがもらえる「テイクアウトキャンペーン」は、複数回実施されるほど好評を得ている事業です。
このほか、取扱店で買い物をすると最大30%のポイントが付与される「キャッシュレスで最大30%戻ってくるキャンペーン」、現金10万円やポイントが当たる「おかやジャンボ」など、多彩なイベントが開催されています。
まとめ
岡谷商工会議所が主体となって開発したOkaya Payは、使い勝手に優れた便利なサービスです。便利なだけでなく、市内の経済循環サイクル構築にも役立っています。
普及が広まると市内の店舗を利用する機会が増えるので、事業者側にとってもメリットの大きいサービスです。
また、岡谷商工会議所では、岡谷市に訪れる方に向けたOkaya Travel Cardも発行しています。機会があれば、ぜひ使ってみてください。
作曲・編曲などの仕事を経て、専業ライターに。音楽系の記事が得意と思われがちですが、金融・ビジネスに関するテーマが一番得意です。自身が経済的に苦労した経験を活かし、誰よりも分かりやすくお金の知識をお届けします。他にもプログラミング、webデザイン、VODなど様々なジャンルの記事を執筆しています。趣味はプログラミング・アニメ・旅行・ギターの演奏・ミルクティーの飲み比べ。投資にも興味があり、お金の上手な使い方を勉強中です。