Amazon Pay(アマゾンペイ)は導入するべき?メリットや導入方法など担当者に聞いてみた!
自社のECサイトにどの電子決済サービスを導入するべきか悩んでいる人も多いかと思います。
Amazon Payは多くの人が利用するECサイトAmazonが提供するID決済サービスです。
また、Amazon Payには企業だけでなく、お客様にとっても利用しやすい仕組みがあります。
今回は、お客様・企業の両方のメリットについてAmazon Payの事業責任者であるアマゾンジャパンの井野川さんから直接お話をうかがいました。
井野川さんのお話も踏まえながら、Amazon Payの導入を検討していきましょう。
アマゾンジャパン合同会社 Amazon Pay事業本部 本部長 井野川 拓也
東京大学大学院 化学生命工学科修了。ペンシルバニア大学Wharton校にてMBA取得。外資系コンサルティング会社、外資系PCメーカーを経て、2010年にアマゾンジャパン入社。Amazonマーケットプレイス事業の事業開発部門を担当後、2015年11月よりAmazon Payの日本統括責任者となる。
Amazon Pay(アマゾンペイ)とは?
Amazon Payは、Amazonが提供するID決済サービスです。
2011年にアメリカで「Check Out by Amazon」としてサービスを開始し、2015年に日本でAmazon Payが使えるようになりました。
Amazon Payには、お客様が利用しやすく、安心・安全に利用できる仕組みがあります。
そこで、今回はAmazon Payの事業責任者の方からお話をうかがいました。
Amazon Pay(アマゾンペイ)の仕組みとは?
――Amazon Payには利用者の増加につながる独自の仕組みがあると聞きましたがそれはどのようなものでしょうか?
Amazon Pay 井野川 拓也さん(以下、井野川さん):Amazon PayはECサイトに導入できる決済サービスで、導入するとお客様はAmazonアカウントを利用して決済することができます。
お客様はAmazonアカウントを利用することで、配送先住所やクレジットカード情報をサイトごとに入力する必要がなくなるので、簡単にお買い物が楽しめるようになります。
ECサイトのご利用にあたり、サイトごとにクレジットカード情報や住所を登録することがお客様にとって使いにくく、ストレスに感じてしまうことも多いです。
しかし、Amazon Payであればサイトごとに個人情報を登録する必要がないので、お買い物が簡単になり、導入ECサイトにとってお客様の増加が期待できるというわけです。
――ありがとうございます。気軽に利用できるとなるとセキュリティに対して不安を感じるECサイトもあると思いますが、Amazon Payではどのようなセキュリティ対策をおこなっていますか?
井野川さん:Amazon Payは、Amazonがおこなっているのと同じ仕組みで、24時間365日、不正利用を監視しています。
万が一、不正利用をおこなおうとしても、取引が中止されますので、実際に被害が出る前に不正利用を防ぐことができます。
Amazon Payを導入すれば、Amazonが定める世界水準のセキュリティで保護されることになるので、ECサイトでの取引におけるリスクも軽減され、セキュリティ対策にもつながります。
Amazon Pay(アマゾンペイ)をお客様が利用するメリットとは?
――お客様のメリットは個人情報をそれぞれのサイトで入力しなくても簡単に利用できるところですよね。
井野川さん:そうですね。お客様がECサイトで注文する商品を決めたとしても、クレジットカード情報や住所登録の面倒な操作から買い物をやめてしまう「カゴ落ち」にならないで済むような取り組みをAmazon Payはおこなっています。
お客様は、Amazonアカウントに登録された情報を利用してAmazon Payに対応したECサイトでの買い物を気軽にすることができます。
また、以前利用したECサイトをもう一度利用するときにログインするためのID、パスワードを忘れてしまうこともあると思うのですが、Amazon Payを導入したECサイトでは、いつも使っているAmazonアカウントのID、パスワードでログインして買い物ができるので、パスワードを忘れてお買い物できないというような経験は少なくなるのではないでしょうか。
――お客様からみても利用しやすく、安心してショッピングが楽しめそうですね。具体的にAmazon Payを利用できるサイトを教えていただけますか?
井野川さん:Amazon Payを導入されている事業者数は現在、1万社以上となっています。
具体的には、出前館、JTB、コジマネット、プレミアムバンダイといった様々な業種のサイトで利用することができます。
ファッション、食品、スポーツ用品、本、家電、ホビーなど、様々な業種の企業様に導入いただいているので、今後お客様にとって、Amazon Payを利用できる機会がより多くなると嬉しいです。
Amazon Payはお客様のショッピング体験をより便利に、そして安全にお買い物できるように常日頃からサービスの向上に励んでいます。
Amazon Pay(アマゾンペイ)の導入でできること
次に、Amazon Payを導入することでできることについて解説します。
Amazon Payを導入することで3つの決済手段を用意することができます。
- オンライン決済
- 実店舗での決済
- Amazon Alexaスキルによる決済
オンライン決済
オンライン決済は、Amazonを通してECサイトにおける商品代金を決済する仕組みです。
お客様はAmazonアカウントでログインするだけで、クレジットカードなどの情報を登録する必要がなく、簡単に決済することができます。
PCだけでなくスマートフォンにも対応しているので、どこからでも気軽にショッピングが楽しめるようになります。
また、一括払いだけでなく、月額の利用請求や、定期購入にも対応することができます。
実店舗での決済
次に、Amazon Payは実店舗での決済も可能です。
「Amazon ショッピングアプリ」があればQRコード決済をすることができます。
アプリのメインメニューの「Amazon Pay」を選択するだけで、QRコードが表示されるのでQRコードを読み取ることで実店舗での決済が可能です。
Amazonショッピングアプリを利用しているお客様であれば、実店舗でもAmazon Payを簡単に利用することができます。
Amazon Alexaスキルを使った決済
最後に、Amazon Alexaスキルを利用した音声ショッピング・決済の方法です。
お客様はAmazon EchoシリーズやFire TVを始めとしたAlexa搭載デバイスなどに話しかけるだけで、Amazon Payで気軽に欲しい商品を購入することができます。
Amazon Payを導入することで、Alexaを利用されているお客様のニーズにお応えすることができます。
ECサイトはもちろん、実店舗やAlexa搭載デバイスを使った音声ショッピングまで、Amazon Payは単なる決済ソリューション以上の価値を提供します。
例えば、Alexaスキルの「出前館」を使用すると、お客様は定番のピザや中華をはじめ、ハンバーガーやエスニック料理など、様々なジャンルのお料理をAlexa搭載デバイスに話しかけるだけで簡単に出前を注文することができます。
オンライン決済や店舗による決済に加えて、Amazon Payに対応したAlexaスキルを活用した決済に対応することで、お客様がより使いやすいサービスを目指しています。
Amazon Pay(アマゾンペイ)導入の3つのメリット
EC事業者がAmazon Payを導入するメリットは3つあります。
- CVRの改善・新規顧客獲得
- セキュリティ強化
- 初期費用・月額費用は無料
それぞれについて詳しく説明していきます。
メリット①CVRの改善・新規顧客獲得
ECサイトのお悩みのひとつに、お客様が商品を選択し、カゴに入れた後に、手間のかかる個人情報の登録の途中で決済をやめ、カゴに商品を入れたまま離脱をしてしまう「カゴ落ち」があげられます。
お客様には商品の購入意思があったわけですから、個人情報の登録の手間を取り除くことができれば、商品を購入してもらうことができます。
Amazon Payを利用することでお客様はAmazonアカウントさえあれば、ECサイトで個人情報の登録なしに商品を購入することができるので、カゴ落ちを防止し、CVRの改善につなげることができます。
2015年12月から2016年12月の新規顧客増加数を比較したデータによると、未導入店舗は平均で5%しか増加しなかったのに対して、Amazon Pay導入済店舗は1年間で平均で56%増加しました。
また、お客様が注文を確定する際に、「ECサイトの会員として登録する」、「メールマガジンを購読する」などの質問に答えてもらことができます。お客様の同意があれば、顧客情報をマーケティングに活用できるので、新商品やキャンペーンなどの情報をお客様にメールで通知することが可能になります。
Amazon Payを導入することで、カゴ落ちが軽減され、売り上げが増加した事例がたくさんあります。
例えば、メガネを販売している「JINS」では、Amazon Payの導入後コンバージョン率が30%増加しました。
また商品によってはAmazon Payの利用率が4割を超えています。
お客様のショッピングを便利にすることで、カゴ落ちが軽減され、コンバージョン率と売り上げの増加につなげていくことができます。
ECサイトで売り上げを伸ばしていくには、購入の途中でお客様が離脱しない「買いやすいECサイト」を目指していくことが重要であると考えています。
また、初めて購入するECサイトであっても、手間なく購入できるので、新規顧客の増加も期待いただけると思います。
メリット②セキュリティ強化
ECサイトに関する2つめのお悩みとしては、不正注文の対策が必須であることです。
不正注文の対策をしていないと窃取目的の注文によって大きなダメージを受ける危険性があります。
Amazon Payを導入すれば、Amazonの世界水準のセキュリティで、決済に関する情報が保護されることになります。
不審な高額の注文があった場合でも、取引がキャンセルされるので未然に被害を防ぐことができます。
Amazon Payを導入することで不正注文のリスクに対する費用を軽減し、セキュリティ強化につなげることができるのがメリットの1つであるといえます。
また、お客様のクレジットカード情報はEC事業者には共有されない仕組みになっているので、クレジットカード情報の非保持化が実現できます。
Amazon Payはお客様からみても安心・安全に利用してもらえるセキュリティ強化に取り組んでいます。
Amazon Payをお客様が利用する場合、クレジットカード情報はECサイトには共有されないので、ご安心いただけます。
「Amazonマーケットプレイス保証(※)」により最大で30万円までの保証も受けられるので万が一の備えも充実しています。
Amazonは24時間365日体制で不正取引を監視しているので、お客様には安心してショッピングをお楽しみいただきたいと思います。
メリット③費用がほとんどかからない
Amazon Payの初期費用、月額費用、決済手数料は下記の通りになります。
初期費用 | 0円 |
---|---|
月額費用 | 0円 |
決済手数料 | 4.0% |
決済手数料(デジタルコンテンツ) | 4.5% |
初期費用・月額費用は無料で、導入への障壁が低いです。
ただ決済手数料がかかります。
決済手数料は4.0%、デジタルコンテンツの場合は4.5%と、クレジットカードの手数料(約3.5%程)と比べると高いと思われるかもしれません。
しかし、Amazon Payでは、カゴ落ちの軽減やセキュリティ対策など、多くのメリットがあります。
決済手数料が安い他の決済サービスを導入してカゴ落ちやセキュリティに対して個別に対策を取るよりも、Amazon Payを導入することによってこれらの対策を取ることができると考えれば非常にメリットが大きいのではないでしょうか?
また、Amazon Payはキャッシュレス加盟店支援事業者として登録されました。Amazon Payを導入され、かつ本キャッシュレス・消費者還元事業の加盟店登録申請の審査が完了した事業者様(中小・小規模事業者様)は2019年10月1日から2020年の6月30日までは決済手数料は実質2.17%になります。
キャッシュレス・消費者還元事業の期間後の手数料は元に戻りますが、Amazon Payにはその他にもメリットがあるので総合的に判断して導入を検討しましょう。
Amazon Payは単なる決済サービスにとどまらず、導入したサイトの売り上げの増加、セキュリティの強化が期待できるサービスです。
導入することでECサイトでの売り上げの増加や、不正注文を未然に防ぐことが期待できます。
Amazon Pay(アマゾンペイ)の成功事例
Amazon PayをECサイトに導入して実際に成功した事例について見ていきましょう。
伊藤久右衛門 | カゴ落ち率が10%減少 |
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Wedgwood | 新規会員数が37%増加 |
JINS | CVRが30%向上 |
メリットにも挙げた通り、実際にカゴ落ち率の減少やCVRの向上につながっているようです。
JINSではAmazon Payの導入後、ECサイトにおけるAmazon Payの利用者率が40%を超えたこともあり、お客様からAmazon Payがご好評いただいていることがわかります。
Amazon Payの導入によって、セキュリティ対策が整ったり、お客様からの信用が高まるなど、ECサイトの円滑な運営に繋がっているようです。
Amazon Payは導入によってサービスの向上につながった実績のある決済サービスであるといえます。
Amazon Pay(アマゾンペイ)はキャッシュレス加盟店支援事業者として登録されている
Amazon Payは、キャッシュレス加盟店支援事業者に登録されています。
キャッシュレス・消費者還元事業とは、2019年10月からの消費税率引き上げに伴う需要平準化対策として2020年6月30日までキャッシュレス手段を使ったポイント還元を支援する経済産業省が監督する制度です。
中小・小規模の事業者でもキャッシュレスサービスを導入しやすくなります。
この制度によりAmazon Payの決済手数料は実質2.17%となっています。
期間の終了後、決済手数料は4.0%(デジタルコンテンツは4.5%)に戻る予定ですが、期間限定でも決済手数料を安くすませることができる今こそ導入を検討してみてはいかがでしょうか?
Amazon Pay(アマゾンペイ)の導入方法
Amazon Payの導入はAmazon Payのトップページから「販売事業者様お申込み」を選択し必要事項を入力して申込みをすることで導入できます。
Amazon Pay申込みの必要事項は下記の通りになります。
- 代表者の氏名
- メールアドレス
- 会社住所
- 電話番号
- クレジットカード情報
注意点としては現在、Amazon Payに申込めるのは法人のみであり、個人がAmazon Payに申込むことはできません。
また、Amazon Payは自社のECサイトによって導入する方法が異なります。
例えば、ECサイトが独自開発であれば、そのまま申込みをしてAmazon Payを自社のECサイトに組み込むことで導入が完了します。
ECサイトを他社で開発してもらっている場合は、開発事業者がAmazon Payのグローバルパートナープログラムの認定パートナーであれば、Amazon Payを簡単かつ速やかに導入することができます。
認定パートナーでない場合は、導入できるかどうか開発事業者に確認をしてから申込みをするようにしましょう。
Amazon Payの申込み後には1~2週間の事前導入審査があり、審査に通ると導入することができます。
また、自社のECサイトでAmazon Pay対応ASPを利用している場合は手間なく導入が可能です。Amazon Pay対応ASPを既に利用している場合は、各ASPにAmazon Payの導入方法の詳細について問い合わせてください。
導入の際に困ったことがあった場合でも、Amazon Payは万全のサポート体制が整っているので、トラブルが発生した場合は相談するようにしましょう。
Amazon Pay(アマゾンペイ)導入のまとめ
Amazon Payの導入について理解していただけたでしょうか?
Amazon Payはお客様のショッピング体験を便利にしたいという思いを基軸にした、お客様だけでなくEC事業者にもメリットがある決済サービスです。
自社のECサイトを運営するにあたって頭を悩ませることも多いカゴ落ちの軽減や、セキュリティ強化が期待できるのもAmazon Payのメリットです。
この記事を参考にお客様とEC事業者どちらも安心して利用できるAmazon Payの導入をぜひ検討してみましょう。
2019年に株式会社サイバーエージェントに入社。 クレジットカード、キャッシュレス、カードローンの記事作成を担当。 愛用クレジットカードは楽天ゴールドカードでネットショッピングでは楽天市場を利用するようにしている。楽天ペイ、楽天Edyも使っており、楽天のダイヤモンド会員を維持している。最近はスマホを楽天モバイルに変えるか悩んでいる。 ヤフーカードやPayPay、Kyashなども利用しており、お得にポイントを貯めることが趣味。